
ゑびす祭りで、いつもの何倍もの人出、賑わうということは何か華やぎ活気を感じる。歳の差の少ない知り合いとそんなことを話しながら歩く。子どものころは雪の降ることもあった、二百数十間ある通りの両側には屋台がびっしり並んでいたことなどは忘れないで記憶に残っている。城下町といいながら様相は大きく変わった。変わらないのは真っ白な御幣が軒下で揺れていることくらい。
今年は屋台が1店もない。町おこしやグループとそれに協賛される人らが地元産の食材や加工品などをフリーマーケット風に出店され祭り気分を盛りあげている。こぢんまりした祭りに変わったのも、祭りのあるメイン通り商店街のシャッターと空き地を見れば一目瞭然だ。富くじの景品もだんだん小物になっていく。
そんな中で、最近活動を開始した小糠踊りが通りで披露された。小糠踊りは城下町で400年続く盆のおどり。踊の継承か困難になることを心配し保存会を中心に継承と町の賑わいを図り、来年夏には昔ながらの辻踊りを復活させようと応援隊が結成された。太鼓と三味線の音に合わせ保存会委員の優雅な踊りが始まる。見物の人らも踊りに加わり輪が広がる。
見物の人らの「懐かしい」という声が聞こえる。終わるたびに大きな拍手が贈られる。「神か仏か 岩国さまは 扇子一つで 槍の中」「こぬかこぬかと 磯に出てみれば 磯は松風 波の音」「ソロバン橋じゃと 駆け引きしても 通りゃせぬぞえ 横車」、最新の「ここは岩国 城下の街よ 今じゃ東京へ ANAが飛ぶ」といったように、そのときどきの世情をうたったことが分かる。こんな歌詞が100を超えるという。いつか並べてみたい。