
定年退職からしばらく経って菜園を楽しみだした人が「今年もよう出来た」とひと塊の生姜を持ってきてくれた。畑から直行らしく、黒い土の覆われたままだった。肥沃そうな土を取り除いて見ると綺麗な姿をした生姜がいくつも連なっている。収穫は鍬ではなくスッコップで傷つけないように掘り起こすという。
植え方を聞いて見た。深さ15㌢ほどの溝を作る。そこに肥料を撒きその上に5㌢ほど土を乗せ植え付けを始める。生姜の小片1個を間隔をあけて植え、土を覆えば植え付けは終わり。素人には楽な農作業と笑う。2カ月ほどすると芽がのぞく、後は収穫まで見守る。当初は、芽がのぞくまで植えたところを何度もほじくって確認をしていたという。
生姜は料理によく使われる、冷蔵庫にも入っている、と言っても自身では何もしたことはないが、煮魚には必ず入っている。酢漬けでも保管している。これといった栄養的な特徴はないそうだが、香り成分が200種類以上もあり、これが魚や肉の臭みと結合して臭みけしの働きをする。
寒いこの季節に体を温める飲み物はいろいろある。その中で生姜湯はトップクラスではなかろう。これは子どものころから飲んでいる。風邪かなと言えばはい飲んで、寒いと言えばはい飲んで、母や祖母は七輪や火鉢で湧いているお湯を、すりおろした生姜の少量に注いでいた。今は粉末にしたそれが店頭に並ぶ。冬の常備品のひとつになっている。