空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

差異と排除と

2011-11-23 21:28:55 | Weblog
@somalia_watcher ソマリア・ヲチャ 「「同じ○○じゃないか、助けなければ」というナチュラルな同朋意識の及ぶ範囲はどの程度なんだろうな。既に研究してる先生がいそうだけど。」(2011/11/23)

 その「ナチュラルな同胞意識」からしてものっそ重層構造なので,どこまでと言われてもちょっとこまる,というのが一般的な答えか(このテーマでこの間,某大学の試験で出たとかなんとか)。研究する先生たちは,実地調査から理論から,山ほどいるかと思われます。法学哲学社会学と,それはもう山ほど。

@somalia_watcher ソマリア・ヲチャ 「ソマリアにおいて「同じソマリア人」という意識はどの程度有効なのだろうか。」(2011/11/23)

 御承知の通り,Hizbul Islamが「青地に白の星」の旗を引き下ろしたら,お膝元のキャンプ住民が怒って怒鳴りこんでくるレベル。この場合,「ソマリア人」たる統合の象徴として旗は機能している。

 …では,彼らが「ソマリア」として理解する領域はどこまでだろうか?
 どこからが「ソマリ人」としての「我々」なのだろうか?

 国民国家としての「ソマリア」は,ソマリ人の居住範囲をすべて含みはしない。ソマリ人はオガデン地域にも居り,ケニア北部もそうだし,ジブチにだっているでしょう。彼らは「ソマリア人」だろうか?

 ところで北部に目を向ければSomalilandありPuntlandあり。彼らは自己をSomalilander,Puntlanderと(も)認識する。特にSomalilandではSomalilanderという表現を使いやすいかと思われます。そういう彼らと対峙しているPuntlandでも,「Somalilander = Separatistとは異なる」自分たち,Puntlanderの意識を持たざるを得ない。

 そんなわけで,「血統的にソマリ族であるか否か」「属する氏族(支族)はどこか(+敵対する・友好的である氏族(支族)はどこか)」「居住地域はどこか(SomalilandかPuntlandか,OgadenかKenya北部か…どこの県かJubalandか…「州」レベル,「県」レベルでさらに細分化)」,属する法学派・学灯はどこか…。

 ナチュラルに「わたしたち」と表現する瞬間は,まあ,よいのだけど,次の瞬間,あっという間に「**は除く」とか始まっちゃいますよねー。

@somalia_watcher ソマリア・ヲチャ 「「同じ日本人」で大阪の人間が東北の被災者に同朋意識を抱ける。ネイションちゅうのもええもんですな。」(2011/11/23)

つ @HayakawaYukio 早川由紀夫 「東電解体、福島廃県。そして気象庁廃止。これを断行しない限り日本は生き残れない。」(2011/11/21)

 あっという間に福島がネイションから押し出されてしまいましたわよダンナ。なお,つ Cinii 「日本の論文をさがす」

@hideya143 ひでっぴ 「呆然。RTした人、あなたに。 RT @mitisa_smile: クレラップが福島県のいわき市で作られてるの知らなかった…毎日娘のおにぎり握ってた…食品にはあんなに気をつけてたのに。ショックで寝込みそうです。」(2011/11/22)

 こっちが寝込みそうだわい。

 でまあ,その「ナチュラルなわたしたち」って,なんとも固定的ではなく,極論すれば瞬間瞬間に形成されかねない存在なのだということで,ひとつ。

 フランス革命で,『自分たち人民を不当に支配するアイツ』すなわち国王を「市民」として処刑して以来,いやもうすごい数の「市民」が”正当な手続き”で処刑されまくってるわけでしょうし。エジプトでも『自分たち(ry』でムバラクを追い落として―で,あの騒ぎの間は相互に無防備な礼拝の時間を護りあってたと美談が伝えられたかと思いますが,いまや(ry。カダフィをとっ捕まえて,次の瞬間には『誰がどこに連れていくか』で議論になったとかなんとか。

 しかし普段どんな本,読んでるか,分かる人にはわかりそーな文章ですな,これ。

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