4月7日から飲んでいるリムパーザ・オラパリブは 使い始めてまだ2日。違和感なく飲める。
治療効果への期待もあるから、なんとなく、気分も悪くはない。
もちろん、10日程前からひどい「つわり」症状で、食事になる胸やけ、食欲不振(食べたくない)などが続いていて、1週間前に女性ホルモン薬のエストラサイトをやめてから、毎日、わずかずつは改善方向なので、その点での楽さもわずかにある。だから加茂・・・
ただ、日本では「卵巣がん、乳がん」で先に保険適用されていて、公式な解説も広く出ている。対して、前立腺がんに対しては3か月前に認可されたばかりだから、広報もほとんどない。
実際、4月7日に初めて処方され、購入したリムパーザという薬剤の箱の中の解説書にも、「卵巣がん、乳がん」のことしか書いてなくて、前立腺がんの「ぜ」の字もない。
今日は、リムパーザの過去について、分子標的薬「PARP」は「存在が指摘されてから働きが解明されるまでに約半世紀を要した」という記事があって面白かったので確認しておいた。
しかも、メーカーのアストラゼネカ社、あのコロナワクチンのメーカーだけど、2012年に「 オラパリブの開発の臨床試験を中止」したという。
しかし、2013年、14年ごろには、「今まさに、この分野の黎明期」という表現なった。
今は、注目の薬の過去や逆転の経過をみておく。
今日は、2011年、2014年、2018年と3つの時点のデータを記録しておく。
●2011年/卵巣がんや乳がんにPARP阻害薬~開発進む新機序の分子標的薬/がんナビ 2011/08/02/同試験結果に注目していた専門家を落胆させるものだった。・・
●2014年/息を吹き返した抗がん剤「PARP阻害薬」/Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 9 2014年/PARPは存在が指摘されてから働きが解明されるまでに約半世紀を要した・・アストラゼネカ社はPARPプログラムを中止し、他の複数の大手製薬会社も自社のプログラムを売却してしまった。副作用の小さい卵巣がん治療薬になるという期待は消え去ったように思われた。・・・2年前には見通しがあれほど暗かったのに、今ではPARP阻害剤への関心がかつてないほど高まっている
●2018年/遺伝性乳がん・卵巣がんを知る ~遺伝子から選択する薬オラパリブ~/駒込病院 乳腺外科 2018.09.18
なお、昨日4月8日の私のブログへのアクセスは「閲覧数1,687 訪問者数1,082」。
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●卵巣がんや乳がんにPARP阻害薬~開発進む新機序の分子標的薬
がんナビ 2011/08/02 小板橋律子=日経メディカル
・・・(略)・・・PARP(poly[ADP]-ribosepolymerase)阻害薬とは、遺伝性乳がんや卵巣がんの原因であるBRCA1/2遺伝子の機能不全によりがん化した細胞に対して、特異的に細胞死を誘導することを目的に開発が進められている分子標的薬だ。
・・・(略)・・・
ところが今年のASCOで発表された第3相臨床試験では、・・・(略)・・・同試験結果に注目していた専門家を落胆させるものだった。
●息を吹き返した抗がん剤「PARP阻害薬」
Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140912
いったんは開発が打ち切られた抗がん剤「オラパリブ」が、紆余曲折を経て、現在、米国食品医薬品局に承認申請されている。
・・・(略)・・・
オラパリブの開発を行っているアストラゼネカ社(英国ロンドン)は2012年、残念な結果に終わったこの薬剤の臨床試験を中止した。だが、完了した中で最大規模の臨床試験1から得られたデータを再解析2したところ、抗がん剤としての可能性が見いだされた。
PARPは存在が指摘されてから働きが解明されるまでに約半世紀を要した。そして、この成果から生み出されたのがPARP阻害剤のオラパリブである。
・・・(略)・・・
絶好の機会
PARPはDNA損傷の修復を助ける酵素だが、その存在が指摘されてから働きが解明されるまでに約半世紀を要した。そして、この成果から生み出されたのがPARP阻害剤のオラパリブである。理論的には、DNAの二重鎖を修復しないで損傷したままにしておけば、細胞死を引き起こすことが可能である。健康な細胞には、損傷DNAを修復する経路が複数あるため、PARPの働きを阻害してもこれらの細胞に細胞死をもたらす可能性は低い。しかし、がん細胞は、PARP以外の経路による修復ができないような変異を持つことがあり、その場合、PARPの阻害による影響を特に受けやすくなる。つまり、PARP阻害剤の使用は、がん細胞を標的とする一方で健康な細胞には害をあまり及ぼさないため、従来の化学療法の問題点とされる有害な副作用をある程度回避できると考えられるのだ。
PARP阻害剤が最も有効な患者群は、遺伝子BRCA1およびBRCA2の特定の変異型を保有する人々であることが、マウス3や細胞4を用いた研究から示唆されている。この2つの遺伝子は、悪性の乳がんや卵巣がんの一部と関連付けられており、DNA修復に関わるタンパク質をコードしていることが分かっている。
一方、アストラゼネカ社は、オラパリブが広範な卵巣がんに効果を発揮する可能性があるという証拠を得たことで5、オラパリブの臨床試験に参加するBRCA変異保有患者数を制限しないことを決めた。その結果、臨床試験ではオラパリブによる延命の形跡が見られず、多くの研究者は、BRCA変異型のがんに対する有効性の可能性は消えたと考えた。「薬剤開発を止める経緯の見本のような展開になりました」とBirrer。
それと同じ頃、サノフィ社(フランス・パリ)が開発した「もう1つのPARP阻害剤」という触れ込みのイニパリブでも、臨床試験が失敗に終わろうとしていた。研究者らはその後、イニパリブが真のPARP阻害剤ではないことを示そうとしたが、そうなる前に、PARP阻害剤への関心は徐々に薄れてしまった(Nature 2012年3月29日号、519ページ参照)。「イニパリブの失敗で事態は一層悪くなりました」と、メイヨークリニック(米国ミネソタ州ロチェスター)の卵巣がん研究者Scott Kaufmannは話す。
アストラゼネカ社はPARPプログラムを中止し、他の複数の大手製薬会社も自社のプログラムを売却してしまった。副作用の小さい卵巣がん治療薬になるという期待は消え去ったように思われた。「我々はみな、無念の言葉をつぶやき、患者さんたちは嘆きの声を上げました」とBirrerは振り返る。
しかし、ロンドン大学ユニバーシティカレッジがん研究所のがん研究医Jonathan Ledermannが問題の臨床試験データを解析し直したことで、風向きが変わった。この再解析では焦点を変えて、がんと関連するBRCA1変異やBRCA2変異を持つ患者に注目した。その結果、オラパリブにはこれらの変異を持つ患者を延命する効果はないものの、がんの増殖を実際に遅らせる効果があることが明らかになった。この再解析結果は2013年に公表され
・・・(略)・・・
2年前には見通しがあれほど暗かったのに、今ではPARP阻害剤への関心がかつてないほど高まっていると、PARPを40年研究しているラヴァル大学(カナダ・ケベック州)の生化学者Guy Poirierは話す。「今まさに、この分野の黎明期を目にしているのだと感じます」。
●遺伝性乳がん・卵巣がんを知る ~遺伝子から選択する薬オラパリブ~
駒込病院 スタッフコラム 乳腺外科 2018.09.18
PARP阻害薬オラパリブ
オラパリブは、腫瘍細胞のDNA修復機構に着目し、損傷したDNAを修復するPARPというタンパクの働きを阻害することで、腫瘍細胞の増殖を抑制する抗がん剤です。オラパリブは、その作用機序から遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された方の乳がんに対して効くとされており、2018年7月より日本でも特定の乳がん患者さんに対して認可されました。
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