運命の瞬間。激突によりタイヤが舞い上がり、様々なマシンのパーツが飛び散る。大破してスピンするFW16。跳ね返されたマシンが止まった。後ろの座席シートからセナのヘルメットがガクンッと少しだけ動いたのが見えた。しかし、この時、既にセナの意識は無かった。これきり、セナは、動かなかった。
その凄惨な光景に、しばらく現場で立ち尽くしていたコース・マーシャルによって、FW16のコクピットからセナは運び出された。事故後、コース脇に横たわる保護シートに包まれたセナを救急チームが担架に乗せると、セナが横たわっていた跡には空撮映像からでもハッキリと確認出来るほどの大きな血だまりが残っていた。TV放送していた実況アナウンサーは、「え・・?」と声にならない声を発した。ヘリで病院に緊急搬送されるも、手術の可能性は否定され、夕方、脳死状態に陥った後、心臓停止。
この間、出来事を時系列に並べれば以下になる。
14:17 タンブレロ・コーナーに激突
15:00頃 ヘリコプターによりボローニャのマジョーレ病院に到着
15:10 脈が再開
15:50 担当医マリア・テレサ・フィランドリ女医が会見し、手術の可能性を否定
17:00 医師団による記者会見でレントゲン結果報告があり、脳死を確認
18:15 病院の司祭アメデオ・ズッフォがセナの病室へ
18:40 フィランドリ女医がセナの心臓停止確認
19:45 アイルトン・セナ死亡