ノートに書かれていた世紀の大発見に値する証明。キャサリンは何を証明したのだろうか。
実際に、数学の世界では、歴代の数学の天才達が挑戦しては敗れ去っていた長い間証明されていない重要な問題がある。マサチューセッツ州ケンブリッジにあるクレイ数学研究所では、このような古典的な難問を7つ選び、2000年5月24日に賞金百万ドルの懸賞問題として発表した。その7つの問題とは
・リーマン予想
・バーチ&スウィンナートン・ダイアー予想
・P≠NP問題
・ホッジ予想
・ポアンカレ予想
・ヤンーミルズ方程式の質量ギャップ問題
・ナビエ・ストークス方程式の解の存在問題
である。
この中で、リーマン予想は2004年6月に米パデュー大学の数学者ルイス・デ・ブランジェス(Louis de Branges) 教授が証明したと発表したから大騒ぎになった。
http://www.math.purdue.edu/~branges/site
http://www.math.purdue.edu/~branges/riemannzeta.pdf
実際には、数年前から証明できそうだとがんばってたが、この2004年もその証明に失敗してしまったという結果だった。しかし、証明できたと発表した当時は、インターネット上にこのニュースが乱れ飛び大騒ぎだったことは記憶に新しい。
国家安全保障レベルでの「暗号解読者」として、またノーベル経済賞を「ナッシュ理論」で授与されるなどその功績で知られる映画「A Beautiful Mind」の主役プリンストン大学のジョン・ナッシュ教授。そのジョン・ナッシュ教授を狂わしたといわれる「リーマン予想」がついに証明されたということで、みんな非常に興奮したのだった。
このリーマン予想。数式をできるだけ書かずに、簡単に説明しよう。なんと言っても、私は言葉の奇術師なのだから。
素数、つまり「1とその数自身以外に約数を持たない2以上の自然数」をご存知であろう。小さい方から並べると2,3,5,7,11,13,17・・・である。この素数は古代から数学好きの関心の的だ。現在でも、最大の素数探しにスーパーコンピュータが使われて探索が続いている。大きな素数はデータの暗号化に必要だからである。
2以外の素数は奇数である。となれば、例えば8=3+5 とか 10=3+7のように「全ての偶数は幾つかの素数の和である」という予想も立つ。ゴールドバッハの予想と言われるものだ。これも21世紀の今もまだ証明されていないものの一つだ。中学生にもわかるシンプルな予想だが、予想の内容が易しくてもその証明が易しいわけではない。
さて、素数の出現、すなわち、素数の分布密度はどうなのだろうか。数が大きくなればなるほどその数を割る素因数の数が増えていく。だから、数が大きくなれば素数の出現率が低くなるだろうと予想できる。しかし、これを証明するのが大変だ。実際に素数の出現は非常に気まぐれであり、規則性は全くみられない。
この問題に取り組んだのが世紀の天才のベルンハルト・リーマン(ドイツ)である。彼は今から150年も前の1859年に発表した「与えられた量より小さな素数の個数について」という論文で、それがゼータ関数の零点の解明によって得られるだろうと予想した。
ζ(s)=∑(n=1,2,3・・・・・) 1/n^s
「ゼータ関数の自明でない零点の実数部は全て1/2である」と言うのは
s=1/2+iv
を意味している。つまり、複素平面上におけるゼータ関数の非自明な零点の実数部分は常に1/2であるということ。
(明日につづく)