tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

チェンマイ5:10

2019-11-15 21:52:23 | プチ放浪 都会編

街はまだ眠っている。コオロギなどの虫の声に混じってホテルのクーリングタワーの機械音が聞こえる。ナイトバザールと並行して走るヂャルーンプラテート通り。この時間帯に道を行くのは夜通し飲んだくれて、こそこそ帰る朝帰りのカップルが乗る2人乗りバイクか、ホテルの朝番レストランスタッフなど。ほとんど人通りはない。チェンマイは比較的治安のよい街だ。シンガポールに次いで東南アジアNo.2とも。

暗がりを歩いていたら、棍棒を持った男が大声をあげてこちらに向かってくる。黒いパンツに白いシャツ、格好はいたって普通。その横でバーテンダーの格好をした男がなにやら騒いでいる。
すれ違ったアングロサクソン系の大男だ。そいつを店から追い出すため、棍棒を振り回している。振り返ると通り過ぎたアングロサクソン系がなにか口答えをしている。つまり、追い払われてるアングロサクソンと、追っ払っているローカルの2人の男たちのちょうどど真ん中に入ってしまったわけだ。
かなり危ない場面のはずだが、なんだか実感がない。まるでアメリカのコミック誌のひとコマをのぞいているよう。笑い出したりはしないけど、立ち止まってじっくりと観察したい気分だ。

前の晩にここを通りかかった時に、店の前のテラス席に10人ほどの露出の多い若い女性たちが座っているのが見えた。その手の店ができたんだとその時は思っていた。夜が更けて、残ったのは2人の女性。夜食だか、朝ごはんか、卓上コンロでBBQ中だ。

アングロサクソン系が追い出されたのは、きっと下手なちょっかいを出したからなんだろう。そうしたシーンに出くわして笑ってしまいそうになるのは、武器に対する知識が希薄なこともある。しかし、緊迫感がないのは、タイの男たちの顔の迫力のなさからだろう。凄味が感じられないせいだ。

タイにはキックボクシングの伝統武術がある。凄味が感じられない用心棒でも、そうした心得があるのかもしれない。格闘技は得てして鍛錬に基づいた冷静さがモノを言う。迫力のなさ、殺気のなさは、思いのほか武術の達人であるからかもしれない。一度、ランキング上位のキックボクサーのポートレイトを撮ってみたいと思った。はたして、ファインダーに殺気を感じることができるんだろうか。



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