石をこよなく愛する人がいる。いつだったか、その人が南米を旅行してて、空港で荷物が重量オーバーで止められたとか。
グランドアテンダントが冗談でトランクには石でも詰めてるんじゃないかと聞いてきたらしいのだが、実際、彼のトランクは旅先のあちこちで拾った石だらけ。
泣く泣く半分の石を空港に捨ててきたんだそうだ。
たしかに、石は何億年の前に地球の奥深くで生まれ、気が遠くなるような年月を経て、なんの偶然か地上にひょっこりと来たものだ。氷河に運ばれ急峻を転がり落ちて、怒涛の急流に飲み込まれ、いく年もいく年もその身を削られてやってきた。あるいは強い日差しにあぶられて、夜は凍てつく寒さに縮んで砕け散った片割れかもしれない。ぼくらの知らない世界を覗きてきたのだ。
ジオガイドの彼女は溶岩フェチ。なんで溶岩なのか。やはり趣味は説明不可だ。
一緒した三原山トレッキングの途中でモグモグタイム。天辺から吹き降ろす強い風を避けて、(彼女の大好きな)溶岩の影に座る。
「クイズです。どれが溶岩でしょうか?」
エクアドル産の豆をドリップしたあったかいコーヒーをサーモスから淹れながら、彼女お手製の石ころ状にかたどったクッキーをご馳走してくれる。
クッキーは溶岩を模してココアで黒褐色に、ところどころクラッシュしたナッツでさらに溶岩らしさをつけ足してある。
「これでしょ!」
テレビの番組なんかでの、本当は全部食べられるクッキーだというオチだろうと思いこんでかじったクッキーは本物の溶岩だった。
・・・ったく、溶岩フェチのすることは説明不可。
ちなみに、本物(?)のクッキーの方は、風味豊かで甘さも上等。大島の牛乳せんべいのような味。大島の観光土産として店に出せば人気商品になりそうなクッキーだった。また食べたいなあ。
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