
水害がここまで広大な地域に及ぶとは、誰が予測できただろう。台風19号は71もの河川で堤防が決壊し、13都県で死者80人以上、浸水家屋6万棟を超える被害をもたらした。
国連の気候変動に関する政府間パネルでは、1981〜2000年には20年に1度しか起こらなかった大雨が、2046〜2065年には十数年に1度、2081〜2100年には8〜10年に1度生じるようになると指摘している。
気温が上がると、大気中の水蒸気量も増加する。人間活動による二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が増加したため、産業革命前に比べ、地球全体の平均気温がすでに1度上昇した。このため、豪雨がより激しく、頻度もより高くなっている。
その一方、1980年代から90年代にかけインフラも整備され、甚大な風水害の頻度が減った。そのため慢心した。ハリウッドの映画をまねて、どこかの政党政権時代の事業仕分けで、「スーパー堤防はスーパー無駄遣い」というセンセーショナルな発言があったのは記憶に新しい。
その政党の過ちはそれだけでなく、世界一目指さないと2位にもなれないことも想像すらできなかった。普通なら自分の無知を恥じて、その後は黙るものだ。
日本はいつから自分の言動に責任を取らなくてもよい国になってしまったのだろう。
風水害の被害は深刻だ。「まさか」が「またか」になってきた。だが、人口減少社会で、高齢化が進み、社会保障費の増大などで財政事情は厳しい。日本がこれからできることは、より安全な土地に集まり、最低限のエネルギーを効率的に消費しつつ快適な生活ができるよう工夫する社会づくりだ。
責任を取らない政治家に任せきりにするのではなく、国民すべてが積極的にかかわっていくのが必要だ。まったなしで自分たちで創意工夫して被害を減らしていく時代になった。
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