私は元来、書籍・雑誌の類は読まない質です(但し、新聞は全国紙2紙を日々欠かさず目を通しています)。読む機会があるとすれば、旅先の空港で待ち時間を潰すためくらいです。そんな私ですが、「アウンサンスーチー 新ビルマからの手紙 1997~1998/2011」は一気に読み終えてしまいました。手紙の一字一句には、スーチーさんがビルマという国、そしてそこに住む人々を敬愛し、未来への希望が持てる国を目指して、心を砕いていることが読み取れました。
長く続いた軍事政権は、スーチーさんを3度自宅軟禁(ある時期には収監されたこともありました)し、現在議長を務める国民民主連盟(NLD)党員に対しては、言われなき罪で拘束・収監を繰り返しました。しかし、スーチーさんの手紙には、軍事政権を批判する記述はあっても、そこで働く人々を非難する言葉はありませんでした。
スーチーさんは、1985~86年京都大学東南アジア研究センター客員研究員に就いていたこともありました。
2011年4月には、東日本大震災の被災者に励ましのメッセージが届けられました。その一部を紹介します。
「悲しいことに、ビルマには他国へ救援物資を送る余裕がない。でも、私たちは
知っている。日本人の強さには剛と柔の両面性があり、逆境に立ち向かう際に
見せる強靭な精神力だけでなく、繊細な美意識や詩歌をめでるしなやかさを併
せ持つことを。だから、物資の代わりに、詩を寄せ合うことにした。ビルマ人
の精神を示そうと」
最後になりますが、軍事政権により政治・経済が長く停滞していましたが、教育には力を入れていたようです。識字率も高く、その上勤勉な国民性を持ち合わせているので、民主化後には大きく飛躍することでしょう。