「生きていくのにそんなにたくさんは必要としない」(マサイ族)
第三部は牧畜を柱とする伝統的な暮らしを送るマサイ族の暮らしぶりや考え方を、マサイ族戦士・ジャクソン・オレナレイヨさんやその第二婦人の永松さん、そしてもう岡山にはお馴染みとなった早川さんの三人での映像を交えたお話しであり、とても学ぶべきことが多く、様々なことを考えさせられた。
マサイ族が住むコミュニティには電気もなければ水道もないそうだ。そして、一人一人に役割があり、長く生きて知識を持つ長老はとても敬愛され、子ども、青年、そして大人ではその挨拶の仕方も異なるそうだ。
そんなマサイ族での生きることについて、ジャクソン・オレナレイヨさんは「人が生きていくのに必要なものはそんなに多くはない。大切なのは家族と友人と牛」とのことだ。永松さんの嫁入り道具は、「牛四頭」だったそうだ。
ところで、現地の住居にはダニが異常に多く、永松さんは大変に苦しめられたが、マサイ族の人たちはちっとも咬まれないそうだ。マサイの人たちは薬草などを常食しており、身体が浄化されており、ダニが寄りつかないとのことだ。自然と共に生きる、それはとても大切なことだと改めて知らされた。
そんなマサイ族の成人の儀式は、ライオンの狩りだそうだが、法律では野生生物の保護で禁止となっているなど、「伝統と変化のはざま」での悩み・苦しみもたくさんあるとのことだ。自然と共存し伝統的な暮らしを続けるマサイ族を襲う環境破壊・地球温暖化の近代化の波にも直面しているとのことだ。放牧民族にとって、雨が降らず草がたっぷり生えないことも死活問題だ。
そんな中でも、大変な変化に翻弄されることなく、変化を容認しつつ伝統を守り続ける努力を重ねているマサイ族のみなさんに、心からのエールを送りたい。
ともあれ、たっぷりと感動と学びをもらった「ウペポ ~ケニアからの風」だ。主催してくれた友人を始めとするスタッフみんなに心から感謝した。