2パーセントインフレ目標は適切か?
景気回復のことになると、安倍さんも黒田さんも「インフレ率2パーセント」を目標にと言っています。
このブログではいつも指摘してきましたが、「何故2パーセント」なのでしょうか。
日本より先に異次元金融緩和からの脱出を決断したアメリカも、確かに目標インフレ率は2パーセントと言っています。日本でも2パーセントというのはアメリカに倣ってのことなのでしょうか。
インフレ率とか失業率というのはそれぞれの国の国民意識(社会文化)によっても微妙に違うようです。
失業率ですと、5%といえば、アメリカでは「完全雇用に近い」ということですが、日本では「未曽有の高失業状態」ということになるでしょう。
インフレ率(消費者物価指数の上昇率)でも具体的な数字で見ますと、2015年までの5年間の平均上昇率はアメリカ1.67パーセント、日本0.47パーセントです。
それ以前も、日米の差はより大きいので、なんでアメリカと同じ目標なのか理解に苦しむところです。
国情(社会・文化の背景も含め)の違いを無視して同じ数字を目標にするというのが、経済学的にも社会学的にもおかしいというのが、インフレ目標2パーセントの 第一の問題点です。
さらに、もう一つ問題点があります。
安倍総理もアメリカの経済学者からレクチャーを受けているようですが、彼らの言うことを聞いていると、物価については、やはり伝統的な貨幣数量説(モノやサービスよりもお金がたくさん増えれば物価が上がる)が基本と認識されているようです。
ですから、インフレ率を高くするためには金融政策(中央銀行がお金をジャブジャブにする)が中心と考えているのです。
アメリカの場合は金融緩和をやめていこうという状況ですから、物価はなかなか上げりません。おカネの流通量を引き締めて、金利を高くしたいというのですからこれはうまくいかないのが当たり前です。
しかも、金利を引上げればドル高になります。ドル高になれば、アメリカの物価は国際比較して高くなりますから、ますます物価は上がりにくくなります。2パーセントになるのを待っていても多分駄目でしょう。
そのうえドル高で国際競争力も弱くなりますから赤字体質も進みます。 まさにアメリカのジレンマです。
日本では、安倍政権が、賃上げを大幅にして、 コストプッシュインフレを起こせばいいと考えているようです。しかし、賃金が2パーセント余計上がっても、物価が2パーセント余計に上がれば、我々の生活は変わらず(政府の借金の負担は軽減しますが)、年金財政が悪化するぐらいで、良いことはありません。
国際金融の世界では、アメリカは金融を引き締めてもドル高にならないように、いろいろな努力をしているようです。日本の円安政策は怪しからんとの批判も強めています。
ここで最も大事な問題点が出てきます。
今の物価問題は、かつてのように、一国内でどうにかなる問題ではないのです。同じものを安く作る国があれば、そこから物が入ってきますから物価は上がりません。
世界中で物価が上がらなくなっている現状は、低コストの新興国に先進国の企業の技術が入って、どんどん安いものが出回るようになったことが根本原因でしょう。
自分の国の政策だけで何とかなるなどと、インフレ目標を決めてみても、うまくいかなくて当然です。
金融政策も財政政策も、物価への影響はどんどん小さくなっています。そして、その結果が、為替政策の活用への傾斜ではないでしょうか。
日本でも、最近の円高傾向が続けば、2パーセントインフレ目標など遠のくばかりでしょう。
そんなこんなで、またマネー戦略を駆使した為替戦争なんてことでは、世界経済は行き詰まるだけではないでしょうか。
景気回復のことになると、安倍さんも黒田さんも「インフレ率2パーセント」を目標にと言っています。
このブログではいつも指摘してきましたが、「何故2パーセント」なのでしょうか。
日本より先に異次元金融緩和からの脱出を決断したアメリカも、確かに目標インフレ率は2パーセントと言っています。日本でも2パーセントというのはアメリカに倣ってのことなのでしょうか。
インフレ率とか失業率というのはそれぞれの国の国民意識(社会文化)によっても微妙に違うようです。
失業率ですと、5%といえば、アメリカでは「完全雇用に近い」ということですが、日本では「未曽有の高失業状態」ということになるでしょう。
インフレ率(消費者物価指数の上昇率)でも具体的な数字で見ますと、2015年までの5年間の平均上昇率はアメリカ1.67パーセント、日本0.47パーセントです。
それ以前も、日米の差はより大きいので、なんでアメリカと同じ目標なのか理解に苦しむところです。
国情(社会・文化の背景も含め)の違いを無視して同じ数字を目標にするというのが、経済学的にも社会学的にもおかしいというのが、インフレ目標2パーセントの 第一の問題点です。
さらに、もう一つ問題点があります。
安倍総理もアメリカの経済学者からレクチャーを受けているようですが、彼らの言うことを聞いていると、物価については、やはり伝統的な貨幣数量説(モノやサービスよりもお金がたくさん増えれば物価が上がる)が基本と認識されているようです。
ですから、インフレ率を高くするためには金融政策(中央銀行がお金をジャブジャブにする)が中心と考えているのです。
アメリカの場合は金融緩和をやめていこうという状況ですから、物価はなかなか上げりません。おカネの流通量を引き締めて、金利を高くしたいというのですからこれはうまくいかないのが当たり前です。
しかも、金利を引上げればドル高になります。ドル高になれば、アメリカの物価は国際比較して高くなりますから、ますます物価は上がりにくくなります。2パーセントになるのを待っていても多分駄目でしょう。
そのうえドル高で国際競争力も弱くなりますから赤字体質も進みます。 まさにアメリカのジレンマです。
日本では、安倍政権が、賃上げを大幅にして、 コストプッシュインフレを起こせばいいと考えているようです。しかし、賃金が2パーセント余計上がっても、物価が2パーセント余計に上がれば、我々の生活は変わらず(政府の借金の負担は軽減しますが)、年金財政が悪化するぐらいで、良いことはありません。
国際金融の世界では、アメリカは金融を引き締めてもドル高にならないように、いろいろな努力をしているようです。日本の円安政策は怪しからんとの批判も強めています。
ここで最も大事な問題点が出てきます。
今の物価問題は、かつてのように、一国内でどうにかなる問題ではないのです。同じものを安く作る国があれば、そこから物が入ってきますから物価は上がりません。
世界中で物価が上がらなくなっている現状は、低コストの新興国に先進国の企業の技術が入って、どんどん安いものが出回るようになったことが根本原因でしょう。
自分の国の政策だけで何とかなるなどと、インフレ目標を決めてみても、うまくいかなくて当然です。
金融政策も財政政策も、物価への影響はどんどん小さくなっています。そして、その結果が、為替政策の活用への傾斜ではないでしょうか。
日本でも、最近の円高傾向が続けば、2パーセントインフレ目標など遠のくばかりでしょう。
そんなこんなで、またマネー戦略を駆使した為替戦争なんてことでは、世界経済は行き詰まるだけではないでしょうか。