tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

どんな経済政策が可能か? コンセンサス社会の作法

2016年03月30日 11時29分26秒 | 経済
どんな経済政策が可能か? コンセンサス社会の作法
 前回、コンセンサスがないと日本の社会は動かないと書きました。逆に、コンセンサスがあれば、ほかの国ではできないようなことが日本ではできるのです。
 その明白な例は、1970年代、2回に亘ったオイルショックへの対応です。この点はすでにこのブログでも しっかり説明してきましたのでそちらをお読みいただくとして・・・。

 ところで、いま日本経済の最大の問題点は、消費需要の不足、つまり消費の不振です。
 消費が増えれば、経済は活性化し、経済成長率が高まります。企業の収益動向にもプラス、雇用にもプラス、賃金上昇にもプラス、技術開発のテンポも加速し、生活の快適さも増し、多分、その上に国際収支の経常黒字が減少して、円高の心配が薄れます。

 いいことばかりですが、アメリカではこうした政策は安易に取れません。理由は、国際収支が赤字になって、国の経済基盤が怪しくなるからです。貯蓄大国日本では当面その心配はありまあせん。黒字過剰、消費不振のほうが心配なのです。

 安倍政権は、企業が賃上げすれば消費が増えるといっていました。しかし、労働組合が「大幅賃上げ」といいませんし、企業もあまり反応を示しません。
 これでは駄目だから、今度は消費税の引き上げを伸ばそうかということになります。しかし、それを伸ばしても、消費が増えるかは不明です。明らかなのは駆け込み需要がなくなることぐらいでしょう。

 一方、日本は、世界最大の個人貯蓄(1600兆円)を持っています。今までは政府が国債を発行して、それを借りて財政支出に使っていました。しかしそれが1000兆円を超えて、まともな金利を払ったらたちまち財政破綻というところまで来ています。

 財政破綻にならないように、消費増税をするのですが、それをやると、消費不振で経済成長が止まってしまう、という困った状態です。

 ということですから、今日本経済にとって必要なことは、国民が、あまり貯め込まないで少しおカネを使ってくれということになるのです。
 さて、どうしたら、国民が、我々の家計が、消費を増やすでしょうか。これが今、安倍政権、あるいは日本国民に投げかけられている設問です。

 財政出動(ケインズ政策)は限界、金融政策なマイナス金利の迷路、賃上げ奨励に賭けてみたが労使の反応は冷ややか、消費増税を伸ばしても所費が伸びるかどうか解らない。
 今までの経済学や経済政策では「もう打つ手がない」ということでしょう。

 スティグリッツやクルーグマンが言うように財政出動をして、財政のプライマリー・バランスなどは無視して、そのあと政府は責任を取れるのでしょうか。
 日本国民は頭がいいですから、これは本気で「先行きは益々悪くなる」「将来は増税ラッシュか」と財布のひもを締めそうな気配です。

 こうした窮地では、外国では強いリーダーシップに縋るのかもしれませんが、日本では「みんなで相談しよう」ということになるのが自然です。それがコンセンサス社会の特徴です。長くなるので次にします。