tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費増税と経済成長の両立の知恵を

2018年07月27日 10時52分17秒 | 政治
消費増税と経済成長の両立の知恵を
 多くの人が「消費税を増税すると景気が悪くなる」と考えているようです。政治家は特にその考えが強く、特に与党になると消費増税をして選挙に負けては大変ですから「何とか消費増税は避けて通りたい」と思うようです。

 安倍さんもそう考えているようで、2016年には「2017年4月からの消費増税は2年半延期します」と言ったうえで、「ただし国民の意見を聞いて決定します」そして「7月の参院選で国民の皆様の意見を聞きます」という説明だったと思います。

 消費増税は国民の懐には痛いし、景気が悪くなるのは嫌ですから「延期してほしい」という意思表示をするためには自民党を勝たせようという事になります。
 そのうえ、安倍さんは「延期しても、財政再建には影響ありません」と言っています。
 しかし現実には、2020年のプライマリー・バランス達成を反故にしたことはご承知
の通りです。

 しかし、もし国民が、「消費増税をした方が、財政も健全になり、経済政策も取り易くなり、格差社会化の歯止めにもなり、経済・社会は安定し、ひいては景気にも好影響がある」と理解するようになれば、結果は全く違うでしょう。

 という事で、「消費増税は、国民生活や景気にプラスかマイナスか」を、政府は「丁寧に、真摯に」国民に説明しなければなりませんし、それは政府の義務ですが、マイナス・イメージが一般的だから、それをうまく利用して、選挙に利用したりするという事になるのが現実のようです。

 消費増税をマクロ経済の見地から見れば、現状では一般的には、景気には中立で、長い目で見れば、経済にはプラスというのが真実に近いのだろうと思います。
 
 具体的に考えますと、消費増税で政府の収入が10兆円増えたとします。支払うのは家計ですから、家計に購買力は10兆円減ります。
 しかし、政府は「消費増税分は全て社会保障費に充てます」と言っていますから、国民の社会保障費の負担は10兆円減ることになります。
 違いは国民が直接使うか、国民は政府に払って、政府が使うかだけです。

 社会保障費の場合は、所得の多い所帯より少ない所帯の方に手厚くなりますから、格差是正の効果があり、社会はより安定します。
 という事で、ヨーロッパ、特に北欧諸国などは豊かで快適な社会を作ってきたのですが、日本で問題になるのは、全額社会保障に使ってもらえるかどうかといった「 政府の信用」の問題があるという事でしょうか。

 モリ・カケの様な事が起こると、国民は、こういうのは氷山の一角で、消費税は払ったけれど、時の政府の都合で、勝手に使われ、きちんと家計に還元されていないのではないかと疑心暗鬼になります。それなら私も消費税増税反対となるでしょう。

 来年秋は消費増税をすることになっていますが、それまでに、この辺りの事をしっかり説明してもらわないと相変わらず間違った政策が続くことになり、結果も間違ったものになるという事になります。

 蛇足ですが、消費税増税前には駆け込み需要があり、上がった直後は消費が減ります。然しこれも均してみれば、傾向線に沿ったものですし、政府がきちんと家計に還元してくれることが解っていれば、こうした変動も少なく刈るでしょう。

 こうしたことは、国民と政府のきめ細かい対話があって成立することで、虚偽の説明や改竄、記録破棄、記憶にないなどと言って、国民への説明責任を果たさず、その上で、国民からの不振を逆手にとって「消費増税を延期します」と言って国民を喜ばそうとするようでは、国民の不信はますます強まるばかりでしょう。
 消費増税来年10月。あと1年の間に政府はきちんと説明できるでしょうか。