tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

対新型コロナ:日本経済急落と再生:1

2020年05月20日 17時49分22秒 | 文化社会
対新型コロナ:日本経済急落と再生:1
 先日、今年1-3月のGDPが発表になり、前期比マイナス0.9%、年率換算マイナス3.4%の落ち込みと発表されました(実質値)。これからの大きな落ち込みを示唆する、いわば微かな兆しの様なものでしょう。

 4月、緊急事態宣言、5月一部解除、ですが、まだ安心は禁物とのことです。
 マスコミも、これからGDPのマイナス20%ぐらいを覚悟する必要があると警鐘を鳴らしています。恐らくその通りでしょうし、一時的にはもっと大きい落ち込みの可能性もあるように思います。

 経済活動(GDP)は、生産、分配、支出の3面等価で計算されますが、いまの経済は支出主導、つまり消費主導が大きいようですから、消費が減れば生産も分配も(現実にはかなり不均等な形で)減ることになります。

 前期1-3月の統計では家計の消費はマイナス0.8%で年率換算マイナス2.8でしたが、4月からは大幅減でしょう。
 家庭生活が「stay home」という事になると、新幹線も国内航空も9割減といったことになっています。
 食料品消費は大きくは落ちないでしょうが、観光地のホテル、旅館や街のレストランやカフェ、スナック、バーなどは来客ゼロで、出来るところは出前やテイクアウトに切り替えて少しでも凌ぐ努力中ですが、容易な事ではありません。

 旅行関係の企業やお店の売り上げが減ればそれは従業員を減らしたりボーナスや給与を一時的に下げたりでさらに業務上の支出を減らします。企業も当面設備の新設や更新はしないでしょうから設備投資も落ち、経済は加速度的に縮小するのです。
 この影響は4-6月の統計からはっきり出て来るでしょう。GDPの減少幅は桁違いに大きくなると思います。

消費者物価統計によれば、消費支出100のうち、食料の比率は26%、住居21%、水道光熱7%、家具家事用品3%、衣料4%、保健医療4%、交通通信15%、教育3%、教養娯楽10%、諸雑費6%です。
食料のうちの外食、衣料、交通、教養娯楽、諸雑費(合計40%)などは多分大幅減になるのではないでしょうか。関係業界は塗炭の苦しみでしょう。

 消費面だけから見ても事態は深刻です。これに輸出入の停滞、訪日観光客急減、国際的なサプライチェーンの分断などなどが加わります。海外からの原料や部品が入らない。製造現場も深刻です。

 こうしたGDPの縮小(経済のマイナス成長)は、世界中どこの国も避けられないのです。アメリカを始め、多くの国が、新型コロナ感染の危険を冒してまで、経済活動の維持に躍起になっているのは、「新型コロナウィルスのもたらす経済縮小を国民が我慢できない」、「この侭では政権担当能力を問われる」という危機意識でしょう。

 つまり、政権担当者は、コロナ感染を防ぐか、経済縮小を防ぐかの二者択一を迫られているという強迫観念の中にあるのでしょう。
 ここで、政権担当者に誤った選択をしてもらわないために、国民は何ができるのでしょうか。
 
 最も重要なことは、国民が「(一時的だが)今は非常時、」という意識を共有し、GDPが縮小するのであれば、自分の生活水準が同程度の縮小になることも許容する心構えを持つ事が必要でしょう。
 しかし、コロナ禍の経済的影響は、業種や職種によって極端な格差を生じます。そしてこの格差発生への対応は多分、中央、地方の政府の仕事になるのでしょう。

 もちろん、コロナ禍の期間は永遠ではありません。例えば2年程度で克服可能という見方は、専門分野の方々にも多いようです。そしてその期間は政策宜しきを得れば、平常時に戻るための苦しくても前進の期間です。

 そして、新しい平常時への到達の時を出来るだけ早くするためにも、感染の防止、社会の安定への国民全体(企業・個人)の協力、相互扶助体制が大事でしょう。これまでの日本社会は、かなり上手に、このプロセスを辿って来ているように感じられます。

 では、政府は何をすべきでしょうか、この問題も確り考えておかなければならないと思います。(長くなりますので以下次回)