tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

対新型コロナ:日本経済急落と再生:2

2020年05月21日 18時09分53秒 | 文化社会
対新型コロナ:日本経済急落と再生:2
 政府が今までやったことは、マスクの配布(まだ来ていない所が多い)、1人10万円補助、企業への補助金、その増額、企業の資金繰り援助、雇用調整助成金の増額、などいろいろありますが、残念ながらすべて「後追い」の感を否めません

 こうした政策はもちろん必要ですが、そのプロセスから感じられるのは、国民への安易な迎合、いわゆるポピュリズム(人気取り)的な意識です(野党も同様)。
 本当に新型コロナ禍の起こす問題に、適切に合理的にその終息を目指す戦略といった面では認識が大幅に遅れていたように思われてなりません。

 例えば、コロナ禍の影響は極めて不均等に企業や個人を襲います。この「豊かな日本」の中で異常な所得格差が発生して、貧困に苦しむ人々が増え、社会を不安定にしていくのが新型コロナウィルスです。
 この是正は基本的に政府の役割でしょう。政府の対応は迅速で的確でなければならないのですが、現実は後追いとバラマキが目立つものでした。 

 さらに言えば、新型コロナ問題の本当の解決は、新型コロナウィルスの制圧、別の言葉で言えば、新型コロナがインフルエンザと同様なものになり、通常の生活でそれと共存できるといった状態を実現することでしょう。この視点は未だに大幅に欠落しているのではないでしょうか。

 治療設備の充実、治療方法の改善、治療薬やワクチンの開発といったものが決定的に重要な、まさに問題解決のカギですが、そちらの方への強力な関心はなかなか見えません。
 
 これは現政権だけではありません。我が国では、医療を含め研究開発関連の予算は長期にわたり、 削りに削られています
 コロナ問題に関して言えば、典型的には国立感染症研究所の予算も人員も削減され続けている現実があります。研究開発軽視はこれは与野党共通のようで、民主党政権の時には「スーパーコンピュータは世界1位でなくては駄目ですか。2位では・・・」という言葉が有名でしたが、スパコンの速さは創薬の加速化にも欠かせないようです。

 コロナで問題になった医療設備の不足については、ドイツが、ロベルト・コッホ研究所の予測と提言を容れて感染症の病棟、人工心肺などの医療設備を、先見性を発揮して充実させていたのとは雲泥の差です。

 PCR検査の制限、抗体検査の遅れに対しては、民間企業の垣根を越えての協力や地方自治体のホテルの病室転換などの機転もあり、国民の自制もあって、初めて医療崩壊を免れた(院内感染の多発などは崩壊と言えるのかも)というのが実態でしょう。

 因みに、適切な比較かどうかは別として、国立感染症研究所の年間予算40億円、アベノマスク配布費用690億円という数字を掲げておきましょう。

 コロナで急激に落ち込むことになる日本経済ですが、恐らくそう遠くない将来(医療、医薬の進歩を考えて2年程度という意見を聞きますが)、コロナの制圧とともに、日本経済は急回復期に入るでしょう。

 その時を早く迎えるために何をすべきか、その時の回復をより順調なものにするために何が必要かを準備する先見性、洞察力が政府の政策には必須です。

 国民は政府よりよほど賢明で、個人も企業も、そうして視点で、政府の顔も立てながら、懸命に頑張っているのではないでしょうか。
 たとえ政府のバラマキ政策であっても、国民はそれを出来るだけ無駄の無いように賢く使うでしょう。
 
 現状では可能なことは感染防止のため人の接触を最小限にすること、これは経済活動を大きく落ち込ませます。しかし、それを凌ぐことしか手段はありません。大事なことは真剣に徹底して凌ぐことでしょう。ただし更に大事なことはその中でも、経済回復の時期への準備だけには、最大限の努力をすることでしょう。

 そして同時に、新型コロナウィルス制圧のための研究開発に徹底してヒトとカネをつぎ込む事です.開発期間は注ぎ込むヒトとカネの量に反比例して短くなるはずです。

 経済回復期に向かっての準備には政府のバラマキも役に立って民間は適切な準備をするでしょう。
 あと、真に望まれるのは、新薬やワクチンの開発のために政府がどこまでやるかです。 第1次補正予算では情けない状態なのではないでしょうか。第2次補正でどこまでやるか政府の真剣さが問われるところでしょう。