tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済・社会に混乱を齎す格差社会化をどうする

2022年02月01日 20時44分21秒 | 文化社会
経済・社会に混乱を齎す格差社会化をどうする
1980年代末期のバブルの時期も入るかもしれませんが、それ以前の多くの試練、最終的には二度にわたるオイルショックを克服、スタグフレーションに苦しむ欧米主要国をしり目にジャパンアズナンバーワンと言われる時代を作り上げ、自らも一億総中流社会などと自負したのは「戦後の昭和の日本」でした。

その後欧米とのリターンマッチに敗れて(為替敗戦)、30年余の経済低迷と進行する格差社会化に苦しみ、自嘲的な悲観ムードにどっぷりと汚染された日本が我々の現実となり、今や、猛威をふるうコロナウィルスの中で、進むべき方向を見失っている日本です。

この日本の栄光からの転落をもたらしたのは、世界経済が固定相場制から変動相場制に変わったことにあり、日本は固定相場制の中での経済運営には最も適切に対応できた国ですが、変動相場制の下での経済運営には残念ながら適切なノーハウを持っていなかったことだったという事になるのでしょう。

今の日本は30年に及ぶ円高不況の苦しみを経て、変動相場制の中での経済運営にある程度のノーハウを持ちつつありますが、国民意識全体がそれに対応するようになるには未だ時間がかかりそうです。

一方、資本の自由化は進み、国際投機資本は、変動相場制下の世界の金融市場で金融工学を自在に使いこなし、「付加価値生産より資本の移動」という形での富の奪い合いが益々盛況というのが今日の状態でしょう。

現在、世界的な問題となっている経済における格差社会化という現象は、そうした大きなうねりが背景をなしているといえるでしょう。

日本経済もその中に巻き込まれ、格差社会化の波をかぶりつつあります。
放置すればこの格差化の傾向は、ますます進むでしょう。そして、この金融経済の影響による格差社会化は、実体経済と遊離し、実体経済の不振をもたらし、人類社会の豊かさの進展を阻害し、SDGs(持続的開発目標)の達成を阻害することになりそうです。

そうした前提のものとで明確な視座をもって政策を打っていかないと、今の日本経済の不振は、たとえ新型コロナ問題が終息しても、本当の解決、新しい日本経済の発展の方向を見定めていくことは多分困難でしょう。

そんな意味で、今後の日本経済の安定発展の方向を見定めるために必要な問題をこれからも随時取り上げていきたいと思っています。

勿論その中では、かつて、高度成長期を通じて作り上げた、古き良き昭和の時代の 日本独特の政策も役に立つものですが、そうして政策を、今日の、変動相場制、金融資本主義全盛の中でいかに可能にして行くかが大きな課題になってくるでしょう。 

オミクロンの脅威はまだ続くでしょうし、更なる新型株の出現もないとは言えません。
しかし、人類は必ずコロナの制圧に成功すると信じて、その先の経済政策を今から考えることは本当に大事で、いわば必須なのではないでしょうか。
そんな探検に、お付き合い頂ければ幸甚です。