tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

8月家計調査:平均消費性向上昇続く

2022年10月07日 14時17分13秒 | 経済
  <平均消費性向の対前年同月比較>

                    資料:総務省「家計調査」
今日、総務省夜8月分の家計調査が発表になりました。

結果は消費支出の伸びが目立つもので、いずれ7-9月のGDP統計の速報には反映してくると思いますが、問題は消費の伸びの原因で、コロナ終息、消費者物価の上昇基調、中でも9月、10月からの価格引き上げが目白押しという事で「駆け込み需要」など種々の原因が考えられます。

以下概況を見てみましょう。
2人以上世態全体の消費支出は名目では前年同月比8.8%と大きく伸びています。

同じく今日発表の厚労省の毎月勤労統計の賃金給与総額は1.7%の上昇で、自営業世帯も入っていて世帯調査の家計調査とは調査対象にズレがありますが、1.6%でほぼ同じです。

つまり収入は1%台の伸びですが、支出の方は8.8%も伸びたという事で、家計としては「消費はさておき貯蓄を増やすという生活から、一気に消費重視に気分を変えたという事になります。

という事で、消費の中でも何が増えたのかを見てみますと。巣篭値需要とは大分違う仮定の行動の変化が見られます。

巣篭り需要で増えていた住居関係、家具家事用品といったものは伸びず、最も伸びているのは教養娯楽の22%、保健医療の14%、水道光熱の12%はいた吾仕方ないとして、外出増加でしょう交通通信12%、巣篭りでは伸びなかった被服履物が10%と好調です。加工食品の値上がりがマスコミを賑わす食品は5.6%といったところです。

こんな状態ですから、このブログが注目している平均消費性向も大幅な伸びです。
毎月観測している「2人以上勤労者所帯」では可処分所得(手取り収入)の伸びが名目1.2%実質は物価上昇を差し引いてマイナス2.2%であるにも関わらず消費支出は9.6%伸び物価法相分を差し引いた実質でも5.9%伸びて、「平均消費性向」は、昨年8月の65.0%から70.4%に5.4ポイントも上昇しています。

さあ手この辺りの原因の分析ですが、先ずコロナの鎮静化を政府が認め、対策としての行動制限を緩めたことがまず大きいでしょう、次に考えられるのは、消費者物価の上昇傾向でしょう。

特に、加工食品や外食、テイクアウトなどの価格を9月からとか10月からとか発表する企業が多く、マスコミも「何万品目値上がり」などと報道するので、消費者も買い急ぐというインフレ特有の現象も起きます。

このブログでは、何かのきっかけで平均消費性向が上がり、それをきっかけに、賃金物価、国内の価格調整のメカニズムが何らかの潤滑油を得てスムーズに回り始め、経済全体が持てる力を余計な摩擦に邪魔されることなく回転を始めることを願いつつ「平均消費性向」の追跡をやっているのです。

もし順調にコロナ明けが来るようであれば、それをきっかけにして、政府、労働側、経営者側が知恵を併せることでそれが可能になる「可能性」を見たいと思っています。

来春にかけて、日本の政労使が、何をするかでそれが基あるでしょう。その都度ブログで取り上げながら期待したいと思っています。