昨日、日銀から輸出入物価と企業物価の7月分が発表になりました。
マスコミの報道では企業物価の対前年上昇率が7カ月連続で低下しているといった企業物価の安定傾向が指摘されています。
企業物価というのは、以前は卸売物価と言われていたもので、日本経済が成長していた時代には卸売物価は余り上がらずに消費者物価がいつも上がっているというのが常識でした。
卸売物価は物が中心の物価ですから、日本の製造業は生産性が上がるので、卸売物価は余り上がらず、一方、各種サービスなどを含む消費者物価は毎年生産性上昇以上の賃上げがあるので常に賃金インフレ傾向でした。
以下、毎月続けている所要3物価、輸入物価、企業物価、消費者物価の3指数の最新の動きを見てみましょう。
主要3物価指数の推移
資料:日本銀行、総務省
先ず、主要3物価の原指数の動きです。
輸入エネルギー価格の影響の大きい輸入物価(青線)は昨年夏から下がり続けです。最近下げ止まった感じですが、これは円建てなので、円安のせいで下げ止まりですが、契約通貨建てではもっと下がっています。今の円安は些か異常で(アメリカの利上げ志向のため)、一時的でしょう。
企業物価(赤線)は輸入物価下落の影響で今年に入っては殆ど横這い、微かな下げです。当初輸入価格の転嫁が進まず、今春あたりから政府や財界も価格転嫁促進を言うようになりました。
価格転嫁が遅れたのが価格が下がらない要因ならば、今後次第に下がるでしょう。
消費者物価(緑線)は、7月までのグラフにするため、総務省の消費者物価統計の内、発表の早い東京都区部の速報です。これは昨年春からずっと上昇続きです。
原因は皆さんご承知の、アベノミクス下で価格転嫁が困難だった反動ともいえる業界ぐるみ一斉値上げの波状展開のためです。
コロナもあり、消費者物価は上がらないものなどと思われていましたが、輸入物価、企業物価の上昇は当然消費者物価にも影響が及んできます。値上げ我慢が限界にきて爆発したのが波状一斉値上げの繰り返しというのも解りますが、最近の値上げ幅が、生活必需品中心に年率10%前後という状況は、些か問題でしょう。家計調査の中では、既に需要減退の傾向もみられるようです。
これを対前年同月の年間上昇率に引き直したが下図です。
主要3物価の対前年同月上昇率(%)
資料:上に同じ
円安があっても、輸入物価は下落です。企業物価は上昇期から安定期に入ったので、対前年同月の上昇率は下がります。消費者物価だけは、相変わらず上昇基調を維持しているようです。企業物価と上昇率が逆転するかもしれません。
これからの電気料金の値上げはどうなるのかも心配ですし、10月から値上予定が食料、飲料など6305品目(NHK「サクサク経済」)という報道もあります。
消費者物価の上昇は、まだ続きそうな気配ですが、価格機構(消費者の購買心理)がどこまで許容するかがカギになるのでしょう。
マスコミの報道では企業物価の対前年上昇率が7カ月連続で低下しているといった企業物価の安定傾向が指摘されています。
企業物価というのは、以前は卸売物価と言われていたもので、日本経済が成長していた時代には卸売物価は余り上がらずに消費者物価がいつも上がっているというのが常識でした。
卸売物価は物が中心の物価ですから、日本の製造業は生産性が上がるので、卸売物価は余り上がらず、一方、各種サービスなどを含む消費者物価は毎年生産性上昇以上の賃上げがあるので常に賃金インフレ傾向でした。
以下、毎月続けている所要3物価、輸入物価、企業物価、消費者物価の3指数の最新の動きを見てみましょう。
主要3物価指数の推移
資料:日本銀行、総務省
先ず、主要3物価の原指数の動きです。
輸入エネルギー価格の影響の大きい輸入物価(青線)は昨年夏から下がり続けです。最近下げ止まった感じですが、これは円建てなので、円安のせいで下げ止まりですが、契約通貨建てではもっと下がっています。今の円安は些か異常で(アメリカの利上げ志向のため)、一時的でしょう。
企業物価(赤線)は輸入物価下落の影響で今年に入っては殆ど横這い、微かな下げです。当初輸入価格の転嫁が進まず、今春あたりから政府や財界も価格転嫁促進を言うようになりました。
価格転嫁が遅れたのが価格が下がらない要因ならば、今後次第に下がるでしょう。
消費者物価(緑線)は、7月までのグラフにするため、総務省の消費者物価統計の内、発表の早い東京都区部の速報です。これは昨年春からずっと上昇続きです。
原因は皆さんご承知の、アベノミクス下で価格転嫁が困難だった反動ともいえる業界ぐるみ一斉値上げの波状展開のためです。
コロナもあり、消費者物価は上がらないものなどと思われていましたが、輸入物価、企業物価の上昇は当然消費者物価にも影響が及んできます。値上げ我慢が限界にきて爆発したのが波状一斉値上げの繰り返しというのも解りますが、最近の値上げ幅が、生活必需品中心に年率10%前後という状況は、些か問題でしょう。家計調査の中では、既に需要減退の傾向もみられるようです。
これを対前年同月の年間上昇率に引き直したが下図です。
主要3物価の対前年同月上昇率(%)
資料:上に同じ
円安があっても、輸入物価は下落です。企業物価は上昇期から安定期に入ったので、対前年同月の上昇率は下がります。消費者物価だけは、相変わらず上昇基調を維持しているようです。企業物価と上昇率が逆転するかもしれません。
これからの電気料金の値上げはどうなるのかも心配ですし、10月から値上予定が食料、飲料など6305品目(NHK「サクサク経済」)という報道もあります。
消費者物価の上昇は、まだ続きそうな気配ですが、価格機構(消費者の購買心理)がどこまで許容するかがカギになるのでしょう。