tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政策金利当面据え置きへ、日米に事情?

2024年02月01日 15時19分55秒 | 経済

MOCを終えての発言が入ってきました。アメリカの政策金利は5.25-5.5%で据え置き、3月時点での利下げの可能性もほぼないという事のようです。

もともとアメリカで9%台を記録したインフレを抑えるための金利引上げだったのですが、消費者物価は順調に下がって12月は11月と同じ2.6%、アメリカ経済自身が作り出しているインフレともいうべきコアコア指数もかつての7%近くから11月の3.2%から12月は2.9%で順調に下がって来ているようです。

2~3%のインフレ率というのはアメリカでは当たり前で、FRBの2%目標というのは、いわば理想的な状態を目指すという事だと思っていましたが、パウエル議長は本当に2%でなければ駄目といった感じの執念でインフレ退治です。

一方アメリカ経済は、OECD予測のように金融引締めにも関わらず比較的順調で、雇用も、消費需要も堅調、経済成長率も先進国の中では上位、ダウ平均も今年に入って市場最高を更新し続けています。今回の決定で少し下げましたが、基調は確りでしょう。

財政だけは時々壁にぶつかりますが、それは議会で枠を広げれば対処可能です。国際収支は赤字でも、黒字国は日本をはじめ円安で高くなったアメリカ国債を買い、金融収支でアメリカに還流するのでしょう。

国際紛争対応で対外支出は多いのでしょうが、その場合はドル高の方が好都合ですから無理して金利を下げるより、いざという時のために下げる余地を残すという判断もあり得ましょう。

一方日本はどうかと言いますと、過日書きましたが日銀はゼロ・マイナス金利政策を当面続けるようです。アメリカと反対で、物価下がれば政策金利を挙げるという立場です。

しかし異次元金融緩和脱出の掛け声の中で登場の植田総裁も、政策金利引上げには慎重のようです。春闘の結果を見てとの発言もありましたが、最終結果が見えてくるのは6月頃でしょう。家計は金利引き上げ賛成でも、企業、そして借金まみれの政府、株高を維持したいマネー経済業界となると、金利引上げには勇気がいります。

ドル高を維持したいアメリカ、円安を維持したい日本、という大変奇妙な構図になっているようにも感じられます。

しかし、長い目で見た経済活動の健全化のための経済政策、金融政策を考えれば、アメリカは今年度中には政策金利を徐々に引き下げ、日本は逆にゼロ・マイナス金利から脱出して、健全な経済成長為見合う金利水準の移行しなければならない事は明らかでしょう。

それがアメリカにとって、インフレの再現に繋がるという恐れは小さいように思われます。兆候があればFRBは今回の経験から適切な政策を取るでしょう。経済成長が順調であれば、ドルの価値はそれに従って維持されるでしょう。今年1年が正念場でしょうか。

日本の場合も同様でしょう。物価の沈静、賃金水準の引き上げもあり消費需要が回復すれば、経済成長率は回復するでしょう。それに見合った金利水準の自然な経済状態にすることが今年の目標ではないでしょうか。

日米両国のインフレが2%程度になり、アメリカの金利が下がり、日本の金利が上がって日米の金利差が縮まれば、ドル安、円高に動くことは避けられないでしょう。その程度は解りませんが、2年前の円レート辺りが最終到達点でしょうか、$1=115円、これは単純に日米共にゼロ金利の時の水準です。

これでどんなことが起きるのでしょうか、今年は経済正常化への軟着陸に期待しましょう。