今日、日銀から輸出入物価と企業物価の2024年1月分が発表になりました。例月通り、消費者物価の先行指標でもある東京都区部の1月分の消費者物価の速報と合わせてみてみました。
もともと毎月この3物価指数を並べて検討するというのは、不況下でインフレ発生の日本で、消費者物価上昇の要因、取るべき対策、インフレ抑制の方向と可能性は?、という事で始めたのですが、ここにきてようやく日本の消費者物価の正常化の可能性が見えてきたという段階に至ったようです。
日銀の植田総裁は、時間はかかるが更に春闘の行方も考慮し、ゼロ金利からの出口を探ろうとしているのですが、春闘の方は労使が良識ある判断で決めることですから、安心できそうです。という事で、今月も3物価を並べてみた結果は下図です。
主要3物価指数の推移(消費者物価は東京都区部の速報)
資料:日本銀行、総務省
国際紛争多発の中で、心配な主要資源の国際価格ですが、錯綜するバランス関係の結果でしょう、何とかこの辺りのレベルで当面安定しそうな気配です。円安で心配される円建ての輸入物価も、落ち着いています。
その結果日本の消費者物価を押し上げる輸入物価は落ち着きそうで、後は国内が確りすれば経済政策、金融政策が物価の変動で悩まされる可能性は小さくなりそうです。
企業物価指数は横ばい、消費者物価指数は12月に比べて0.2ポイントの低下です。生活必需品の波状一斉値上げの動きもようやく落ち着いたようです。
ここ1年というターム(対前年上昇率)で見ましても、3物価の動きは収斂の方向で、世界各国を悩ませた輸入インフレの元凶の輸入物価(国際資源価格)も、その影響を直接受ける企業物価も0%近傍に落ち着いている様子が下図から見えるところです。
主要3物価の対前年比(%)
資料:上に同じ
2年ほども続いた食料などの生活必需品の一斉波状値上げも終息し、自家製インフレ部分が急速に収縮したことに加え、生鮮食品の値下がりもあり、消費者物価の下げは顕著で、前年比1.6%は、政府・日銀のインフレ目標2%を割り込んできています。
恐らく一昨年から続いた消費者物価上昇問題は、ここで一件落着でしょう。あらためてインフレ問題が起きるとすれば、海外資源問題の再現か、国内の賃金インフレかですが、海外資源問題は、安定を祈るのみですが、国内の賃金インフレは、日本では心配の必要はないように思います。労使の良識は十分期待できると思うところです。
という事で、このブログの物価問題検討の2つのシリーズも、そろそろ幕かと思いますが、世の中益々不穏ですし、日銀の政策との関連もありますので、もう少し見ていくべきかと考えています。