今日、内閣府から2023年10-12月期のGDP速報が発表になりました。
マスコミの見出しは「日本のGDPドイツに抜かれ4位転落」というのと「実質成長率2期連続マイナス」ということになっています。10-12月期の発表で2023年1年間のGDPが計算出来たので、予想通りの4位転落で、さらに2期連続でマイナス成長というのも情けない話です。
四半期GDPの対前期の増減をグラフにしますと下図(資料:内閣府)です。
4半期GDPの対前期増減(%)
コロナ終息で、不振だった家計の消費需要を中心に成長率の回復が期待されましたが、昨年1-3月期以降は減速に転じ、夏以降は前期比マイナスに沈没してしまっています。
コロナ以前からの長期不況の原因については、GDP四半季報の度にこのブログでも指摘して来ましたが、堅調な企業の設備投資に比して個人消費が低迷を続けるという投資の片肺飛行という状態が長く続いてきました。
ところが昨年7-9月期以降は企業設備の伸びがマイナスに転じ、消費不振と相まって経済成長を更に押し下げたようです。
このブログでは、総務省の「家計調査」で「平均消費性向」の数字を毎月追っていますが、一昨年からコロナの終息を見込んでか、家計の消費性向はそれまでの下降から上昇に転じていました。それを帳消しにしたのが、生活必需品中心の波状一斉値上による消費者物価の上昇です。
この波はようやく昨年秋ごろから沈静化して来ていますが、この辺りについての昨年来の家計の消費需要の動きを見たのが下図(資料:上に同じ)です。
家計最終消費需要の名目と実質の動き
ご覧頂きますように昨年の1-3月期までは家計の消費意欲回復の動きが見られました。しかし消費者物価上昇に食われて20カ月連続で実質賃金が前年割れんあるようなじょうたいでは、せっかく積極化した消費需要も消費者物価値上がりに負けて、凋んでくるような状態(消費支出の名目値の低下)が起きたようです。
ところが、有難いことに消費者物価の上昇がここにきて山を越え、このところ急速に沈静化しています。
図では、青と茶色の柱の差が消費者物価の上昇率ですが、この差が次第井に小さくなり、1月にはさらに小さくなっています(1月の東京都区部の消費者物価上昇率は1.6%)。
望むらくは、この消費者物価の鎮静と、今春闘の賃上げへの期待(人件費上昇の価格転嫁を公正取引委員会が奨励という稀有な事態も含めて)とを合わせて考えれば、恐らく今年は伸び悩みの見えた個人消費支出も上向く年になるのではないでしょうか。
1年後ぐらいには、今回のGDPの四半期速報を振り返って、「あそこが日本経済も底だったか」と言えるようになることを願うところです。