tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2025年「平均消費性向」上向くか

2025年03月12日 16時12分47秒 | 経済

昨日、内閣府統計局から、2025年1月の「家計調査」の「家計収支編」が発表になりました。

このブログでは、毎月「二人以上世帯」の消費支出の動向と「二人以上勤労者世帯」についての収入と消費支出の動向、そして「平均消費性向」を追いかけています。

その理由と目的は、皆様ご存知の通り、アベノミクス以来の日本経済の不振の主要な原因は消費の不振ですから。消費の動きを追う事で日本経済不振の実態と将来を統計から読み取ることです

特に家計の消費意欲を図る「平均消費性向」は大変大事な指標で、昨年はこの指標が低下傾向でしたから、賃上げは多少高くなりましたが、家計は貯蓄志向で消費が伸びず、経済成長率は年率で「辛うじてプラスか」という不振状態(改定中)でした。

ところが、年末の2カ月、平均消費性向が上昇に転じてきました。

コメと野菜が異常な値上がりをする中ですから、読み方は難しいところですが、これが、年が変わっても継続し、今春闘の結果と相俟って、日本経済もようやく消費不況から脱出できるかの微妙な段階が現状です。

そして昨日発表になった1月の平均消費性向は78.9%と昨年1月の76.7%2.2ポイント上回り昨年11月から3か月連続の上昇基調となりました。(下図)

ところで二人以上世帯全体の消費支出から見ていきますと、1月の消費支出額は305,521円で、消費不振が著しかった昨年1月より5.5%増えましたが、消費者物価の上昇に食われて実質は僅か0.8%の増加です。

中身を見ますと食料の支出は、コメ・野菜の価格上昇で実質消費支出ますがマイナスですが、住宅関係や教育関係、水道光熱などは、価格上昇に負けない支出増で実質消費支出のプラスに貢献する支出項目もあるといった状況です。

二人以上勤労者世帯では収支両面の数字がありますので、収支の両面から見ていきますと、世帯主収入は389千円で名目4.9%の伸び(伸び率は前年同月比)と毎月勤労統計などより高く、実質は0.2%(消費者物価4.7%上昇)ですがプラスです。

最近伸びの大きい配偶者所得やその他の家族の所得は正月のせいか1月は小さく、実質はマイナスで、世帯の所得は515千円、名目3.5%の伸びで、実質は-1.1%、それでも消費支出は名目5.8%伸びて実質1.1%の伸びです。

但し1月は日消費支出(税・社会保険料など)が6.2%も増え、可処分所得は名目2.9%しかのびず、結果的に消費支出を可処分所得で割った「平均消費性向」は 78.9%と前年より2.2ポイント高くなっているという状態です。

この辺りは、食料は値上がりで抑えたが、電気やガス料金は上がったが寒かったのでやむを得ず使ったとか、住宅や教育費は、思い切って出したというのか、事情は 色々あるかと思いますが、春闘で賃金が上がりそうという意識などもあるとすれば、少し生活を積極的にしようかという、今日の生活重視の意識も出て来たのかとも考えられます。

今日は春闘の集中決着日で、早期妥結、満額回答といった見出しも出ているようで、少し日本経済の雰囲気も変わるのかなという意見と、これから物価も上がるし「高齢者いじめ」になりそうだし、やっぱり貯蓄優先かといった意見とが錯綜しそうです。

国際情勢も有之、もう少し時間が必要なようです。


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