tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

好天の春の土曜日、ふと考える

2024年02月10日 15時16分19秒 | 文化社会

「世の中は 食うてばばして 寝て起きて 子が親になる 子が親になる」という戯れ歌があります。類歌もありますが、これが一番語調も滑らかで、スッキリしているので、いいなと思っています。

戯れ歌と書きましたが、一休禅師が言われたという言い伝えもあり、当たり前のことを並べたままですが、人生の奥深い意味を表しているといった解説もされています。

この所、世界は騒然です。戦争、内戦、紛争などなどで多くの人命が失われています。人が人を殺しているのです。まさに地獄の沙汰です。

そうであればあるほど、この三十一文字は重い意味を持っているように思うのです。

先日、還暦の長女からLINEで「孫が満1歳なって、家の中を走り回っています」というDOGAが送られてきました。

我々夫婦にとっては2人目の「ひ孫」で、結婚が早かった孫娘のところのひ孫はもう小学1年生です。

こんな事をのんびりと考えていると、世の現実は、冒頭の「みそひともじ」そのものだとつくづく感じ、しばし感慨に浸る事になりります。

孫が生まれた時はそこまで考えが及ばなかったようですが、ひ孫という事になりますと、我が家に遊びに来て「おじいちゃんが遊んでくれない」と泣き出したあの孫娘が、もうレッキとした母親になっているとか、写真を撮るというといつも白目をしたり大口を開けたりしていた孫息子が1人前の父親になって走り回る子供を抱き抱えていると思うと、本当に「子が親になる 子が親になる」という時の流れ、世代の移り変わりを実感として受け取ることになるのです。

人間も生物の種の1つです。種の保存は、人間が生物である限り与えられている願望でしょう。それがその願望通りに続いているという事の意味を知り、その実感を持っとき、矢張り人間は人生の幸せをごく自然に意識するのでしょう。

これが自然なのです。人間の活動のすべては、こうした種の保存の連続性に支えられているのです。

残念なことですが、人間はそれを知りながら、生命の連続性を断ち切る戦争という自然の摂理に反する活動を続けて来ました。そして今でも続けているのです。それは、人間は自然によって生かされているという人間の本質を冒涜する行為でしかあり得ません。

冒頭の戯れ歌が、誰にも共通に喜びと人の世への感慨を齎すような世の中が早く来てほしいとつくづく考える今日の土曜日です。


民主主義の危機は世界で深刻化の様相

2024年02月09日 14時20分23秒 | 政治

ロシアの大統領選挙が近づいています。結果はすでにはっきりしていてプーチン現大統領の圧勝という事のようです。殆ど誰も疑わない所でしょう。その理由は単純で、野党を率いるナワリヌイ氏はシベリアの奥地に収監されていますし、新たに立候補を表明したウクライナ侵攻反対のナデジディン元下院議員は選挙管理委員会が書類の不備により立候補を認めないことになったからです。

アメリカの大統領選挙も大変なようです。世論調査では、共和党のトランプ前大統領38%、民主党のバイデン現大統領37%、無所属の新人ロバート・ケネディJr 21%といった数字が出ているそうです。

常識的にはバイデン氏とトランプ氏の争いですが、トランプ氏は、大統領末期の国会乱入事件でコロラド州最高裁の立候補の資格なしと判断され、連邦最高裁での弁論が始まっています。

連邦最高裁の判断がどうなるかですが、選挙戦の在中ですから司法が決めるより選挙の結果に従うのが民主主義という意見もあるようです。

もし、最高裁緒判断が、立候補の資格なしと出れば、三権分立ですからそれに従がうことになるのでしょうが、何やらロシアの場合と同じようだ、などという意見も出て来そうです。

勿論、ロシアのような独裁政権の国の話ではないので、司法の決定は決定的な重さをもつのでしょうが、ちょっと見には、政敵に立候補が認められなかったので勝ったように見え、何か格好が悪い印象になりそうです。

どんな結果になるにしても、民主主義を大事にするという立場からは、何事も投票、選挙で決めるというのが最も良い方法という事になるのでしょうが、アメリカの場合を見てきますと、トランプ大統領の時代にはトランプさんの独裁的な行動が目立ち、対中国では対立の激化、北朝鮮とは結局何の効果もなかったスタンドプレー、国連関係や、多国籍交渉の分野では、自国優先で世界には迷惑をかけるような姿勢が目立ちました。

世界に責任を持つべきアメリカでも、国民の多くに「自国優先」、「アメリカを偉大に」、「アメリカファースト」が人気なのです。

翻って日本を見れば、支持率が30%を切るような政権が、閣議決定で国の運命を変えるような政策を次々に打ち出して、一般国民や民間企業の目で見れば、当然脱法であり脱税であるといった行動が、日常茶飯で行われています。

それを国会で追及されても、公開されるべきものが公開されず、誰が聞いても嘘と分かるような答弁が連日繰り返され、知性も恥の文化もなく、民心を逆撫でするような政権維持行動が進んでしまっている状況です。

民主主義というのは、基本的には人間の倫理性と誠意と責任感の上に成り立つものだという事が、この所世界中で忘れられているような、民主主義の「明らかな誤用」が一般的になって来ているような気がします。

そんな中で、日本、日本人に出来ることは、先ず、日本だけでも、これがまともな民主主義国ではないでしょうかと世界に向けて言えるような国になるという真剣で力の入った真面目さを追求する事ではないでしょうか。

どうでしょう、もともと生真面目な日本人です、本気でやってみませんか。


労使の望む「継続的賃上げ」の条件

2024年02月08日 15時24分13秒 | 労働問題

前回のこのブログで、「継続的賃上げ」が出来るような日本経済にしなければならないという点を指摘しました。

これは、これまで長期に賃金が上昇しなかった(物価上昇を差し引いた実質賃金が20カ月も前年同月より低かった)日本の家計からの本当に切実な要望でしょう。

幸いなことに、今年の春闘に向けては、労働組合サイドは勿論、経営サイドの代表である経団連も「継続的賃上げ」の必要を強調しています。

労・使・生活者が揃ってその必要性を指摘しているのですから、これからは多分それが実現されるだろうと思うのですが、今回はそのために何が必要かを考えてみましょう。

昔の日本の賃金制度では、この点は、年功賃金制度の中で「定期昇給」として考慮されていました。若い時の賃金は安くても、結婚し、子供が出来るころには、家族手当も含めて、それなりの賃金になるというシステムです。

今でも連合の賃上げ要求の中に定昇分2%という形で残っていますが、戦後の高度成長とインフレの中では定期昇求10%などという企業も沢山ありました。

世の中変わって、初任給が高くなり定昇は小さくなって、定昇は若い時代中心の習熟昇給の色彩が濃くなっています。ですから「継続的賃上げ」という事になりますと「定昇+ベア」という事になって、ベースアップの重要性が高まります。

勿論正社員でないと定昇はありませんから「賃上げ」は一般的な言葉で「賃金水準の引上げ」と言い替えた方がいいのかもしれません。

ということで、上の表題は、企業が毎年従業員の賃金水準(平均賃金水準)を引き上げていくための条件は何かという事になります。

最も基本的なことは、日本人は日本のGDPで生活しているという事です。GDPが増えれば生活は良くなります。GDPは企業の資本費(収益と支払金利など)と従業員の人件費(賃金と福利厚生費など)の合計ですから、標準型はGDPの伸びた分(経済成長)、経済成長率と同じ分だけ、企業利益も賃金も増えていくという事です。

この場合のGDPは実質値です。

ですから、毎年日本人の平均賃金水準が上がるという事は、毎年日本が経済成長するという事で可能になります(経済活動以外の必要条件は戦争に巻き込まれないこと)。

これから日本経済も多分成長経済になるでしょうから、その分毎年平均賃金は上がることになるでしょう。

今迄上手く行かなかったのは、成長が少ない中で、消費者(買い手)の賃金は増えずに生産者(売り手)の利益は増えるという形になっていて、生産者が作っても売れないので生産を減らし賃金も減らすという形で経済成長が低迷していたからです。

そこで生産者(売り手)の方も、消費者(買い手)の方にGDPを分配して売上をのばさなければ経済が成長しないという事が解って、賃上げをしようという事なったのです。

複雑が事情があってこうなってしまったので、誰が悪いというより「直す」ことが大事ですから、春闘で、みんなが本気になって確り賃上げをすれば、経済は生産と消費のバランスが回復して、成長を取り戻すでしょう。

分配を直せば成長が戻ってくるという事で、岸田さんの「成長と分配の好循環」になるわけですが大事なことは「分配と成長」で順序が逆だという事です。

単純化し過ぎていろいろ意見はあると思いますが、政府も学者も企業も労組もそうならないように日頃から気を付けることが大事なようです。


「昨春闘以上」の賃上げでは足りないようですが

2024年02月07日 16時05分45秒 | 経済

昨日発表の「家計調査」で、昨年12月の勤労者世帯の実収入(名目値)は前年比マイナス4.4%、更に、毎月勤労統計では名目賃金指数(同)が1.0%であることが解りました。

この違いの原因については昨日も触れましたが、常識的には両方とも勤労者の賃金水準と理解されるでしょう。定義も違えば、カバレッジも違いますから違って当然ですが、どう考えても、昨春闘の賃上げ率3.6%とは大分違います。

これも勿論定義の違いカバレッジの違いという事でしょうが「日本の賃金が上がってきた」と感じられるような状態というのは、数字の違いがあっても、どの統計も、それなりに上っている状況になる事が必要なのではないでしょうか。

毎月勤労統計の年平均の上昇率は1.2%ですが、最も頼りにすべきこの統計にしても、上昇率は、30年ぶりの高い伸びと言われた春闘賃上げ率の3分の1です。

毎月勤労統計の賃金指数の上昇率を月毎に見たのが下図です。

    賃金指数の対前年上昇率(月別、%)

           資料:厚労省「毎月勤労統計」

春闘直後の5月6月が高いのは、賃上げの遡及支払のせいでしょうか(?)。その後は1%を超えたのが3ヵ月1%未満が3カ月です。これでは2~3%台の消費者物価の上昇率にはとても及ばず毎月実質賃減は対前年比で減少でした。

ところで、連合の要求は「昨年以上」ですし、経団連会長も「昨年以上の賃上げが望まれる」と発言されています。

「以上」という言葉は微妙ですが、専門家へのアンケートの平均は確か今春闘は3.8%でした。前年「以上」には違いないのですが、消費者物価上昇率が2%以下に下がっても「対前年実質賃金の増加」確実にはなりそうにありません。

去年よりいくらかでも良ければいいじゃないかでは済まないのが今年の春闘ではないでしょうか。

今年は2013~4年の円安、更には昨年からの円安で、日本の賃金(賃金コスト)が国際的に最も低くなった時期です、企業利益は快調で、株価はバブル期突破などと言われています。

此処でちょっと「家計調査」の平均消費性向を見てみましょう。過去3年の平均値(月数字の単純平均)2021年67.5%、2022年68.7%、2023年68.9%と、長期に低下・停滞していた2人以上勤労者世帯の平均消費性向が2022年から上昇に転じています。

原因はコロナ明けもあるでしょうが、長~い緊縮生活から脱出しようというエネルギーが社会情勢だけでなく統計からも感じられるところではないでしょうか。

今春闘は、賃上げ自粛(?)のお蔭でで長かった「自家製デフレ」からの脱出を国中の世帯が望んでいるという賃上げの効果を最大限にするチャンスではないかと感じています。

労使が共に思い切った賃上げに踏み切ることで日本経済が明るさを取り戻せるベストの時期でしょう。それに成功して初めて労使が切望する「継続的な賃上げ」が可能になるのではないでしょうか。

「継続的な賃上げ」は、活発な消費需要にも支えられた、日本経済の安定した均衡成長の結果でなければならないからです。


12月の平均消費性向は前年比上昇ですが

2024年02月06日 15時28分58秒 | 経済

今日総務省から2023年12月の家計調査の「家計収支編」が発表になりました。

早速、2人以上勤労者世帯の「平均消費性向」を見てみました。

38.4%で昨年12月の37.2%、一昨年12月の37.3%を1ポイント強上回っていて、家計の消費意欲の高まりを示していると喜びたいところですが、周辺の関連数字を見ますと、どうも手放しで喜べないような気がして些か憂鬱さが残ります。

    平均消費性向の推移(2人以上勤労者世帯、%)

           資料:総務省「家計調査」

12月はボーナス月ですから、年越しの支出も必要ですが、同時に出来るだけ貯金に回し翌年6月のボーナスまで6ヶ月の生活の支えにするというのがサラリ-マン家庭の習慣ですから12月の消費性向は図のように低くなります。

その中でも平均消費性向が1ポイント以上高まったのですから、昨年の年末商戦はいくらか良かったのも頷けるところですが問題は、サラリーマン家庭の収入の問題です。

2人以上全所帯は、自営業世帯(1割強)も無職世帯(3割強)も含まれますから収入の数字の集計は無く、消費支出の数字だけですが、その消費支出の数字を見ますと12月の対前年同月比は名目僅0.4%の伸び、実質値はマイナス2.5%という事で消費は不振です。

その内の勤労者世帯の場合は、収入と支出の両方の数字があって、世帯の実収入は名目マイナス4.4%、実質マイナス7.2%という大幅なマイナスです。

同じく今日発表になった毎月勤労統計の事業所規模(企業規模ではありません)5人以上の12月速報の現金給与総額は対前年同期比で1.0%の伸び(1~12月平均1.2%)で実質は当然マイナスです。

家計調査では、家族の誰かが勤労者であれば勤労者所帯に分類で、家計補助者が勤労者の場合も集計されるので(零細企業勤務?)実収入のマイナスが目立ちます。

今春闘は円安の中で日本の賃金の低さに多くの人が気付き(連合は合少し遅れたようですが)、賃上げの必要性が経営側からも指摘される状態になって、勤労者の意識も少し明るくなったのでしょうか、収入が増えない中で消費堅調の原因は「?」です。

しかし、いずれにしても、消費需要を伸ばさなければ日本経済は「自家製デフレ」脱出は叶いませんから、消費性向上昇は貴重です。

そしてそれを後からでも確りサポートするような賃上げが必要なのですが、これは今春闘の基本的な課題です。(昨年は賃上げ率3.6%で、上記毎金統計の12月は1.0%)

単に昨年以上の賃上げでは、今年度のマイナス幅が少し小さくなくなる程度で終わる可能性もあります。

一方主要企業は収益好調で、日経平均はバブル期の38,000円を越えるだろうと言われています。日本経済の分配のアンバランスはすでに歴然です。

経団連の会長は、政党への寄付は企業の社会的責任と言われたようですが、従業員の賃金の適正水準化の方がより重要な経営者の社会的責任でしょう。

賃上げコストの「価格転嫁OK」というお墨付きも、公正取引委員会から出ています。去年今年の春闘は、「円安の場合の賃金決定はどうあるべきか」という特殊事情が背景なのです。

その点を確り認識し、経済理論に則った(大幅な)賃上げの実現を期待するところです。


野党党首は政策構想を熱く語れ

2024年02月05日 13時49分36秒 | 政治

自民党の真の姿、対米従属、主権放擲、政権執着、金権に繋がる拝金思想といった主権国家の政権担当に不適切な要素が丸見えになってきたのが最近の状況です。

此処まで来てしまうと、国民のほとんどは愛想を尽かし、自民党の内部にもさすがに問題意識を持つ人も出て来ている様です。

この辺りは、世論調査の内閣支持率に示されているところですが、それでは総選挙をやれば自民党は政権政党から転落すると誰もが思っているかと言いますと、どうもそうではなくて、やっぱり自民党が第一党になるんじゃないですかとい人も多いようです。

なぜそうなるのか解らないという人もいますが、野党に票が入らないとう事は、自民党を批判しても、それなら野党に頼むという気にならない、という微妙な心理が働いているようです。

そうなると、問題は野党の方にもあり、それも野党の責任の方が大きいのではないかという意見も出て来るようです。

その尻馬に乗るわけではありませんが、考えてみますと、じゃあ自民党に下りてもらって野党に政権を託そうと考えた場合、なんだか野党の容器が小さ過ぎて日本という大きな存在を盛ったら、盛り切れずに溢れてしまいそうだと感じるからではないでしょうか。

これは端的に言って、野党が小党分立だからという事もあるでしょう。しかし、日本の政治は政府がすべてやっているのではありません。かつては政府が頼りなくても、日本は官僚組織が確りしているから大丈夫などとよく言われたものです。

では、政党は何をやればいいのでしょうか。国民が政党に期待するのは、それぞれの党が、党是として、多くの国民の望むような国の在り方の構想を国民に常に示し、一旦政権を取れば、それを官僚機構も総動員して実現に邁進するという明確な意思表示でしょう。

多くの国民はそれを望んでいるのでしょうが、残念ながら現状を見ていますと、野党の多くは、自民党の失態追求にほとんどの精力を使っているようです。

国民が呆れている政権党の失態を追求することは楽でしょう。マスコミも応援して「追及が甘い、責任を取るまでやれ」と言った調子ですSが、追求だけでは政権は取れないという点に思いを致すべきでしょう。

野党の党首は、「自民党では出来な事を我々はやる」、という主権国日本の在り方を、この際、国民に真剣に熱く語ることが必要でしょう。

日本は戦争をする国になるのかならないのかといった国民が最も危惧する問題、関連する重要な外交問題、日米関係、日中関係、国連関係などなど、国内問題では、政治の在り方、政治資金の在り方、経済政策、税制、社会保障などなど、政治と国民の関係を中心に、日本の国家構想を国民に熱く熱く語ってほしいと思います。

それこそが野党党首の為すべきことでしょう。国民は、絶望半分の中で、そうした政治家の出現を熱望しているのではないでしょうか。


自民党は党名を変えるべきでは?

2024年02月03日 16時24分38秒 | 政治

自民党の本当の名前は「自由民主党」です。これは素晴らしい名前です。国民が何故か選挙になると自民党に票を入れるのは、多分、この素晴らしい名前が国民の安心感を呼ぶからではないでしょうか。

ところで、「名は体を表す〕という言葉がありますが、今日の状況を見ていますと、この党名は全く体を表していないようです。

「名前負け」という言葉がありますが、余り名前が良すぎて、中身が名前に追いつかない状態の今の自民党だったら、名前を変えた方がいいように思われます。

自由党と民主党が合同して出来たからというのが歴史でしょうが、こうした立派な名前を決めたからには「名は体を表す」ような立派な「リベラル・デモクラティック・パーティー」になってもらわないと国民が迷惑します。

まず「自由」ですが、これはリベラルの翻訳です。リベラルという英語は、本当の自由の在り方を表すものです。

大学には教養課程というのがありました(今もあります)これは「リベラルアーツ」の翻訳です。リベラルアーツはギリシャ時代の「文法、論理、修辞、算術、幾何、音楽、天文」の7つの学問を修めて天の摂理を知り1人前の教養人というのが起源で、それぞれの時代に必要な教養人としての学問を修めることの大事さを教えるものです。

東洋思想を借りれば孔子の言う「不惑」の境地、更には「己の欲する所に従いて矩(法)をこえず」のように十分な知識教養を持てば人は過ちをしないという事でしょう。

リベラルを体現するためには、人はそれだけの教養人でなければならないのです。

次に「民主」これもギリシャに起源をもつ「デモス」(一般的な人々)から進化し、一般的な人々が主権を持つ政治体制を意味する言葉となり今日に至ると考えられています。

今、世界は、民主主義と独裁主義の対立に苦しんでいます。宗教や人種の対立もありますが、そうした対立が戦争に至るのは、どちらか、あるいは双方が独裁主義的な政治体制にあるときです。

80億になろうという世界人口ですが、そのほとんどは「一般的な人々」です。そして、この人々は平和と安定、豊かで快適な社会を望んでいます。ならば、民主主義である限り、戦争は起きないはずですが、民主主義の中で独裁者は出現し、往々「一般的な人々」の生命と財産を犠牲にする戦争を好んで進めるのです。

今、世界が心を痛める戦争はプーチンという独裁者、ハマスという独裁組織、ネタニヤフという独裁者が居なければ起こり得なかった事でしょう。その意味で、今の人類社会にとって、独裁者を出さない事は最重要の課題です。

こうした視点から今の自民党を見れば、自民党という組織はリベラルの名を冠しながら、総理一強の体制を望むリーダーとそれを善しとする少数の人間、後はトップの決定に異を唱えない物言わぬフォロワーの集まりのようです。

裏金問題では、制度上も、税制上もおかしいと思いながら、上が言うならと従う人々ばかりの様です。リベラルの意識が少しでもあれば、「自らの判断」を明確に発言する確たる自由思想と教養に基づく行動が続出する組織であるはずです。

こうした発言もなく、トップが言うならそれに従うという行動は民主主義を蔑ろにし、独裁主義への道を開くものでしょう。

自由主義の本来であるリベラルな思想行動を忘れ、トップの意向を安易に鵜のみにする(忖度も含めた)独裁に従う心理が一般的な組織は、どう考えても「自由民主党」の名に値するものではありません。

「名が体を表さない」場合、道は2つ、名を改めるか、体を改めるかです。リベラルの神髄があって、初めて民主主義は健全に機能するのです。

日本を代表する「選良」たちが、如何なる発言と行動を国民に見せるか、自由で民主的な国である日本の国民も、己の良識を駆使し、行方を監視しなればならない様です。


政策金利当面据え置きへ、日米に事情?

2024年02月01日 15時19分55秒 | 経済

MOCを終えての発言が入ってきました。アメリカの政策金利は5.25-5.5%で据え置き、3月時点での利下げの可能性もほぼないという事のようです。

もともとアメリカで9%台を記録したインフレを抑えるための金利引上げだったのですが、消費者物価は順調に下がって12月は11月と同じ2.6%、アメリカ経済自身が作り出しているインフレともいうべきコアコア指数もかつての7%近くから11月の3.2%から12月は2.9%で順調に下がって来ているようです。

2~3%のインフレ率というのはアメリカでは当たり前で、FRBの2%目標というのは、いわば理想的な状態を目指すという事だと思っていましたが、パウエル議長は本当に2%でなければ駄目といった感じの執念でインフレ退治です。

一方アメリカ経済は、OECD予測のように金融引締めにも関わらず比較的順調で、雇用も、消費需要も堅調、経済成長率も先進国の中では上位、ダウ平均も今年に入って市場最高を更新し続けています。今回の決定で少し下げましたが、基調は確りでしょう。

財政だけは時々壁にぶつかりますが、それは議会で枠を広げれば対処可能です。国際収支は赤字でも、黒字国は日本をはじめ円安で高くなったアメリカ国債を買い、金融収支でアメリカに還流するのでしょう。

国際紛争対応で対外支出は多いのでしょうが、その場合はドル高の方が好都合ですから無理して金利を下げるより、いざという時のために下げる余地を残すという判断もあり得ましょう。

一方日本はどうかと言いますと、過日書きましたが日銀はゼロ・マイナス金利政策を当面続けるようです。アメリカと反対で、物価下がれば政策金利を挙げるという立場です。

しかし異次元金融緩和脱出の掛け声の中で登場の植田総裁も、政策金利引上げには慎重のようです。春闘の結果を見てとの発言もありましたが、最終結果が見えてくるのは6月頃でしょう。家計は金利引き上げ賛成でも、企業、そして借金まみれの政府、株高を維持したいマネー経済業界となると、金利引上げには勇気がいります。

ドル高を維持したいアメリカ、円安を維持したい日本、という大変奇妙な構図になっているようにも感じられます。

しかし、長い目で見た経済活動の健全化のための経済政策、金融政策を考えれば、アメリカは今年度中には政策金利を徐々に引き下げ、日本は逆にゼロ・マイナス金利から脱出して、健全な経済成長為見合う金利水準の移行しなければならない事は明らかでしょう。

それがアメリカにとって、インフレの再現に繋がるという恐れは小さいように思われます。兆候があればFRBは今回の経験から適切な政策を取るでしょう。経済成長が順調であれば、ドルの価値はそれに従って維持されるでしょう。今年1年が正念場でしょうか。

日本の場合も同様でしょう。物価の沈静、賃金水準の引き上げもあり消費需要が回復すれば、経済成長率は回復するでしょう。それに見合った金利水準の自然な経済状態にすることが今年の目標ではないでしょうか。

日米両国のインフレが2%程度になり、アメリカの金利が下がり、日本の金利が上がって日米の金利差が縮まれば、ドル安、円高に動くことは避けられないでしょう。その程度は解りませんが、2年前の円レート辺りが最終到達点でしょうか、$1=115円、これは単純に日米共にゼロ金利の時の水準です。

これでどんなことが起きるのでしょうか、今年は経済正常化への軟着陸に期待しましょう。