千年の夢想に
僕は生物学的な見地からでも
人類学の範疇で分類しても
どう詮索しても”雄”には違いないから
自分で命を産み出すことはできない
それでも
何とか自分の一部を
其処に含めてあげることはできる
ーそれが幸か不幸かは定かではないけれどー
・
赤子という姿形で
連綿と続いてきた命の奇蹟の
偉大なる胚胎は無理だけれど
それでも
この無力な存在の僕が
この世界に残せるものはないかと
四六時中踠いているのだ
・
兆しを求め
契機を捜して奔走する日々
限られた日時を背負って
引き継げる何かがないかと
疾駆する日々なのだ
・
泳ぐことを止めない魚のように
歩くことを止めない蟻のように
狂ったように
四周を駆け巡る日々なのだ
千年の時空を超えて
花開く蓮のように
太古の地層から
或る日吼え掛かる恐竜のように
・
僕が書き残しておく一篇のソネットの
四行のうちの一行の
一小節の一言でも
古来希なる出来事のように
誰かの胸に宿れば・・
何時かそれが
縁の末裔たちの誰かの胸に
きっと芽生える筈だと
ときどき
千年の夢想に魅入られては
こうしてペンを走らすのだ
*
03/03 05:25:05
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