私は、玄海原発の再稼働中止を求める訴訟団の一員に加わっています。原子力規制委員会は九州電力の言い分ばかりを認め、再稼働OKの審査書を九州電力に交付しました。私は、「規制委員会」はで規制とは名ばかりで、原子力村の意に沿った「原子力促進委員会」になっていると思います。私も加わっている原告団と弁護団は審査書交付に以下の声明を発表しました。
玄海原発3・4号機の審査書正式決定を受け、原告団・弁護団は昨日17時から記
者会見を行い、以下の内容で抗議声明を発表しました。
【玄海原発3・4号機の審査書正式決定に対する抗議声明】
1 原子力規制委員会は、本日、九州電力玄海原子力発電所3号機、4号機の設
置変更許可にかかる審査について、審査書を正式決定し、設置変更許可処分をし
た。
2 そもそも、今回の設置変更許可の審査は、未曽有の甚大な被害をもたらし、
5年10か月経過した今も被害の終わりが見通せない福島第一原発事故を踏まえた
最新の科学的知見を満たす基準による審査でなければなかったはずである。また、
「確立した国際的な基準」を満たしたものでなければならなかったはずである。
しかしながら、事故はいまだに収束していないし、約9万人もの避難者が故郷に
戻れない状況も変わりはない。しかるに、今回の審査の基準となったいわゆる
「新規制基準」は、災害の防止上支障がない」(原子炉等規制法43条の3の6第1
項4号)ことを担保していない。つまり、政府にしても原子力規制委員会にして
も、原発の本質的危険性に目をつぶり、被害に向き合おうとしていないと言わざ
るを得ない。
3 上記2の観点からは、新規制基準は、以下の点などが不足している。
① 本来、福島第一原発事故の原因が解明できていないのであるから、それを踏
まえた基準を作れるはずもない。
さらに、判明していることだけでも以下の不足点がある。
② 従来の立地審査指針を福島事故を踏まえて改訂すべきこと。
③ 単一故障のみならず共通要因故障を考慮した安全性の確認をすべきこと。
④ 耐震重要度分類を抜本的に見直すこと。
⑤ 基準地震動の策定方法を見直すこと。
⑥ 飛行機の墜落について厳しい条件で強度評価をすること。
⑦ 福島第一原発事故の経験を踏まえた事故時の要員の確保ができているか調査
すること。
⑧ 重大事故対策設備について、「事業者が・・・する方針の確認」でなく、対
策がすでに実現していること。
⑨ 過酷事故時の汚染水処理対策として流れ込む地下水について余裕をもって処
理できる処理施設の設備があること。
⑩ 過酷事故対策の根本を可搬的設備ではなく、恒久的設備にて用意すること。
⑪ 実効的避難計画の策定があること。
4、以上のことは、審査書案の公表時点(2016年11月9日)での当方の声
明で指摘したところである。また、玄海原発3・4号機の審査書案に対するパブ
リック・コメントでも4千数百通の多くにおいても同じような指摘がされていた
はずである。しかるに、原子力規制委員会はそれを全く真摯に受け止めず、審査
書案の正式決定を行ったものであり、そのことを私たちは強く抗議する。
5、また、審査書案の最終了承に至るプロセスでも、
① パブリック・コメントは、「科学的・技術的知見」に限定するなど広く市民
からの意見を聴く手続きになっていない。
② パブコメ期間に、少なくとも半径60㎞以内の各基礎自治体において説明会
を開催していないし、近隣住民の意見を聴取する機会を設けて地元住民の意見を
聴いてもいないなど、市民の意見を聴くことを軽視していると言わざるを得ず、
この点についても抗議する。
6、脱原発を願う多数の国民の声は留まるところを知らない。私たちの訴訟原告
が1万人を超えていること、各種世論調査でも過半数が脱原発を願っている。
また、昨年4月の熊本大地震では、その延長に川内原発付近がある断層(中央構
造線)で地震が発生し、震源近くの地表面では1300ガル、1500ガルを超
える地震動となるなど、原発の安全性についてさらに国民に不安が募っている状
況である。避難計画における二段階避難の非現実性、要援護者の安全な避難の不
可能性なども露呈した。これらの原発に対する反対の声及び不安の声は、昨年7
月の鹿児島県知事選挙で脱原発の野党統一候補が勝利したことや、昨年10月の
新潟県知事選挙でも柏崎刈羽原発の再稼働に極めて慎重な候補が当選したことに
も表れている。これらを鑑みれば、九州電力は玄海原発の再稼働を取りやめるべ
きであるし、原子力規制員会も、原発が深刻な人権侵害を引き起こす危険を認め、
審査のやり直しをすべきである。
7、私たちは、圧倒的な脱原発を願う市民の力で訴訟を進めているところである
が、全国の脱原発訴訟の関係者、福島第一原発事故の被害者の方々、原発から3
0㎞圏内に留まらない被害を受ける可能性のある自治体、安全に事業を展開した
い事業者等を含む国民世論の圧倒的な支持と連帯のもと、脱原発の運動の質を高
め、原発の再稼働を許さず、国と九州電力に玄海原発全ての稼働差止め、その先
に廃炉を求め、全ての原発廃炉を実現させるものである。
上記のとおり声明する。
2017年1月18日「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団・弁護団