守田です。(20110314 23:55)
福島第一原発1号機、3号機に続いて、2号機が極めてシビアな
事態にひとたび立ち入り、今、すこしずつ回復しつつある状態で
あることが報告されています。
この炉は、地震当初は、冷却装置がもっていたものの、次第に
作動しなくなり、今日の午後に完全に止まってしまいました。
これに対して、東電はここでも原子炉への海水注入という
非常手段に踏み切りました。
ところが午後6時頃になって、水面がどんどん下がり、ひとたび
4メートルの燃料棒が完全に水面から上に露出して、いわゆる
「からだき」状態になっていることが確認されました。原因は
作業員が、ポンプの燃料漏れを見逃したことにあるそうです。
一部のマスコミからこれへの避難の声があがっており、東電は
謝罪をしましたが、いろいろな受け取り方はあるとは思うものの、
僕は組織としての東電は批判されるべきでも、現場の作業員
の方を責める気にはなれないです。
相次ぐ危機と直面しつつ、しかも被曝の危険や爆発の危険に
眼前にさらされながらおそらくは不眠不休で活動しているだろう
からです。しかもすべては想定外のことで、初めての経験でしょう。
そもそもプラントの安全性は、人間がヒューマンエラーを起こし
うることを前提に作られねばなりません。ところが今は、その
設計にないことを作業員はやらねばならなくなっています。
ミスは構造的な問題です。願わくば、人員を増強し、疲れ切った
作業員の交代を頻繁にして欲しいです。人間はそう長くは
極度の緊張を維持することができないのだからです。
さて炉がどうなったのかを述べます。燃料棒4メートルがすべて
露出してしまうのは、1号機でも3号機でもなかったことであり、
少なくともこの時点では、今までで最も危険な状態が現出しました。
ところがその後、8時頃からようやく注水が再開され、10時半ぐらい
に2メートルまで水位が回復したと発表されています。少なくとも
空だきによる核暴走という惨事の手前からは脱しています。
ただし高熱によって、燃料棒の一部が損壊した可能性があると
言われています。溶融が起こったのです。このことで、再び被覆の
ジルコニウムが溶けて水素が発生している可能性があります。
また被覆の中には、ウランとプルトニウムのペレットが詰まって
おり、そのうちの一部はすでに核分裂を終えて、セシウム、
ヨウ素、ストロンチウム(いずれも放射性)などに分解しています。
これを閉じこめておくのがペレットと被覆管の役目ですので、
この死の灰が漏れ出してしまっている可能性があります。これらは
再びベントを開いて圧力を逃がすので、大気中に出てしまいます。
さてその先ですが、2号機でも1号機、3号機と同じように水素爆発が
起こるでしょうか。この点では、3号機の爆発のときに破片が
2号機に穴をあけたそうで、そこから抜けるのではとの推測があります。
ただこれらのことも、まったく想定外で起こっていることですので、
どうなるかは分からないです。現時点ではっきりしているのは2号機は、
空だきまで行き、燃料の一部が損壊したが水位は回復中ということです。
一方で少し安心させてくれる情報として、福島第二原発1号機と2号機で
真水の注入により冷却が進み、炉内が100度を下回って安定して
きたということがあります。このまま安定してくれれば良いのですが。
さてみなさん。
僕とやりとりをしている山形在住の友人から質問が寄せられ、僕なりに
考えた答えを送りました。少しでも役に立つことをと思って知恵を
絞ったので参照になるかと思い、転載します。
なお僕の意見が間違っているのではないか、あるいは訂正する
必要があるのではないかという場合、ぜひお知らせ下さい。
今はとにかくみんなで知恵をしぼりあっていく必要があります。
******
A君からの質問
貴重な情報をありがとうございます。
質問があるのですが、可能な範囲で教えてもらえると助かります。
すでに、福島原発からは爆発によって、
放射能を含む煙や蒸気などがかなり放出されているようです。
また、格納容器まで破損や爆発?するようなことがあれば、
大大大惨事になりますよね?
その場合に近県への影響とその対策について、
いろんな情報を教えていただいているのですが、
①放射能が流れてくるかどうかは風向きがかなり影響すると言いますが、
風向きをリアルタイムで知るための方法がいまいち分かりません。
気象庁などのホームページをみると良いのでしょうか?
それにしても、風向きから推測するしかないのですね?
②雨に気をつけるとのことですが、
それは、福島原発方面からやってくる雨雲に注意するということなのでしょうか?
例えば、すでに仙台には放射能が到達しているとのことで、
同様に山形にも到達している可能性があるわけですが、
仙台方面からの雨雲やひょっとしたらどこからかに関わらず、
今後、山形に降る雨、雪には気を付ける必要があるのでしょうか?
いわゆる原発事故による放射能雲でなければ、気にする必要はないのでしょうか?
③すでに福島から、避難者が山形にも来ています。
障害を持つ方の施設に勤めている関係で、
福島から逃れたいと言う障害を持つ方たちからも問い合わせがあります。
しかし、今山形は他県からの物資輸送が滞っていて
特にガソリンの供給がかなり制限されていること、
近県が被災していて交通状況が悪いこと
(東の宮城、南の 福島には行けず移動方角が制限されている)、
等からいったん山形に入ってしまうと、身動きとれない可能性が高いです。
むしろ、新潟や関東方面の方が、
その後の移動や物資の調達などの利点が大きいと考えますが、どう思われますか?
ご意見を聞かせて下さい。
以上のようなことが分かりません。教えてもらえませんか?
以下は守田の回答です。
A君
今回の事故に関しては、データーが十分に公開されていません。
またおそらく、政府や東電も十分につかめていない面があるように
思えます。そのためどうしても僕の持てる力を尽くしての推論になります。
まずはこの点を踏まえてください。
その上で、
1,風向きについては、やはり気象庁のホームページなど
からデータをとるのがよいと思いますが、わりと分かりやすくて、
僕が普段つかっているものにヤフーの天気予報があります。
これを見るとこれから6時間の雲の流れの予想がアニメーションで
示されています。
山形付近について調べたページをコピーしますので、参照してみてください。
http://weather.yahoo.co.jp/weather/raincloud/tohoku.html?c=anime
2,雨雲については、放射能雲がもっとも危険です。ただし放射能雲と
いう形があるわけではありません。上空に飛散した放射性物質が
雲に付着して運ばれているのが放射能雲です。そして雨となって
落ちるところを激しく汚染しますが、雨が降らなくとも降下物はあるので
注意が必要です。その意味では晴天でも放射性物質は飛散し、
やがて落下します。
雨となっての降下が最も激しいと考えてください。
どれぐらい危険なのかは、どれぐらいの放射能が飛散するかによる
ので、事実上、誰にもにわかに判別することはできません。現時点
でも、放射能漏れが政府が伝えているよりは多く起こっていると
思いますが、量は分かりません。ただ惨事から比べればかなり
少ないとは言えます。
その点を踏まえて、今は、予行演習の意味もかねて、仙台方面からの
雲にも注意を払うといいのではないでしょか。少量でも被曝しないに
超したことはないし、練習を行っておくと、いざというときに落ち着き
がますかもしれません。
大事故が起こった場合は、先ほどのページなどで雲の様子をモニター
してください。(ただし、アクセスが集中してみれなくなる可能性がある
ので他のページもさがしてみてください。僕も試みてみます)
ここでも日本海側からのものは基本的に心配はいりません。やはり
福島方面からのものがもっとも要注意です。
そして福島方面から雲が流れてきたことが確認できる場合は、雲が
来る前に合羽などを着用して外での仕事をすませ、雨の間は部屋に
こもることです。
雨が降った後は、水道水も危険になるので、その前に、家の中の
あらゆる容器に水をためておくとよいです。とにかくその後はできるだけ
家の中にいた方が有利なので、たてこもれる準備をしておくといいです。
水をためるのは事故を確認してからでいいのではないかと思います。
3,避難について、この季節の風は大きくは西から東、ないしは北東か
北西に向かう可能性が高いので、事故の前なら、より西かつ南に逃れた
方が有利さはましますから、新潟・関東方面の方が確かにいいです。
ただし風は常に向きが変わるので、実際の移動に際しては、
モニタリングしながら、危険のないことを確認してください。
またそちらの方が移動や物資の調達の面でも有利というのも
その通りだと思います。
その場合、向かうべき方向の自治体に今から連絡をとってみては
どうでしょうか。そうして安全地帯の自治体に、受け入れる体制を
取る必要があることに気づいてもらうのも良いのではないかと
思います。
またこうしたことを山形の行政にも相談してみてはどうでしょうか。
ともあれ多くの人が、避難と助け合いをわがこととして考えるように
促していくことが、自らを、さらにはよりたくさんの人を救うことに
なると思えます・・・。
******
転載は以上です。
さてその後に各地の放射能のモニタリングを紹介している
サイトを教えてくれた方がいました。
以下に示すので見てみて下さい。
さすがに東海原発のある茨城県や、柏崎原発周辺は
充実していて、各地のリアルタイムでの風向や風力なども
示されています。
福島原発については、情報の更新が遅くて、リアルタイムでは
使えません。・・・リアルタイムで更新していく余裕などないので
しょう。
ともあれ、それぞれの地域にお知り合いのいる方は、知らせて
あげると役に立つかもです。
http://www.geocities.jp/atom_moni/
福島第一原発1号機、3号機に続いて、2号機が極めてシビアな
事態にひとたび立ち入り、今、すこしずつ回復しつつある状態で
あることが報告されています。
この炉は、地震当初は、冷却装置がもっていたものの、次第に
作動しなくなり、今日の午後に完全に止まってしまいました。
これに対して、東電はここでも原子炉への海水注入という
非常手段に踏み切りました。
ところが午後6時頃になって、水面がどんどん下がり、ひとたび
4メートルの燃料棒が完全に水面から上に露出して、いわゆる
「からだき」状態になっていることが確認されました。原因は
作業員が、ポンプの燃料漏れを見逃したことにあるそうです。
一部のマスコミからこれへの避難の声があがっており、東電は
謝罪をしましたが、いろいろな受け取り方はあるとは思うものの、
僕は組織としての東電は批判されるべきでも、現場の作業員
の方を責める気にはなれないです。
相次ぐ危機と直面しつつ、しかも被曝の危険や爆発の危険に
眼前にさらされながらおそらくは不眠不休で活動しているだろう
からです。しかもすべては想定外のことで、初めての経験でしょう。
そもそもプラントの安全性は、人間がヒューマンエラーを起こし
うることを前提に作られねばなりません。ところが今は、その
設計にないことを作業員はやらねばならなくなっています。
ミスは構造的な問題です。願わくば、人員を増強し、疲れ切った
作業員の交代を頻繁にして欲しいです。人間はそう長くは
極度の緊張を維持することができないのだからです。
さて炉がどうなったのかを述べます。燃料棒4メートルがすべて
露出してしまうのは、1号機でも3号機でもなかったことであり、
少なくともこの時点では、今までで最も危険な状態が現出しました。
ところがその後、8時頃からようやく注水が再開され、10時半ぐらい
に2メートルまで水位が回復したと発表されています。少なくとも
空だきによる核暴走という惨事の手前からは脱しています。
ただし高熱によって、燃料棒の一部が損壊した可能性があると
言われています。溶融が起こったのです。このことで、再び被覆の
ジルコニウムが溶けて水素が発生している可能性があります。
また被覆の中には、ウランとプルトニウムのペレットが詰まって
おり、そのうちの一部はすでに核分裂を終えて、セシウム、
ヨウ素、ストロンチウム(いずれも放射性)などに分解しています。
これを閉じこめておくのがペレットと被覆管の役目ですので、
この死の灰が漏れ出してしまっている可能性があります。これらは
再びベントを開いて圧力を逃がすので、大気中に出てしまいます。
さてその先ですが、2号機でも1号機、3号機と同じように水素爆発が
起こるでしょうか。この点では、3号機の爆発のときに破片が
2号機に穴をあけたそうで、そこから抜けるのではとの推測があります。
ただこれらのことも、まったく想定外で起こっていることですので、
どうなるかは分からないです。現時点ではっきりしているのは2号機は、
空だきまで行き、燃料の一部が損壊したが水位は回復中ということです。
一方で少し安心させてくれる情報として、福島第二原発1号機と2号機で
真水の注入により冷却が進み、炉内が100度を下回って安定して
きたということがあります。このまま安定してくれれば良いのですが。
さてみなさん。
僕とやりとりをしている山形在住の友人から質問が寄せられ、僕なりに
考えた答えを送りました。少しでも役に立つことをと思って知恵を
絞ったので参照になるかと思い、転載します。
なお僕の意見が間違っているのではないか、あるいは訂正する
必要があるのではないかという場合、ぜひお知らせ下さい。
今はとにかくみんなで知恵をしぼりあっていく必要があります。
******
A君からの質問
貴重な情報をありがとうございます。
質問があるのですが、可能な範囲で教えてもらえると助かります。
すでに、福島原発からは爆発によって、
放射能を含む煙や蒸気などがかなり放出されているようです。
また、格納容器まで破損や爆発?するようなことがあれば、
大大大惨事になりますよね?
その場合に近県への影響とその対策について、
いろんな情報を教えていただいているのですが、
①放射能が流れてくるかどうかは風向きがかなり影響すると言いますが、
風向きをリアルタイムで知るための方法がいまいち分かりません。
気象庁などのホームページをみると良いのでしょうか?
それにしても、風向きから推測するしかないのですね?
②雨に気をつけるとのことですが、
それは、福島原発方面からやってくる雨雲に注意するということなのでしょうか?
例えば、すでに仙台には放射能が到達しているとのことで、
同様に山形にも到達している可能性があるわけですが、
仙台方面からの雨雲やひょっとしたらどこからかに関わらず、
今後、山形に降る雨、雪には気を付ける必要があるのでしょうか?
いわゆる原発事故による放射能雲でなければ、気にする必要はないのでしょうか?
③すでに福島から、避難者が山形にも来ています。
障害を持つ方の施設に勤めている関係で、
福島から逃れたいと言う障害を持つ方たちからも問い合わせがあります。
しかし、今山形は他県からの物資輸送が滞っていて
特にガソリンの供給がかなり制限されていること、
近県が被災していて交通状況が悪いこと
(東の宮城、南の 福島には行けず移動方角が制限されている)、
等からいったん山形に入ってしまうと、身動きとれない可能性が高いです。
むしろ、新潟や関東方面の方が、
その後の移動や物資の調達などの利点が大きいと考えますが、どう思われますか?
ご意見を聞かせて下さい。
以上のようなことが分かりません。教えてもらえませんか?
以下は守田の回答です。
A君
今回の事故に関しては、データーが十分に公開されていません。
またおそらく、政府や東電も十分につかめていない面があるように
思えます。そのためどうしても僕の持てる力を尽くしての推論になります。
まずはこの点を踏まえてください。
その上で、
1,風向きについては、やはり気象庁のホームページなど
からデータをとるのがよいと思いますが、わりと分かりやすくて、
僕が普段つかっているものにヤフーの天気予報があります。
これを見るとこれから6時間の雲の流れの予想がアニメーションで
示されています。
山形付近について調べたページをコピーしますので、参照してみてください。
http://weather.yahoo.co.jp/weather/raincloud/tohoku.html?c=anime
2,雨雲については、放射能雲がもっとも危険です。ただし放射能雲と
いう形があるわけではありません。上空に飛散した放射性物質が
雲に付着して運ばれているのが放射能雲です。そして雨となって
落ちるところを激しく汚染しますが、雨が降らなくとも降下物はあるので
注意が必要です。その意味では晴天でも放射性物質は飛散し、
やがて落下します。
雨となっての降下が最も激しいと考えてください。
どれぐらい危険なのかは、どれぐらいの放射能が飛散するかによる
ので、事実上、誰にもにわかに判別することはできません。現時点
でも、放射能漏れが政府が伝えているよりは多く起こっていると
思いますが、量は分かりません。ただ惨事から比べればかなり
少ないとは言えます。
その点を踏まえて、今は、予行演習の意味もかねて、仙台方面からの
雲にも注意を払うといいのではないでしょか。少量でも被曝しないに
超したことはないし、練習を行っておくと、いざというときに落ち着き
がますかもしれません。
大事故が起こった場合は、先ほどのページなどで雲の様子をモニター
してください。(ただし、アクセスが集中してみれなくなる可能性がある
ので他のページもさがしてみてください。僕も試みてみます)
ここでも日本海側からのものは基本的に心配はいりません。やはり
福島方面からのものがもっとも要注意です。
そして福島方面から雲が流れてきたことが確認できる場合は、雲が
来る前に合羽などを着用して外での仕事をすませ、雨の間は部屋に
こもることです。
雨が降った後は、水道水も危険になるので、その前に、家の中の
あらゆる容器に水をためておくとよいです。とにかくその後はできるだけ
家の中にいた方が有利なので、たてこもれる準備をしておくといいです。
水をためるのは事故を確認してからでいいのではないかと思います。
3,避難について、この季節の風は大きくは西から東、ないしは北東か
北西に向かう可能性が高いので、事故の前なら、より西かつ南に逃れた
方が有利さはましますから、新潟・関東方面の方が確かにいいです。
ただし風は常に向きが変わるので、実際の移動に際しては、
モニタリングしながら、危険のないことを確認してください。
またそちらの方が移動や物資の調達の面でも有利というのも
その通りだと思います。
その場合、向かうべき方向の自治体に今から連絡をとってみては
どうでしょうか。そうして安全地帯の自治体に、受け入れる体制を
取る必要があることに気づいてもらうのも良いのではないかと
思います。
またこうしたことを山形の行政にも相談してみてはどうでしょうか。
ともあれ多くの人が、避難と助け合いをわがこととして考えるように
促していくことが、自らを、さらにはよりたくさんの人を救うことに
なると思えます・・・。
******
転載は以上です。
さてその後に各地の放射能のモニタリングを紹介している
サイトを教えてくれた方がいました。
以下に示すので見てみて下さい。
さすがに東海原発のある茨城県や、柏崎原発周辺は
充実していて、各地のリアルタイムでの風向や風力なども
示されています。
福島原発については、情報の更新が遅くて、リアルタイムでは
使えません。・・・リアルタイムで更新していく余裕などないので
しょう。
ともあれ、それぞれの地域にお知り合いのいる方は、知らせて
あげると役に立つかもです。
http://www.geocities.jp/atom_moni/