友人が、原子力事故が起こったとき、どのような格好で
逃げればいいのかなど、イラストで示した有効な情報を送って
くれました。貼り付けますので、ご活用下さい。
「原発で事故」「原発で放射能漏れ」と聞いたときの対処法
http://tabemono.info/report/image/ns127_genpathu3.jpg
原発事故に備えて常備しておくもの
http://tabemono.info/report/image/ns127_genpathu.jpg
原発からの距離で違う逃げ方
http://tabemono.info/report/image/ns127_genpathu2.jpg
とてもわかりやすい内容ですが、ただ1点、注意すべき点が。
ここに書かれている情報、とくに原発から10キロ、20キロ、30キロと
離れた場合の逃げ方や逃げる時期の目安は、あくまでも原発事故が
単独で起こったときを想定して書いたものだと思います。
今は、地震と津波で各地がとんでもないことになっているので、
逃げるのはより大変だと思います。道路の状況もよく分からないのでは。
なので、逃げるときはここに書いてあるよりは、もっと早めに行動した方
が良いです。この点を付け加えて、多くの人に紹介したいですね。
また原子力問題と丁寧に向き合ってこられた京大原子炉実験所の
小出弘章さんからのメールが転送されてきましたので、みなさんに
お届けします。日本の原子力行政の危険性をさまざまな場面で
指摘してこられた方です。
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皆様
8時の枝野長官の記者会見を聞き、
爆発は格納容器と原子炉建屋の間で起き格納容器はまだあるとのこと、ちょっとほっとしました。
もし、それが本当なら、爆発は水素爆発です。
そしてその水素は、燃料棒被覆管材料である、
ジルコニウムという金属と水との反応で生じた水素だと思います。
それが格納容器ベントを開いたことで、原子炉建屋に漏洩し、爆発に至ったと推測します。
格納容器は放射能の放出を防ぐ最後の砦で、それがまだ形として残っているということは、
せめてもの救いです。
その格納容器の中に、海水を注入するという説明でしたが、どうやって海水を送るのでしょうか?
そのためにはポンプが動かなければいけませんし、そのためには電源が必要です。
電源が失われたからこそ、事態がここまで悪化してきました。
何故、いきなり海水を送れるようになったのでしょうか?
注水できるポンプの圧力の能力はあります。原子炉圧力容器内は大変高圧になっており、
消防用のポンプ車の吐出圧力では原子炉圧力容器の中に直接水を送ることはできませんが、
格納容器の中であれば送れると思います。
それでもなお、核の容器の中に水を送る作業はもっと早くやれたはずだと私は思います。
十分な情報がない中、申し訳ありませんが、正確な判断ができません。
もし、格納容器内を海水で満たすことができるのであれば、もちろん原発は2度と使えませんが、
最悪の破局は免れることが出来ると私は思います。
格納容器内に海水にホウ素を混入させることは必要です。今直面している危機は、
原子炉が溶けてしまうこと、
そして一度は停止させたウランの核分裂反応が再び始まってしまうかもしれないことの2つです。
原子炉を溶かさないためには水を供給すること、
核分裂を再び始まらないようにするためには中性子を吸収できる物質を供給しなければいけません。
中性子を吸収する物資がホウ素です。
ですから、ホウ素を混入した海水を格納容器に注入することは有効です。
成功してくれることを願います。
政府の提供する情報は大変不十分です。
爆発前後で正門前での放射線量が、減ったなどということは、
格納容器が破壊を免れたという証明にはなりません。
単に風向きが変わった可能性の方が遥に大きいです。
今後も、あちこちからの情報に常に注意してください。
このメールは失礼ながらたくさんの人たちに一斉に送ります。
事故の対応に追われており、お許しください。
2011/3/12 小出 裕章
以下、マスコミからの続報も付け加えておきます。
一番最後に載せた東電による、福島県内の放射能測定装置が
全部ダウンしているという記事がとくに気になります。
ともあれ史上最悪の原発事故が未だ進行中です。
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炉心溶融の可能性、東電も認める 福島第一原発1号機
東京電力の小森明生常務は12日夜の記者会見で、
爆発があった福島第一原子力発電所1号機から放出されたとみられる
セシウムが検出されたことを認め、
「炉心そのものが通常とは違う状況になっている可能性はある」と述べた。
原子力安全・保安院が指摘した「炉心溶融の可能性」を認めた。
1号機の建屋の現状については「上の方は壁がない状況になっているのは、目視で確認できる。
下の部分は形はしっかり残っている」と説明。
「なるべ く見える範囲のものを見ようとしているが、
建物の中をくまなく見ることが難しい状況。放射線量がかなり高い」とも述べた。
今後の対処については
「まずはいろいろな形で原子炉を冷やそうと注力している」と述べるにとどめた。
一方、原子炉容器内の状態について、
高橋毅・原子力運営管理部長は「明確につかめていない」と述べた。
会見を始めた午後7時半時点での炉内の圧力や水位はわからない状態という。
(2011年3月12日20時26分 朝日新聞)
福島第一原発1号機爆発時、3人被曝 県発表
経済産業省の原子力安全・保安院は12日、
東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所1号機(福島県大熊町)で、
午後3時30分ごろに大 きな爆発音を伴う爆発が起きたことを明らかにした。
枝野幸男官房長官は同日夜会見し、爆発は何らかの理由で建屋内にたまった水素によるもので、
原子炉の安全性を保つ格納容器は損傷していないこと、
今後の損傷を防ぐため、容器を海水で満たして冷やす措置を指示したことを明らかにした。
福島県は同日、近くの高 校のグラウンドにいた3人がこの爆発で被曝(ひばく)したと発表した。
冷却にあたって、核反応が連続する臨界に達しないようにするため、ホウ素も用いる。
この措置は午後8時05分に着手したという。
枝野氏はこうした 手段について、原子力安全委員会など専門家などとも協議し、
新たなリスクはないと判断したが、「念のために、万全を期すため」、
避難を指示する対象を従来 の半径10キロから半径20キロに拡大した。
東電は12日午後、原子炉格納容器の損傷を防ぐため、
容器内の放射性物質を含む空気を外部に放出する作業に着手。
同3時30分ごろに現場敷地境界で、
1時間あたり1015マイクロシーベルトの放射線を確認した。
1015マイクロシーベルトは、
一般人の年間被曝(ひばく)線量の限度(1ミリシーベルト=1千マイクロシーベルト)を、
1時間で浴びる放射線量に該当する。
日常生活で自然から浴びている放射線は平均で1時間あたり0.05マイクロシーベルト。
放射線業務従事者は年間50ミリシーベルト
かつ5年間で100ミリシーベ ルトが被曝限度とされている。
だが、その直後の午後3時36分ごろに爆発があった後、
線量は70.5マイクロシーベルトまで落ちたという。
こうしたことから、枝野氏は放射性物質の放出に大きな変化はなく、
原子炉は制御下に置かれるとしている。
福島県によると、爆発で1号機の原子炉建屋の天井が崩落したことを確認したという。
東電社員ら4人が負傷し、病院に搬送されたという。
東電の小森明生常務は12日夜の会見で、第一原発について
「現在、原子炉の様子がつかめないが、時間ごとの(放射性物質の)放出の可能性は高い。
厳しい状況」と述べた。
放射線医学総合研究所や東電が原発敷地内で、
燃料中に含まれる核分裂生成物であるセシウムやヨウ素を確認した。
いずれも、ウランが核分裂をした後にできる物質だ。
こうしたことから、保安院、東電とも、炉心溶融の可能性が高いとしている。
想定されている原発事故の中で最悪の事態だ。
これが進むと、爆発的な反応を引き起こして広く外部に放射能をまき散らす恐れもある。
原子炉圧力容器内の水位は下がり続けており、午後5時28分の段階で、
燃料棒(長さ4メートル)の上端から1.7メートル低い位置にある。
燃料棒 の半分近くが露出した状態になっている。
消防車などを使って冷却水を注入しているが追いついていない。
このため、東電は海水も使うことを選択肢の一つとし て検討していることを明らかにした。
政府は福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)について、
避難を指示する範囲を、半径3キロ圏から10キロ圏に拡大した。
(2011年3月12日22時2分 朝日新聞)
原子炉損壊防止へ海水で冷却開始 福島原発1号機 東電、
廃炉も視野 海水注入で炉心冷却開始 東電、1号機廃炉も視野
福島第1原発、史上最悪の事故に
東日本巨大地震で被災した東京電力福島第1原子力発電所1号機について、
経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後、「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。
東電は同日、原子炉に海水を注入し、炉心を冷やす作業を始めた。
海水注入でさびやすくなることから、廃炉も視野に安全対策を進めた。
原子炉周辺からは燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が原発周辺から検出。
ほぼ半世紀になる日本の原発史上で、最悪の原子力事故になった。
これに先立つ午後3時半ごろ、1号機周辺から爆発音が聞こえ、10分後に白い煙が噴き出した。
この爆発で東電の社員2人と協力会社の作業員2人がけがをし、病院に搬送された。
福島県に入った情報では原子炉がある建屋などの天井が崩落した。
枝野幸男官房長官は同日夜の記者会見で
「建屋の壁が崩壊したものであり、中の格納容器が爆発したわけではない」としたうえ
「放射性物質が大量に漏れ出すものではない」と主張した。
福島県に入った情報によると、午後4時すぎ、
敷地内の放射線量が1時間に1015マイクロシーベルトを示した。
一般人が年間に受ける放射線量の限度(1000マイクロシーベルト)に相当する値まで上がっている。
原発は万一の事故に備え、「5重の壁」と呼ばれる構造で放射性物質を閉じ込める。
今回の爆発では一番外側にあたる原子炉建屋が壊れたことが映像で確認された。
内側の防壁の状況は分かっていない。
建屋崩壊時は原子炉格納容器の圧力が高まっており、
壊れる可能性があったため内部の空気を出す作業を進めていた。
爆発が起きた原因は調査中だが、
原子炉格 納容器の圧力が何らかの理由で高まり過ぎて爆発したとすれば、
最悪の場合は内部の防壁も壊れ、放射性物質が外に出た可能性がある。
1号機は東日本巨大地震の発生で自動停止はしたものの、
緊急炉心冷却装置(ECCS)を動かすことができなくなり、
炉を十分に冷やせなくなっていた。
東電は同日午後、原子炉内の水位低下が進んでいると発表した。
午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、
10時30分には90センチ メートル、午後1時には1.5メートルに拡大。
午後3時半ごろに1.7メートルになった。
燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出していたことになる。
(2011/3/12 21:53 日経新聞)
放射線の計測装置すべてダウン 東電
福島県によると、放射線を計測するために設けている約10のモニタリングポストが
すべてダウンした、との報告を東京電力から受けたという。
県もモニタリングポストを設置しており、独自に計測値を調べている。
(2011年3月12日19時37分 朝日新聞)