明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

地震続報( 33 )プルトニウム大量飛散の可能性あり

2011年03月22日 23時05分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です (20110322 23:05)

みなさま、より深刻な情報が入ってきました。
福島原発の燃料棒の中にあるプルトニウムがすでに大気中に飛散している
可能性があります。

この点は、MさんやEさんとやりとりしながら考察を進めてきました。
焦点は、燃料ペレットの中にセラミックスとして固められている
プルトニウムが、溶けたり気化しないで、固形のまま外に出てくることが
あるのだろうかという点です。

こうした考察をしている中で、Mさんが、22日の日経新聞のweb版と、NHK
ニュースに、付近の海水からコバルト58が検出されたことが報じられていることを
伝えてくれました。しかもしばらくたつと日経の記事は書きかえられ、NHKに
ついては、ニュースもとにアクセスできなくなりました。数時間で記事が
消えて行ったのです。

Mさんによると、コバルト58もまた融点が高い物質で、なかなか溶けて
気体化せず、個体のまま外に出やすいのだそうです。そのためコバルトが
出ているのなら、プルトニウムも超微粒子となって出ている可能性があります。

みなさん。
プルトニウムはヨウ素やセシウム、ストロンチウムなどの放射性
物質よりも、格段に毒性が高い物質です。それは後者が主にベータ線やガンマー
線を出して「崩壊」することに対して、アルファー線を出して崩壊するからです。

アルファー線は、ヘリウム原子と同じもので、遠くには飛びませんが、ベータ線や
ガンマー線に比べて格段のエネルギーを持っています。そのため内部被曝
した場合、その付近の細胞に深刻なダメージを与えます。

尊敬する高木仁三郎さんは「プルトニウムの恐怖」という本の中で、
次のように書いています。
「(守田注・金属プルトニウムを扱いやすいように加工した)「酸化プルトニウムは、
微粒子となって空中に漂いやすく、呼吸器系統から人間の灰にとりこまれやすい。
非常に溶けにくい物質なので、肺に付着すると、長いことそこにとどまって、
肺ガンの原因になる。ラットやビーグルを使った実験では、1グラムの何百万、
何千万分の一の酸化プルトニウムが動物に肺ガンを起こさせることが
知られている」

そして実際にかつて、アメリカ軍の、ロッキー・フラッツというプルトニウムの
加工工場で火災がおこり、この酸化プルトニウムが微粒子(チリ)となって、
環境中に放出されてしまったことがあります。
これと同じように、プルトニウムが環境中に飛びだしているとなると、事態は
ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの飛散より、格段に深刻です。


またさきほど説明した3号機からの、水を介さないベントでは、これまでの
10倍の放射能が出てしまう可能性があると言われているわけですが、
この3号機には、このプルトニウムとウランが混ぜられた燃料が使われており、
当然、1号機や2号機とは問題にならないぐらい大量のプルトニウムが
中に入っています。

これらを考えた時、この間、放射性物質の飛来が確認されている地域では
とくに今後の3号機かベントでは、より大量のプルトニウムが飛散してくる
可能性があると考えた方がよいです。非常に毒性が高い物質であり、
超微粒子であるため防ぐことが難しい物質です。そのため対策としては
できるだけ遠くに離れることがベストです。

それができない場合は、外出や雨を避けるだけでなく、汚染地域の水、食料を
徹底して避けることなどが問われますが、これは本当に大変なことです。

どこまでこうした対策をとればいいのかを明確にするためにも、政府に
プルトニウムの飛散に関する情報を全面開示することを求めて行く
必要があります。マスコミの方、ぜひこれを仲間の間でも流して下さい。

最前線の記者さんたちも、そこにおられる方々とともに、極めて危険な状態に
立つことになります。組合なども通じて、そうしたことを新聞社内で問題にし、
ぜひ明らかにしてください。

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地震続報( 32 )放射能漏れの現状に関する科学的推論

2011年03月22日 22時22分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110322 22:20)

科学的分析が欲しいという僕の呼びかけに、友人の科学者がこたえて
説明を送ってくれましたので転送します。
ただし少々、難しい内容です・・・。


****************************
メール1

私は、公的に、現時点までの事故の推移状況では、
ウラン、プルトニウム他の漏出があったかどうか判断できない、との立場に立ちます。
状況証拠はそれなりに把握していますが、物的証拠がありません。
この点で、私も守田さんも同じ立場にあります。
 
全貌を、数値で把握していないのです。
私が恐れるのは、政府が情報統制を敷いているということではなく、
政府自体も、現状を把握できているか否かということです。
 
その立場から、先ほど守田さんから提供があった原子力資料情報室からの
アピールを受け止め、
「正しく怖がる」ための根拠となるべき、物的証拠・・・少なくとも食品汚染に関して、
法によって定められた核種のデータ・・・の提示があるか否かを聞きたいと思います。


現時点で、私が発表する文書のポイントをまとめたうえで、
昨晩、守田さんとAさんに送ったメールの内容を、ほぼそのまま、
いまここの皆様に出そうと思います。

ポイント4つ。


①少なくとも3号機からの放射能漏れに関しては、
ウラン、プルトニウムを含む、放射能漏出の危険性が考慮される。

②厚生労働省のウェブサイトから入手された
「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」(参考資料1)では、
原発事故などにおける、ウラン、プルトニウムを含む放射能の迅速測定手続が定められている。
これは、法的根拠に基づいた測定手続きであり、政府にはこの情報がある(ことになっている)。

③事態が事態である以上、少なくとも今後の放射能漏れについては、
セシウム、ヨウ素以外の放射能のデータについても提示が求められるのが当然である。

④政府は、現時点でデータの提示ができなくても、将来にわたってそれらのデータを収集し、
提示する意志があるかどうかを確認されたい。

・・・・・・

(参考資料1)
先に送った、厚労省の「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
は、平成14年のもので、東海村臨界事故を受けて作成されたもののようです。

良く読むと、測定分析の方法の詳細、分析装置の使用条件だけでなく、
測定する機関(県の試験場など)の定めや、
核種ごとの基準値と、規制値についても細かく定められています。
 
これによれば、緊急時における放射能測定の対象核種として、
セシウムとヨウ素だけでなく、本質的な放射能漏れの危険である、
ウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどの核燃料そのものが
漏れ出していることを、迅速にモニタリングすることが定められています。

資料の25ページには、迅速性を旨とする「第1段階モニタリングにおける測定・分析」として、
下記のように定められています。


>1-5-5 第1 段階モニタリングにおける測定・分析
>(1)測定・分析対象核種
>放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のα核種
>の4核種群が主な測定対象となる。防災指針では、これらの核種による周辺住民
>の被ばくを低減するとの観点から実測の放射性物質濃度として別表3に示す指標
>が提案されている。

にもかかわらず、
政府発表では、ウラン以降の核種群について情報提供がありませんし、
この点について測定・分析中であるかどうかの情報提供もありません。
あるいは、そういう情報提供が今後あるかどうかの判断もされていません。

もちろん、非常に重要な情報ですから、
情報の正確性の観点から言って、測定結果の信頼度に対する追試験が
必要である、その他の様々な予期しない事態(装置の故障)などによって、
時間がかかることは分かっています。

でも、少なくとも、「それ」を分析・測定中であるという情報だけは提示してほしい。
そのことが、疑心暗鬼を生んでいる、と。

異様な事態だと思います。

セシウムやヨウ素は、ことここに至っては、瑣末な問題です。
核燃料そのものの放射能漏れこそが、人々が求めている情報のはず。
それが、なぜ公開されないし、公開すべきという声が上がらないのか。

私は、少し疑心暗鬼になっています。

この国の人々は、原発賛成・反対を問わず、タブーを作っている・・。
もはや、核燃料の漏出という「結論」に耳を閉ざそうとしているんではないかと。
もし、規定を越える量が出れば、いろいろと結論が出てしまうためです。

私は、別に秘密を握っているわけでもなんでもなく、
単に、政府の規定がきちんと守られていないような気がする、
と指摘したいだけなのです。

どうか、私の疑念を、杞憂だと言ってください。

特に報道機関に携わる方々に対して、政府にデータの提出を求めるよう、
促していただきたい。



*******************************
メール2

先ほどのメールについて、詳細です。

セシウム、ヨウ素に関する調査結果は、すでに公表されていますが、
それ以外の核種の公表が遅れている、というのが私の指摘です。

これは、前者2種と、後者では、分析測定の方法が全く異なるためです。

前者2種は、ガンマ線を放つので、ふつうのガイガーミュラー管などの
放射線測定器で測定ができます。
このレベルでしたら、税関検査なみの設備でできます。

ところが、後者の核種は、もう少し高級な分析装置が必要になります。
(簡単な装置でもできるかもしれませんが、正確さの観点から、
高級な分析装置を使ったほうがよい)


元素分析は、いくつかの方法がありますが、この厚生労働省のマニュアルによると、
ウラン、プルトニウムに関する迅速測定は、ICP-MSを用いることになっています。

ICP-MS は、いわゆる質量分析器です。
質量分析器というのは、物質の分子量を測定する分析装置です。

簡単に言うと、物質をイオン化して電荷を持たせ、
それを電場をかけた空間に放り込むと、電荷と分子量のバランスで、
たとえば、飛行距離の違いなどを検出して、物質の分子量を調べます。
  
さらに、物質にマイクロ波やレーザーを当てるなどして、
その化学結合を壊してしまえば、元素一個の質量を分析・同定することも
原理的に可能です。
おそらく、マニュアルに載っている測定手順は、このプロセスだと思います。
 

ICP-MSの価格帯は2500万円~数千万円/1台 ですので、
予算規模の大きな大学・研究所・企業でないと導入できませんが、
販売台数が極めて少ない(日本国内に1、2台とか)ってことはない装置です。
性能にもよりますが、数百台はあるはず。
 
アジレント社(新興勢力・外資)のホームページで、詳細を説明しています。
http://www.chem-agilent.com/contents.php?id=35074 

で、私が、いま、いちばんありそうなシナリオだと思っているのは、
厚生労働省傘下の研究機関で、ICP-MSが止まっているんじゃないか、
ということです。
 
放射性同位体の分析は、高レベル放射性同位元素取扱法(だったか)に基づいて、
厳重管理した区域内で行わなければならない
(被ばくを避ける、というよりも、バックグラウンドノイズを避けるのと、
廃棄物処理を厳重にするため)ので、
「厳重管理した区域内」にあるICP-MSとなると、台数は限られます。
 
じゃあ、「厳重管理した区域内」の外からICP-MSを移設すればいいんですが、
そうすると、非常にセンシティブな装置なので、軸合わせとか調整に時間がかかる。
厳密測定なので、装置内部のクリーニングもしないといけない。
まして、停電が頻発するような条件では、到底、実験できない。
 
そこで、検体の測定機関を他に求めるということが考えられます。
ところが、他の測定機関は、どういう法的根拠で以って、
測定ができるかという問題に直面しますし、検査キットも無いでしょう。
 
機関の長の立場としては、いったん認めると、
そのまま継続的にその装置を使われることになるでしょうし、
測定結果についても責任を負わないといけなくなるので、
よほどの上級機関からの要請(というか大臣命令)でなくては、従わない。
末端の職員レベルでは身動き取れない状況になる。
  
役人の論理からして、大臣命令を促すような情報を上に挙げるとは考えにくい。
まして、現在のような状況では、「あえて知らせず」になっている可能性がある。
 
案外、こんな段階で、分析・測定がストップしており、
政府は現状を把握できていない可能性がある・・・というのが、私の推測です。
 

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地震続報( 31 )原子炉崩壊や再臨界の可能性がいまだ続いている

2011年03月22日 22時14分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日

守田です。(20110322 22:15)

3月20日に原子力資料情報室、後藤政志さんからの現状に対する説明が
なされました。この内容を、書き取ったので紹介します。ただし、誰かに
紹介する時は、あくまでも、守田が聞き取った内容と注意書きをしてください。

まず要約を書きます。ここでは後藤さんが話した内容に、多少の説明的な
言葉を足します。そのあとにはなされた内容をそのまま書きます。

3号機からなされようとしたベントの意味するもの

20日に3号機圧力容器の圧力があがってきたという報告があった。
破損を防ぐために、蒸気を抜こうと言うのです。その場合、格納容器
下部のプールの水を介して蒸気を出せば、放射能が水によって
落とされるが、それができない場合、そのまま出てしまう。
今回は、水を介せないので、発表では今までの10倍の濃度の物が出る
可能性があると言われた。

これはなぜ行われようとしたのか。原子炉内の冷却がうまくいかず、温度が
上がってきたからだ。再び燃料棒がむき出しになり、蒸気が発生して
原子炉の圧力が高まり、圧力逃がし弁などから格納容器内に蒸気が
うつってきた。そしてそのままの状態では、格納容器ももたなくなるため、
選択の余地のないもののとして、ベントが計画された。

ところが何らかの要因で、その後に圧力が安定して下がり始めたために
ベントは見送られた。(同じようなことは21日に繰り返されました)

こうしたことはいつまで続くのか。燃料棒がある程度、冷えて、とりだしても
問題がないところまでいくまでだが、これには数カ月では足りない、1年とか
2年とか年単位の時間が必要だそうだ。

そのためこのように危険な状態になったとか、小康状態になったとか、
その間にベントをしたとかいう状態が、1年ぐらい続く可能性がある。


臨界を起こした可能性のある4号機プール

さらに4号機燃料プールで煙があがったがこれはなぜか。
プールにはある一定の隙間をあけて、燃料棒が縦に入っているが、
これは臨界を起こさないための措置だ。
(臨界とは核分裂反応の連鎖が続けて起こっている状態のこと)

ところがそれらが地震や爆発の影響で、斜めに傾き、接近した
ことが考えられ、そのとき、水があるので臨界に達してしまった。
(核分裂は、中性子がウランにあたって起こるが、空気中では
中性子はスピードが速すぎてなかなかウランにぶつからない。
ところが水があると、水の中の水素分子と中性子が衝突して
スピードがかなり遅くなり、ウランに当たりやすくなる。このため
水のことを冷却材とともに、減速材とも呼ぶ)

それで熱が急上昇して蒸気が出たが、このころに強い中性子線が
観測されている。中性子線は、核分裂がおこらないと出ないので、
このとき臨界がおこったことが推測される。しかし臨界はすぐに
終息した。臨界が続く条件がそろわなかったためだ。

このように燃料棒は、固まってしまうと臨界を起こしやすい。では
炉心の中ではどうかというと、ある専門家より、臨界は極めて起こりにくい
と指摘された。溶けて固まって下に落ちただけでは、水がないため
連鎖反応が起こりにくいからだ。しかしまったく可能性がないわけではない。

では温度が上がって、燃料が溶けてしまったらどうなるのか。可能性と
しては、臨界して核爆発を起こすよりも、原子炉や格納容器を溶かして
外に出てしまうことがありうる。

その場合、原子炉の下のコンクリートと、溶けた燃料が接触すると、
激しく水素ガスや炭酸ガスが発生し、その圧力で、原子炉格納容器が
破裂してしまう可能性もある。


温度による原子炉格納容器の破損の可能性

また原子炉格納容器の破損については、温度の高まりの中で、金属では
ないものを使っている弱い部分が先に壊れてしまう可能性がある。
フランジという上の部分を止めているボルト部分や、電線を通して、樹脂で
充填してある部分で、ここが熱でダメになり、ここから内部の蒸気が
漏れだすと、そこから破断にいたる可能性がある。

にもかかわらず、現在原子炉格納容器は圧力情報は出ているが、温度は
分かっていない可能性がある。そのため圧力上昇ではなく、温度上昇に
よっても、格納容器が壊れてしまう可能性もある。

要約は以上です。
ここからも、原子炉の破裂という非常に厳しい可能性は、去ったわけでは
まったくないことが分かります。

以下、お話をそのまま載せます。

***************************

後藤政志さんのお話(3月20日)
http://www.ustream.tv/recorded/13447172
3号機の圧力容器の圧力があがってきたと聞いた。
今まで、使用済み燃料プールの冷却の問題がこれまで焦点になってきた。
しかし今日、事態が変わった。

発表によると、格納容器の圧力があがってきた。破損を防ぐために
蒸気を抜こうとしている。格納容器ベントは、水を介して出すと、多少、
放射能がおちる。これを介さないと、格納容器の中の放射能が
そのまま外に出る。

発表によると、もし水を介さないでベントすると、今までより10倍の濃度の
放射能が出ると発表されている。しかしながらそのあと、圧力が小康
状態になったので、取り合えず見合わせると発表された。

そもそも格納容器の圧力があがるとは何か。

格納容器は原子炉以外には熱源がない。
燃料が原子力圧力容器の中の燃料が露出して、熱が出ている。
それを冷却しているが、十分でないとだんだん温度が高くなる。

圧力容器の温度がどんどん高くなると、圧力が高くなって、逃がし安全ベン
から格納容器に蒸気がくる。または直接、熱が格納容器に伝わる。

いずれにせよ原子炉の熱が格納容器に伝わる。いずれにせよ、原子炉の
冷却が十分でないと、格納容器の圧力があがってくることになる。

そのままほおっておくと、格納容器が圧力に耐えられなくて、壊れてしまう。
そのため放射性ガスを含んだ蒸気を外に出さざるを得ないという事態になる。

しかも以前よりどんどん放射能が強くなっている。
今回、とりあえず格納容器ベントをやめたが、またヒートアップしてくると、
格納容器ベントをやらねばならない状況になる。

こういう事態はいつまで続くのか。
この問題は冷却機能に関わる。どのように水が入っているか、循環できる
ようになるのか。詳しい状況が分からないので、言いにくい。

しかしながら、燃料棒は、ある程度運転したあとにとりだすが、どれぐらい
冷やすと問題がないかというと、少なくとも数カ月ではすまない、年単位の
可能性がある。

スリーマイル島の事故では、事故後に2年、かかっている。

どこまで冷えれば安全かというのは非常に難しいが、最終的にそのまま
外にとりだしても大丈夫だというまでには、年数単位の時間がかかる。

したがって、この問題がなくなるまでには非常に長い時間、1年とは
言わないけれども、非常に長い時間がかかることを理解して欲しい。

100万キロワット級の原子炉を運転するのに必要なウランは約21トンと
言われている。それに相当する石油の量は、30万トンタンカー5隻分である。

つまり非常に一部のウランであったとしても、もの凄い多い量の石油に
あたることを思い出してくれれば、熱量の大きさが分かると思う。

そのため圧力が上がりそうになったとか、小康状態になったとか、そういう
ことがこれからもずっと続く。

それはひとえに原子炉の中の水の量と、状態による。


今日はもう一つ話をしたい。
使用済み燃料プールでの問題だ。
4号炉で蒸気が出て、使用済み燃料プールで、ヒートアップが起こって
いることが問題になった。それで冷却しようとしたが、そもそも
なぜ熱が出たのか。

私もよく分からなかった。しかしある専門家の意見によると、ここで
4号炉は、もしかすると、燃料ラックに問題が起こった。燃料は
臨界をふせぐために距離を話して、おいてある。

そのため、燃料棒集合体が、少しずつ、距離をおいている。
ところが地震や爆発のために、斜めに倒れて距離が近づいて臨界に
なったとする。そうすると周囲に水があるので臨界になる。

そうなると非常に高温になって蒸気が出る。そうなったと推測する。
それで蒸気が出たが、そのころに強い中性子線を検出したという情報が
あった。

それはどこかで核反応がおこったということだ。

その中性子線と蒸気を合わせて考えると、4号機の燃料プールで、
部分的臨界が起こったと推測する。
ただその臨界の条件は、ウランの量と距離などによるので、いったん臨界に
なってすぐに臨界ではなくなるということもある。

したがって、臨界になったり、臨界でなくなったり、その繰り返しかもしれない。
それが4号炉における使用済み燃料プールでの蒸気の発生の可能性
である。


いくつかの質問の中に再臨界についてのものがあった。
原子炉の中で炉心が溶融して落ちると、場合によっては、再臨界が起こると
私はかつて説明した。

それに対してある専門家から、可能性としては凄く低いと言われた。

なぜかというと、溶融物が固まりとなって落ちたのでは臨界しない。
中に水が入る必要がある。

そうすると適当な量があって、ある形状になって、水も適当な量がある。
つまり臨界になる条件は厳しいので、なかなかそうはならないのではないかと
ある専門家は説明している。

私もそう思うが、再臨界は起こらないと言う事ではなくて、起こりにくい、
だから滅多に起こらないだろうということだ。

ただどうしても付け加えなければいけないのは、事故はレアケースの
かたまりであり、まったく起こらないとはその専門家もいっていない。
絶対ないとは言わなかった。

そのためしメルトダウンした場合に、再臨界よりも、蒸気爆発になる方が
可能性がある。

圧力容器の下には、制御棒などがあり、そこを通してメルトすると、溶融物
が下に落ちて、格納容器の床に落ちる。

そこにはコンクリートがあり、それと溶融物は反応する。コアコンクリート
反応という。非常に大量の水素と、炭酸ガスがでる。酸素がなければ
爆発はしないが、圧力が急激にあがって、格納容器が破損する
可能性がある。


プラントの中は圧力情報はあるが、温度情報はない。
温度が分からない。

ものが壊れるには圧力と温度の両方が関係する。
格納容器は138度の温度で設計されている。この中の温度が高くなり200度
などになると、ボルトで留めたところなどから漏れる可能性が出てくる。

金属でできているところは温度には強いが、電気配線の貫通部は、樹脂材料が
充填されていて、熱に弱い。
トップヘッドのフランジもガスケット=ゴムが入っている。
そこはシリコンゴムが間に入って、抑え込んでシールしている。
その材料が200度から300度で破損する。

ベントして圧力を逃がすといっているが、温度によっても破損する可能性が高い。
これも破損モードとしては確率が高い。

以上

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地震続報( 30 )放射能漏れに対する個人対策の指針

2011年03月22日 13時58分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110322 13:55)

放射能から身を守るために、どのような数値を避難の基準とするといいのか、
とても分かりやすい情報が出されています。

あらかじめ要約すると以下のごとしです。

(1) 1000マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(2) 100マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
300マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
30マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(普通の人で10マイクロSv/時、
妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して良い
(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内
(左右60度の扇形)の 人は緊急に屋内に退避し、100km以上でも
近くの放射能値情報に随時注意する
= 赤信号。
(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の上昇が見られたら、
風下100km以内(左右60度の扇形)の人はなるべく屋内に退避し、
100km以上でも近くの放射能値に随時注意する
= 黄信号。

以下、転送自由です。

**************************

放射能漏れに対する個人対策
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html

=== 転載自由(source code をそのままコピーして下さい) ===

放射能に関して、 放射線医学総合研究所(事故対策本部に加わった組織)を
始めとして、多くのメディアや研究者が 『現在の放射能の値は安全なレベルである』
という談話を発表していますが、残念ながら、どの組織も 『どこまで放射線レベルが
上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』を発表していません。

これでは近隣地域の人々の不安を払拭する事は出来ないと思います。行動を
必要とする危険値や警戒値を語らずに『安全です』と言ってそれは情報とは
全く言えないからです。これは我々が取り扱っている宇宙飛翔体での管理に
ついても言える事です(その為に宇宙天気予報があります)。

そこで、少々荒っぽいですが、行動指針を概算してみました。科学的に厳密な
予測は気象シミュレーションや拡散条件など多分野に渡る計算を必要として、
短い時間にはとても出来ないので、多少の間違いもあるかも知れませんが、
緊急時ですので概算をここに公表します(3月21日現在)。

先ず第一に、刻々と変化する放射能に対してどう判断するかです。色々な
研究所が上限値を出していますが、これが総量である事が問題です。というのも
測定値は1時間当たりの値だからです。とりあえず、総量100ミリSv
(Svはシーベルト)という数字で考えてみます。この数字は原子力関係者が
緊急時に受けて良いとされる政府基準・東電基準で(平時50ミリSvの倍、
ちなみに国際基準は500ミリSvなので政府は今回に限り250ミリSvに引き上げた)、
更に妊婦を除く大人が受けても概ね大丈夫と科学的に示されている値
でもあります( R.L. Brent の2009年のレビュー論文を参照)
居住地付近での悪化に気がついてから脱出まで半日かかるとして、かつ
状況が刻々と悪くなる事を考慮すれば、危険値は100時間で割るのが
妥当ですから、

(1) 居住地近くで1000マイクロSv/時(=1ミリSv/時)に達したら、
緊急脱出しなければならない = 赤信号。

という事になります。しかしながら、この値になって行動すると云う事はパニックを
意味します。現在の値の変動幅を見るに、一桁の余裕を見れば数日の余裕が
あると考えられます。逆に言えば、1割以下の量を超えた段階で行動を
開始するのが妥当で、

(2) 居住地近くで100マイクロSv/時(=0.1ミリSv/時)に達したら、
脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。
という事になります。

第2に、妊婦に関する特別な考慮です。事故対策本部の放射線医学総合
研究所に100ミリSv(総量)で大丈夫とありますが、これは正確ではありません。
上にあげた R.L. Brent のレビュー論文(2009年)によると、100ミリSv(総量)
というのは、1%以上の人が影響を受ける値です。つまり、安全値というより、
むしろ、これを越えると有為な差があるという危険値です。

論文の Table 5 や Figure 4 論文を見ると、おおむね安全と言えるのは
5ミりSv(総量)以下で、そこから100ミリSv(総量)まではグレイゾーンです。
現に、大人の場合、同様に『大人に明らかに影響がある』と言われる
1000ミリSv(総量)に対して、原子力従事者の緊急時安全基準は1割の
100ミリSv(総量)です。普通の人が毎年放射能を受ける訳でない事を
考えても、3割(30ミリSv)以下でおおむね安全と考えるのが妥当で、
その事は上記論文の Figure 4 からも見て取れます。ということは、

(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、居住地
近くで300マイクロSv/時(=0.3ミリSv/時)に達したら、緊急脱出
しなければならない = 赤信号。


(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、居住地
近くで30マイクロSv/時(=0.03ミリSv/時)に達したら、脱出の準備を
始めた方が良い = 黄信号。

となります。

逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(居住地近くでの値が、普通の人で
10マイクロSv/時、妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して
良い
事になります。ちなみに、放射能の影響は、細胞分裂の活発な
若い人ほど深刻だと思われている(注:未確認ですので情報を持っている人は
お教え下さい)ので、乳幼児や子供は妊婦と大人の中間になります
(上記論文の表4参照)。

第3に、距離との関係です。チェルノブイリで問題になったのは事故現場からの
直接放射でなく、そこで発生した高濃度の放射性噴煙が移動しながら
出す放射線でした。
福島原発も、レベルは違うものの放射性ダストを外に出しています。というのも、
燃料棒が壊れて、しかも開放弁を通して外気に直接触れているからです。
水を被っていない燃料棒は、焚き火での焼けぼっくいと同じように、
マイクロスケールでの崩壊(爆発)を繰り返して、それが放射能の濃淡を
作ります。この手のマイクロスケールの高濃度ダスト放出は自然界では
普通に起きている事で、それ故に科学者でなくても多くの人が
『そんなものだ』と感じているでしょう。このリスク計算がありません。

地表と違って上空100mを越えると風は安定的にかなりの速さで吹いています。
その場合、だいたい10m/秒という見積もりが良く(10km上空は
50~100m/秒です)、この速度だと、高濃度の放射性ダストは(サイズにも
よりけりだけど)数時間は拡散せずに放射能を出し続けます。一部の
人が言っているように距離の逆自乗で減衰する事はありません。


10m/秒とは時速約40kmに相当します。そのようなダストは原発現場でも
高濃度の放射能を出しますから、現場で非常に高い値を記録したら、その
風下の人間は緊急に室内に退避しなければなりません。その警報が
届くまでに2時間見積もる必要があり、そこから80km圏という数字が
簡単に出て来ます。ちなみに、こういう警報は日本語で出されますから、
日本人(現状では1時間以内で対応すると思われる)と外国人とでは避難の
速さが違い、その為に日米での退避半径が違うと考えられます(もちろん、
避難範囲を広げると国が後日保証しなければならない人が多くなる、という
事情もあるかも知れませんが、そういう政治的・裁判手管的考察はここでは
しません)。

ここで風向きをどう知るかが問題になります。要領は花粉予想や煤煙予想と
同じなので、気象庁で出来るはずですが、残念ながらそこまで至って
いません。ですが、海外の研究所がこの予報を出しています。日本全体は
ノルーウェー気象研究所(http://transport.nilu.no/products/fukushima
が出していて、例えば地表のどこにダストが届くかは これ です。
この予報は ノルーウェー気象研究所(http://www.yr.no/)の風向き予報
(例えば東京だと これ)に基づいています。

もちろん、予報と実際の値は得てして違います。ですから、実際の地上での
風向き(アメダスなどの観測値)も見る必要があります。この場合、地表から
上空1km程度まで、風向きがゆっくりと時計回りに変わる事(エクマン螺旋と
いいます)を考慮して、誤差を最大120度と見積もると、地表風向きに対して
(上から見て)時計回りに90度、反時計回りに30度の範囲が風下に当たります。

さて、では福島原発での放射能の値がどれだけ上がったら室内退避を
すべきでしょうか? 急速に運ばれた放射性ダストが、例えば朝凪夕凪になって
居住圏にジグザグしながら浮遊するとして、2時間を想定すれば50ミリSv/時が
危険値です。つまり

(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内
(時計回り90度、反時計回り30度の扇形)の人は緊急に屋内に退避し、
100km以上でも近くの放射能値情報に随時注意する = 赤信号。



では警戒値はどの程度になるでしょうか? この場合、原発での測定が一ヶ所で
あることを考慮しなければなりません。局所的な高放射能雲なので、一桁の誤差を
見積もる必要があります。従って、緊急避難値の1割の5ミリSv/時という事に
なりますが、この位の値になると、原発正門(測定値のある所)では、
事故現場からの直接放射の量が大きくて、浮遊性ダスト起源と区別がつきません。
こういう時は変動幅を使うのが常套です。つまり

(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の変動が見られたら、
風下100km以内(時計回り90度、反時計回り30度の扇形)の人は
なるべく屋内に退避し、100km以上でも近くの放射能値に随時
注意する = 黄信号。
となります。

最期に、気象庁と原子力保安院への提言です。原発サイトの回りでの
放射性ダストの分布を推定する為に
(a) 原発を取り巻くような形で500m程度離れた地点での放射能モニターを
至急設置して欲しい。
(b) ダストと風の垂直分布と知る為に、気象ゾンデに放射能モニターを
積んで、毎日数回、原発サイトの近くで打ちあげて欲しい。

これらの情報があるだけで、放射性ダストの行き先の予測が非常に
楽になります。

written 2011-3-18
revised 3-19: (1)と(2)を追加
revised 3-21: (5)と(6)とラストを追加、放射性ダストの流れの予報サイトを追加、
(1)~(4)に『居住地近くで』を追加、安全基準値に関するミスを修正。
山内正敏
スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)
(日本の研究者が研究室と学会(被災地の研究室)の復旧で手一杯の
ようですので、海外の私が敢えて発信する事にしました)
===========================================
単位について(Gy と Sv)

Sv = Q x Gy

で大抵は Q=1 です。但し、ソースの近く(原子炉の近くとか、放射性ダスト
の近く)では中性子の事があり、その場合はQ=10です。

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地震続報( 29 )放射能汚染と、人を守ろうとする心とが広がっている

2011年03月22日 02時46分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110322 02:40)

みなさま。
今回の文章はこみだしをつけて出します。


IAEAが危機の継続を宣言

前回のメールで、僕は、現状はまだまだ極めて危険だと見るべきだという
観点を打ちだしました。そして、どこかで僕と似たような見解を持っている
方はいないかと探していたら、見つかりました。国際原子力機関(IAEA)
です!記事は同機関の緊急理事会で、「天野(ゆきや)之弥事務局長は冒頭、
「危機はまだ去っていない。状況は依然、非常に深刻だ」と述べた。」ことを
紹介しています。

ただし記事の中で分からない点があります。
「(1986年に発生した旧ソ連)チェルノブイリ原発事故を踏まえた現行の
国際緊急対応体制は、現状に即していない」とし、見直しの必要性を強調した。
という点です。

まず国際緊急対応体制が、「チェルノブイリ原発事故を踏まえた」ものとして
組まれてきていること、つまり少なくともこれまで、国際的には、チェルノブイリ
原発事故を想定した体制が組まれてきたことが、ここから読み取れます。

その上で、それが現状に即していないとなっているわけですが、どう即して
いないのかが分かりません。この記事はつい先ほど出てきたものなので、
おそらく続いて、もっと詳しい内容が出るのではないかと思います。
この点は、そのときに再度紹介したいと思います。


放射性ヨウ素の基準値、乳児には厳格化
・・・福島市などで100ベクレル以上が


次に、避難を急いだ方がいいという提言を補強する記事を見つけました。
政府が屋内退避を勧告した原発から半径30キロよりも外側の広範な地域で、
水道水から、100ベクレル以上の放射性ヨウ素が検出されたことです。
またこれに対して、厚生省は、規制値は300ベクレル以上でありながら、
より影響を受けやすい乳児に関しては、規制を100ベクレル以上とし、
これらの地域では水道水を乳児に飲ませないようにという指示を出しています。

具体的な地域は、福島県飯舘村、川俣町、福島市の3か所ですが、それぞれの
役場から原発までの距離は、約35キロ、45キロ、58キロです。
つまり58キロの地点で、乳児が水道水を飲むと危険性があるという認識が
厚労省から出されたわけです。300ベクレルという規制値から乳児の
規制値を下げたのは賢明だと思います。ただし100ベクレルでいいのかどうか
僕には分かりません。

ただしこの記事もまた、せっかく厚労省が乳児の危険性を考慮して、
規制を厳しくする判断をしたことが明らかになっていながら、
それで、避難すべき地域は現行のままでいいのかといった大事な点に
触れられていません。この点、残念ですが、「ただちに健康に害が
あるわけではない」などとは、付け加えられない内容が出てきたことは
注目に値します。

しかもこうした地域は急速に拡大してきています。これらの点からも、
だんだんに同地域は、水を飲むのも危険になってきていることが見えて
きます。すでに60キロ近く離れた福島市で、こうした危険性が生まれている
ことがここに表れています。

また厚生省の踏み切った判断により、ヨウ素に関して出されている水道水の
情報について、乳児については、100が基準にならなければならないことが
分かったので、牛乳や野菜なども、当然、乳児のための厳しい規制値を出す
必要があることもここから分かります。それぞれに対して、乳児の場合の
規制値が出される必要がありますが、少なくともそれまで、水道水については、
300から100に厳格化されたことを参考に、情報を読み解いていく必要が
あります。

いずれにせよこれらから、福島市もまた、乳児、妊婦、子どもをどんどん
疎開させた方がよさそうです。水道水すら飲めないのでは、生活的にも
たちまちピンチになってしまいます。


福島市が県外からのボランティアの安全を優先

ここまで書いていたら、胸が痛くなる記事も入ってきました。福島市が
放射能汚染の広がりを考慮し、独自に、県外から申し入れのあった
ボランティアの受け入れを断念したというのです。

これにはいろいろな意味があります。第一に、福島市は自らの
苦しみよりも、県外から入ってこようとする人々の安全を優先している
ということです。政府やマスコミが行わない、原発から30キロ以上でも
危険で立ち入らない方がいいという判断をみずからくだし、実行しています。
自分たちを犠牲にしてです。

こういう人たちを助けなければならない。そのためには政府が動かなくては
いけない。避難所にいる8万余をはじめ、この地域の人々を、政府が自衛隊や
警察などを使って無事に避難できるようにするべきです。

福島市の人々は、もはやそこが放射能で危険なことを察知している。
だから外から入ってくる人を守らねばならないと考えています。
その福島市の人たちが飲む水の、ヨウ素濃度が濃くなってきています。
自力では逃げられない人たちを、政府は救出する責務があります。
このことをマスコミが書いて欲しい。少なくとも、これでもまだ半径30キロ
の外は安全だと言うのかと、追及して欲しいです。

福島市・川俣町・飯館村などの人々の避難、いやもっと非常に広い範囲の
人々の避難が、早急に進むことを祈るばかりです。


住民の被曝予測を国が隠している

さらに国が、住民の被曝予測を公開していないという批判が研究者たち
から出ました。こうした批判が出てくるのもいい流れだと思います。どんどん
政府に情報開示を迫り、今いるところにどれだけの危険性が迫ってきて
いるのかがもっと見えるようにすることが大事です。研究者たちが、少なくとも
重要なデータを国が握ったままにしていることを明らかにしてくれたこと
だけでもありがたい気がしました。


以下、それぞれの記事を貼り付けます。
***************************

福島原発は非常に深刻、独自に調査…IAEA

 【ウィーン=佐藤昌宏】
国際原子力機関(IAEA)は21日、ウィーンの本部で、
福島第一原発の事故に関する緊急理事会を開いた。

 天野之弥(ゆきや)事務局長は冒頭、「危機はまだ去っていない。
状況は依然、非常に深刻だ」と述べた。
その上で、「(1986年に発生した旧ソ連)チェルノブイリ原発事故を踏まえた
現行の国際緊急対応体制は、現状に即していない」とし、見直しの必要性を強調した。

 また、日本政府からIAEAへの情報提供不足が指摘された点を踏まえ、
菅首相がすべての情報の迅速な提供を確約したことや、
IAEAも独自に日本国内で放射性物質の測定調査を開始したことなどを説明した。

(2011年3月21日23時57分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110321-OYT1T00832.htm?from=main3


放射性ヨウ素の水道水基準、乳児には厳格化

 厚生労働省は21日、乳児について、100ベクレルを超える
放射性ヨウ素が検出された水道水の飲用を控えるように都道府県に通知を出した。


 水道水の食品衛生法の暫定規制値は、1キロ・グラム当たり300ベクレルで、
厚労省では、この値を超えた水道水について飲用しないように求めているが、
乳児については、放射線の影響を受けやすいことなどを考慮し基準を厳格にした。

 通知では、粉ミルクを水道水で溶かして乳児に与える場合などに、
ヨウ素が100ベクレルを超える水道水を使わないように求めている。
厚労省によると、地震発生後、
水道水から100ベクレル以上の放射性ヨウ素が検出されたのは、
福島県飯舘村、川俣町、福島市の3か所。

(2011年3月21日23時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00564.htm


安全確保ムリ…福島県外のボランティア募集断念

 東日本巨大地震の発生から10日が経過し、各地でボランティアが活躍する中、
福島県災害ボランティアセンターでは、「原発の事故が起き、安全が確保できない」として、
県外からのボランティア受け入れを見送らざるを得ない事態となっている。


 福島県は、地震が発生した翌日の12日に県災害ボランティアセンターを設置し、
避難所や高齢者宅などで活動するボランティア募集を開始した。20日までに、
県内外からの応募は262人に上り、
このうち、県外からは在日ブラジル人留学生なども含め162人が応募した。

 だが、同センター設置日の12日昼に福島第一原発1号機が爆発。
続いて、3号機、2号機、4号機と次々と事故が置き、放射性物質が漏出した。
同センターには初日から県外からの応募が相次いだが、
ボランティアの安全を考えて募集を断念した。

 県内の避難所で生活する被災者は21日現在、8万2786人。
高齢者も多く、介護経験のあるボランティアの確保は喫緊の課題だ。
避難生活が長期化する中、今後は津波で身内をなくした被災者らの
精神的なケアも必要となってくる。

同センター職員の関靖男さん(50)は「原発が安全にならないと、
県外からボランティアを受け入れるわけにはいかない。
猫の手も借りたいくらい人手が欲しいが、しばらく県民だけで頑張るしかない」と話し、
「ガソリン不足や放射能漏れが収まれば県外からの受け入れを始めたいが、めどが立たない」
とため息をついた 。

(2011年3月21日23時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00650.htm


国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判

 住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、
研究者らから批判が出ている。
文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、
国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明している。

 予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)と呼ばれる。
原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、
放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。
日本全域を250メートル四方に区切り、
それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。

 同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、
東京電力・福島第一原発について計算を始めた。
放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。
1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。

 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、
避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」
と説明している。

 一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は
「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。
国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、
対応を決めるのが原則ではないか」と話している。

 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、
米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」
と注釈つきで公表。
米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。
また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画を
ホ ームページなどで公開している。(木村俊介)

(2011年3月21日23時45分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0321/OSK201103210061.html

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