明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

地震続報( 25 )フランスの反原発団体( CRIIRAD )の声明

2011年03月19日 23時57分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110318 23:56)

再びNさんのメールを転送します。


********************

Nです。

以下、食物汚染に関しても考える手がかりになるかと思います。
文中の単位のBq/?=Bq/m3(1立方メートル当たりベクレル)です。
原文はこちら(参照データへのリンクがはってあります)。
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon/11-03-17-CPtokyo.pdf

***
http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-March/008217.html
フランスの反原発団体(CRIIRAD)の声明を堀浜直美さんが翻訳して送ってくれました。
海外の方が情報が正確だとしたら、日本の報道統制は深刻です。

===============

CRIIRAD プレスリリース2011.3.17 13時(日本時間21時)

大気中の放射能について:計測データは危惧すべき状況を示している!
我々の元に集まっている毎時の計測データから読み取れる状況を毎夕報告したい。

リアルタイムで汚染状況を把握する必要がある人間に対して
どのくらいの危険があるのかはっきりしないまま、
福島第1原子力発電所からすでに5日にわたって放射能が飛散している。
環境に放出される放射性物質の総量については誰にもわからないし、
空気中の放射能総量の地域毎計測データも公表されていない。

グレイとシーベルトで表わされる線量測定データだけが一部の地域のみで入手可能である。
しかし最も汚染が心配される福島県のデータが少ない(改善されつつあるが)。
それにこれらのデータは外部被爆にしか関係せず、実際のリスクを示せるものではまったくない。

事故の際にはリアルタイムで大気汚染の広がりを把握することが欠かせない。

①ガスまたはアエロゾルが呼吸によって生体内へ取り込まれるリスク
 
②気象条件によって変化する地表に降り注ぐ放射性物質の量
およびそれに伴う食物連鎖の汚染レベルを明らかにする必要があるからである。

放射性汚染物質のカクテルが東京の空に届いている
CRIIRADのラボラトリーは、東京の大気を採取し分析しているTokyo
Metropolitan Industrial Technology Institute の世田谷区における
3月15日朝0時から16日18時まで(日本時間)42時間の計測データを入手した。
公開された放射性物質のデータはヨウ素131・132、セシウム134・137で、
42時間の平均値は次のとおりである。
   ヨウ素 131  14.9 Bq/?
   ヨウ素 132  14.5 Bq/?
   セシウム134   3.4 Bq/?
   セシウム137   3.2 Bq/?     
各サイトで計測表を参照できる 
1.CRIIRAD 
2. Tokyo Metropolitan Industrial Technology Institute


平常の大気で検出が予想されるのはセシウム137のみである。
軍事的核実験およびチェルノブイリ事故による放射性物質の残留は幸いにして非常に微量で、
μBq/?の単位でしかない(1Bq/?=10のマイナス6乗)。
であるから平均値が3.4 Bq/?というのは100万倍に上昇した数値である。

注意することがもう一つ。
大気はこれ以外の放射性物質も含んでいる。
これにはクリプトン85、キセノン133といった希ガス、またトリチウムやテルル132、
そしてルテニウムとテルルとストロンチウムのアイソトープがある。
知る必要があるのはそれだけではない、プルトニウム238,239, 240や、
アメリシウム241といった放射性 毒性が非常に高い超ウラン元素が
含まれていないかどうかも重要である。

時間経過と共にこれらの計測値の変化を見て行くと3月15日10時から12の間にピークを記録した。
以下は11時に採取した標本についてである。
   ヨウ素 131  241 Bq/?
   ヨウ素 132  281 Bq/?
   セシウム134   64 Bq/?
   セシウム137   60 Bq/? (事故前のレベルの1000万倍以上) 
CRIIRADによるグラフを参照のこと(3月17日更新)

ヨウ素131の15 Bq/?という値から
我々は東京に住む子供が48時間のスパンで甲状腺に受ける線量を計算した。
結果は1ミリシーベルト以下つまり世界保健機構が定めた
安定ヨウ素剤を投与しなくてはならない水準以下ではあった

しかしこの計算に用いられた数字は大気中の実際の放射能の強さを反映していない可能性が大きい。
標本を採取したのは粒子をキャッチするフィルターである。
正確な採取には希ガス類や特に分子状態の物質や
有機ヨウ素も捕える活性カーボンフィルターを使う必要がある。
有機ヨウ素はヨウ素の大きな部分を占めるからである。
この点は早急に知る必要がある。
福島で何が起きているか

東京はまず一番に汚染された大気の通過を心配しなければならない地域ではない。
上記の分析しか手に入らないという状況は、分析に大きな空白地帯があることを示している。
福島第1発電所の直近の住民の被爆はどの程度であったろうか
という疑惑がたちまち生ずる(東京は230km南に位置する)。
福島県の住民の被爆はどの程度 だったろう(避難は20km以内の住民だけでしかない。)

また放射線量が100倍から1000倍に増えていた
女川地区はどうだったろうか(東京の増加は16倍にすぎない)。
また東京よりやや高めの放射線量がより長い時間、
環境に存在した茨城県の住民についてはどうだったのだろう?

CRIIRADが願うのは住民の被爆の程度が安心できるレベルだったことを確認することである。
もしも当局がリスクが無視できる程度だったと言うのなら、数字を証拠として出してほしい。

国際原子力機関が公表した情報に基づけば、
3月16日(水)までに安定ヨウ素剤を住民に投与する指示は出されていない。
同機関によると3月14日(火)までに日本政府当局は23万錠の安定ヨウ素剤を
避難所に配布しているが投与指示は出していない。
しかるに避難区域は昨日の段階でいまだに福島第1発電所の半径20km以内、
退避 区域は30km以内でしかない。
問題は退避が一時的な保護にしかならないことである。
住宅は気密空間ではない。何時間かするうちに内部の空気は全部入れ替わらないではいない。
ガムテープで目張りをして閉じこもっても、
何日も続く汚染から保護してくれる空間にはなりようがない。
もっと広範囲の住民を避難させるためのロジスティックが
国際的援助によって組織される必要がある。
この組織がもっと早くに立ちあがるべきであった。
とにかく安定ヨウ素剤は早急に服用すれば甲状腺への被爆を減らすのに大きな効果を発揮する、
つまり将来の発がんや甲状腺の病気の発現を予防するのに役立つ!のだから
早急に投与すべきである。

とはいえ安定ヨウ素剤は万能ではない。外部被爆を防ぐものではないし、
他の放射性物質からの防御の役には立たない。

地上への降下物と食物の汚染

空中にある放射性物質は次第に地表に降下して植物を汚染する。
乾いた降下物は雨によって固着する。
雨は汚染した大気を洗い流して放射性粒子(アエロゾル)や
水溶性ガス(特にヨウ素)を地上に降らせる。

早急に地表の放射能分布図(Bq/?で)を作成する必要がある。
これによってリスクゾーンを突き止め、汚染作物を市場に出すことを避け、
またその他の予防策も講じることができる(家畜に汚染されていない餌を与えるなど)。

食物連鎖の汚染を避けることについてだが、
この5日間多量の放射性物質が海に降り注いだはずである。
近海および海流の影響の及ぶ範囲の魚や海産物への汚染を確認しなくてはならない。

直接被害をこうむった地域について汚染レベルを把握しただけでは即、住民の保護にはならない。
しかし把握しないでいれば事態は悪化するばかりである。
住民の健康を守るためには曖昧にしておいてはならないのだ。
チェルノブイリ事故が示していることである。

ここでチェルノブイリ事故当時のフランスの汚染値と今回を比較下に示す数字は、
チェルノブイリ4号炉の爆発の降下物による
大きな汚染を受けた地域の一つであるフランス南西部における
大気の汚染を測定した公式数値である。
1986年5月1日から3日までの放射能の平均値を示している。

  セシウム137  0.3~0.9 Bq/?  東京の2日間の平均3.2 Bq/?と比較してほしい。
  ヨウ素 131  0.6~4.2 Bq/?  これも東京の2日間の平均14.9 Bq/?と比較してほしい
CRIIRAD
471 avenuw Victor Hugo
26000 Valence
E-mail contact at criirad.org

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地震情報( 24 )放射能汚染の値について

2011年03月19日 21時47分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110318 23:45)

友人のNさんが、先ほどの食料品の放射能汚染についてのメールにリメールを
くれました。非常に分かりやすかったので、そのままみなさんに送ります。
このあと、同じく、りメールの転送をいくつか続けます。


***************************

Nです。
書きかけの途中のものですが、取り急ぎ守田さんのメールへの返信とします。
野菜と牛乳では基準値が違うようです。
末尾リンクのデータにそれぞれの基準値が載っています。
危険評価についてはわかりません。

ニュースでご存知だと思いますが、
福島県内(原発から30KM)で生産された牛乳から
ヨウ素131が900~1500BQ(ベクレル)/KG検出され、
これは基準300BQ/KGの3~5倍です。
茨城のほうれん草も基準を超えたとか。以下牛乳の数値についての私見と懸念です。

放射能の経路ですが、食べ物か水か空気です。
日本の酪農家で牛を放牧しているところは少なく、あっても今の時期はやってないと思います。
なので食べ物は、畜舎内の濃厚飼料(袋入りのとうもろこしなど)か
サイレージ(ビニルパックした発酵刈草)又は干草(圧縮梱包)でしょう。
あるいは飲料水(水道水)か 直接の呼吸による吸引だと思います。
ヨウ素はやっぱり呼吸でしょうか(専門的によくわかりませんが)。
こまかい経路はともかく、畜舎内にふつうにおいてある飼料を食べ、水道水をのみ、
ふつうに呼吸をしていた牛の乳が、このように汚染されているということが重要です。

何がいいたいかというと、47KM地点ですでにこの結果だということです。
避難範囲は30KMです。
これではこれらの地域に住んでいる妊婦さんや乳幼児を抱えた母親はどうなるのか、
ということです。
ヨウ素131の一般基準は300BQ/KGですが、
乳幼児向けの乳の基準は一段厳しくて100BQ/KGだそうです。
つまり乳幼児 にとっての安全という観点からすると、
この牛乳はすでに9~15倍の汚染レベルになっているわけです。

ところで一般の乳牛は体重600KG以上で一日に30KG(ℓ)くらい乳を出します。
人間にすれば体重50KGのお母さんが毎日2.5KGの母乳を出すようなものです。
ぼくはよく知りませんが、人間はこんなには出ないでしょう? 
体重あたりの乳量が相対的に少ないということは、
逆にいえば人間の方が牛よりも外界由来の成分は濃縮されている可能性があるわけです。
つまり現状、福島の牛乳は乳幼児にとって基準値の9~15倍の汚染レベルでも、
母乳はそれよりも濃い汚染になっている可能性があるのではないか、ということです。

以上はぼくの推論です。
そしてこの状態が何日続いて、どの程度の食物摂取によって、どの程度の内部被爆になり、
妊婦や母親やその子どもにどの程度の影響を与えるのかという評価はわかりません。
何か資料を見つけたらまたお知らせします。
また飲食物以外に、とくに幼児や子どもが呼吸による内部被爆にさらされていることが心配です。


以下のページに今日の検査結果データが出ています。
http://gigazine.net/news/20110319_spinach_milk/

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地震続報( 23 )福島県と茨城県の食品から「死の灰」が検出される

2011年03月19日 21時41分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110318 21:41)

さきほど流した情報の関連です。(一緒に出せばよかったのですが、あとに
なってみつけました)福島県で採れた牛乳と、茨城県で採れた野菜から、
「死の灰」と呼ばれるヨウ素などが検出され出しています。
ちなみに牛乳が採れたのは、原発から47キロ離れた農家です。

「食品衛生法の暫定規制値を超える」値だそうです。
枝野官房長官は、再び、「直ちに健康に影響する数値ではない」と
述べています。では直ちにとはどれぐらいの期間なのか、直ちに
でなければどうなのか。記者たちにぜひ突っ込んで欲しいものです。

そもそも「規制値」とは何なのでしょうか。問題があるために、
「規制」があるのではないのでしょうか。こうした情報を読むときには、
この点から視点をずらさないことです。

また僕には理解できない文面があります。

「その結果、福島第一原発から約47キロ離れた酪農家が16~18日に
生産した加工前の牛乳から、最高で1510ベクレルと、規制値の
約5倍にあたる放射性ヨウ素が検出された。

 茨城県では高萩市、日立市、常陸太田市、大子町、東海村、
ひたちなか市の農家のホウレンソウから最大で規制値の7・5倍の
1万5020ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。高萩市の
ホウレンソウからは、規制値を超える放射性セシウムも
検出されている」

とある点です。
上の段では、最高で1510ベクレルが規制値の5倍。下の段では
規制値の7・5倍の1万5020ベクレルとなっています。
上がただしければ、規制値は302ベクレル。その7・5倍は
2265ベクレルです。

あるいは数値を書き間違えているのでしょうか。
またベクレルが放射能の力を測る値であることは分かるのですが、
それはどのような単位で、どのように規制値があり、どれぐらいだと
危険性があるのでしょうか。

これらについて、どなたか分かる方は情報を出していただけると
助かります。これらを整理して出していくことが今とても大事だと思います。


***********************

食品から放射性物質、県が出荷自粛求める

読売新聞 3月19日(土)16時16分配信

 政府は19日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて実施した食品のサンプル調査で、
福島県川俣町の酪農家が提出した牛乳と、茨城県内の6市町村のホウレンソウから、
食品衛生法の暫定規制値を超える放射性ヨウ素などの放射性物質が検出されたと発表した。

 政府は原発事故の影響とみて調査し、一定区域内の産品の出荷制限などを検討する。
枝野官房長官は記者会見で「直ちに健康に影響する数値ではない。冷静な対応をお願いしたい」
と述べた。

 食品衛生法に食品の放射能汚染を規制する基準がないため、
厚生労働省は政府の原子力安全委員会が示した「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定的に採用。
これを受けて、福島県と茨城県がそれぞれサンプル調査を実施した。

 その結果、福島第一原発から約47キロ離れた酪農家が
16~18日に生産した加工前の牛乳から、最高で1510ベクレルと、
規制値の約5倍にあたる放射性ヨウ素が検出された。

 茨城県では高萩市、日立市、常陸太田市、大子町、東海村、ひたちなか市の農家の
ホウレンソウから最大で規制値の7・5倍の1万5020ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。
高萩市のホウレンソウからは、規制値を超える放射性セシウムも検出されている。

 これを受けて同県の橋本昌知事は19日、
記者会見で、調査対象が露地物だったことを明らかにし、
地元農協などに露地栽培のホウレンソウの出荷自粛を求めたことを明らかにした。
福島県も、放射性ヨウ素が検出された町内の酪農家全員に、牛乳の出荷自粛を求めた。

 一方、東京電力は同日夜の記者会見で、「心よりおわび申し上げます」と陳謝した上で、
「損害賠償などの申し出があれば、国とも相談の上、しっかり準備したい」
と賠償を検討していることを明らかにした。

最終更新:3月19日(土)21時6分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110319-00000556-yom-soci



付記 20110329 10:20

この文章のタイトルに僕は「死の灰」という言葉を使いましたが、
科学者の友人から、これでは放射性物質一般が「死の灰」のように
見える。放射線は医療などでも使っているので、良くないのではという
指摘をいただきました。

その後、友人と「死の灰」の定義についても論議しましたが、社会的にも
定まったものとは言えないように感じました。
そのため、僕としては、ここで使ったことは間違いとは言えないし、他の人が
使うことは否定しないので、訂正はしないけれども、放射線が人間にプラスの
要素をもたらしている面もおさえ、これ以降、「死の灰」という言葉は
使わないことにしました。

またそうなると、「死の灰」という言葉にこもる「恐ろしさ」を、具体的な
内容で示さなければならず、また常に恐ろしさの度合いも書かなければ
ならなくなり、その分だけ、記事に正確さをもたらすことが
できるようになったと思っています。

今でも他の人が使用することに、何ら反対しませんが、僕としては
原発が大爆発してしまい、大量の放射性物質が空から降ってくるという場合を
のぞき、かぶったらすぐに死んでしまうようなイメージも持つこの言葉を、
当面は、使用せず、漏れ出している放射性物質の恐ろしさを具体的に
記述していくつもりです。
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地震続報( 22 )放射能がどんどん拡散中

2011年03月19日 21時20分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110319 21:20)

みなさま。放射能がどんどん拡散しています。
危険が拡大しています。避難の呼びかけの声を高めましょう。
また避難できない場合には、より本格的に、放射能から身を守る
対策を進めましょう。

これまで僕は、福島原発事故がより深刻なものになる可能性を明らかに
してきました。この点の認識は今も深まるばかりですが、たとえ最悪に
至らなくても、たった今、どんどん放射能の危険性が増していること、
だから避難を急ぐ必要があること、今後はこの点を中心に情報を出して
いきたいと思います。

今、みなさんにお知らせするのは、これまで30キロ圏外は大丈夫だと
言い続けてきた、保安院が、

「福島県浪江町や飯舘村などについて、「すぐには体に影響が出るわけ
ではないが、長く滞在すると影響が出る可能性がある」と述べた。」

という事実と、

「福島県内では19日午後から降雨が予想されていることから、「マスクや
長袖のシャツを着用し、雨にぬれないようにしてほしい」と注意を呼びかけた。
同院が放射線被曝(ひばく)を避けるため、一帯の住民に具体的な
注意点を呼びかけるのは初めてだ。」

という事実です。
どちらも下記の読売新聞記事からの抜粋です。
つまり明らかにトーンが変わっている。もはや30キロ圏内を超えて、
健康に害が出ることが明らかにされている。放射能への対策がはじめて
よびかけられている。

しかしこのように事実の重みに負けてか?保安院が情報を示しだしているのに、
これを読売新聞側がまったく価値判断できていない。あるいは価値判断から
明らかに逃げている。そのことがこの記事に反映されています。

すぐにも考えなくてはいけないのは、では避難指示を30キロ圏外に拡大しなくて
いいのかという点。もちろん、絶対にしなければいけません。
また記者として、新聞社として保安院に問わなければならないのは、
「長く滞在すると影響が出る可能性がある」という中身の根拠。
どのぐらいいると、どのぐらいの影響が出るかです。この記事にはこうした
新聞社が伝えるべき最も大切な情報が抜けている。
ただ保安院のいったことを伝達しているだけです。これでは保安院の広報です。


これに対して、今、こうした情報、とくにどう数値を読み解くのか、分析を
進めています。できるだけ早く、数値を出したいですが、今、はっきりと
言えるのは、保安院の言っていることが明らかに変わった。
危険性の度合いが明らかに一つ高く説明されているという事実です。

あの原発の状態から、高濃度の放射能がどんどん出ているので、ある意味
当たり前なのですが、高濃度とはそもそも何か。何がどう出ていると推論
できるか等々、できるだけ科学的なデータ、ないし洞察を出さないといけない。
続けてそこに挑みますが、とにかく避難の促進・拡大が必要です・・・。


*****************

「マスクや長袖着用を」雨予報で保安院が呼びかけ

 原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日の記者会見で、
福島第一原発の事故で自主避難が始まっている同原発30キロ圏外の
福島県浪江町や飯舘村などについて、「すぐには体に影響が出るわけ
ではないが、長く滞在すると影響が出る可能性がある」と述べた。

 18日に浪江町で毎時140マイクロ・シーベルト、飯舘村で同62マイクロ
・シーベルトという高い放射線が観測されたことを受けて発言した。
 屋内退避を要請している同原発から20~30キロ圏内についても、
「外出する際は、放射線になるべく接しないようにする必要がある。
徒歩での移動を避け、窓を閉じた車で移動してほしい」と述べた。また、
福島県内では19日午後から降雨が予想されていることから、「マスクや
長袖のシャツを着用し、雨にぬれないようにしてほしい」と注意を呼びかけた。
同院が放射線被曝(ひばく)を避けるため、一帯の住民に具体的な
注意点を呼びかけるのは初めてだ。

 一方、福島県外については、現在の放射線レベルが1年続いても
年間1・7ミリ・シーベルト程度であることを示し、「通常、自然に浴びる
放射線の量にあたる2・4ミリ・シーベルトに満たない」と安全性を強調した。

(読売新聞 3月19日(土)15時32分配信)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110319-OYT1T00425.htm
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地震続報( 21 )世界が日本をみている

2011年03月19日 08時00分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110319 08:00)

みなさま。
この国の中の多くの人々の悲しみ・苦しみと、それを何とか手をつなぎあって
越えようとする努力に、世界の人々が共感してくれています。
・・・感動しました。涙プーです、これ。

第二次世界大戦が終わった時、日本壊滅の報を聞いて、アジアの人々の多くが
喜んだといいます。広島・長崎への原爆投下に、事態がよく分からない中では
あっただろうけれど、歓声があがったとも聞いています。

しかし今、世界の人々がメッセージを届けようとしてくれています。
日本では「終戦の日」が、「光復節」である韓国でも、自分たちは、
「大災難より強い日本人」に学ばなければならないという社説が出ています。


僕は、これが戦後65年、ダメなところはたくさんあるけれど、それでもこの国の
中で培わせてきた平和のストックなのではないかと思います。
同時に、こういう文化がある社会なのだからこそ、もっと迅速に情報を出すべき
だとも思います。パニックに強い人々がたくさんいるのだから、事実が伝われば、
有効な避難が進むと僕は確信しています。

以下、ごらんください。ユーチューブのものは6分ぐらいです。勇気がわきます。


***************************

http://www.youtube.com/watch?v=IxUsgXCaVtc
  

韓国主要紙「中央日報」社説

【社説】大災難より強い日本人

全世界が日本の大地震に2度の衝撃を受けている。
まずマグニチュード9.0の超強力地震がもたらした残酷な被害だ。
巨大な津波で約2000人が死亡し、1万人以上が行方不明となった。

宮城県のある村は住民の半分が行方不明になったという。
原発も心配だ。
日本政府は福島原発周辺の住民21万人を疎開させ、海水で原子炉を冷却する非常措置に入った。
不純物の混入で原子炉を事実上廃棄する劇薬処方だ。
日本列島が連日地震、津波、原発危機に呻吟しているのだ。

もっと驚くのは不思議なほど冷静な日本人だ。
死の恐怖の中でも動揺しない。
避難要員に従って次々と被害現場を抜け出し、
小学生も教師の引率で列を乱さず安全な場所に移動した。
地下鉄・バスの運行が中断すると、
会社員は会社から支給された緊急救護物品をかついだまま静かに家に帰った。
みんな走ることもなく3~4時間ほど歩いた。
翌日はいつも通り会社に出勤した。
想像を超越した大災難と日本人の沈着な対応に全世界が衝撃を受けている。

私たちは大規模な自然災害が過ぎた後に発生する数多くの無秩序と混乱を目撃してきた。

昨年22万人が犠牲になったハイチ地震がその代表例だ。
「地震よりも無法天地の略奪と暴力がもっと怖い」という声が出てきたほどだ。
ハイチが開発途上国だからというわけではない。
05年にハリケーン「カトリーナ」が襲った米国のニューオーリンズでも暴力と腐敗が相次いだ。
こうした記憶のため、日本人の冷静さがよりいっそう引き立って見えるのかもしれない。
惨状を前に泣き叫ぶ日本人はほとんど見られない。
地震の混乱に紛れて強盗や殺人事件が起きたという話も聞こえてこない。
テレビの画面は、列に並んで救護食品を受け取ったり、売店の前で静かに待った後、
必要な分だけ購入していく風景ばかりだ。

ただ地震が頻発する日本の地理的特殊性だけでは、こうした現象をすべて説明することはできない。
徹底した耐震設計と速い警報システムが被害を減らしたのは事実だ。
徹底した事前教育と避難訓練も間違いなく力になっている。
一つの国の真面目も大事件を迎えてこそ表れる。 それがまさに国民性だ。

全身が凍りつくような恐怖の前で、日本人は落ち着いた国民性を遺憾なく発揮している。
1995年の阪神・淡路大地震当時、意外にも20%ほど円高が進んだ。
日本の国民性を誤って判断した海外投資家は痛い目にあった。
最近の円高も国際金融市場が災難の前で団結する独特の国民性を看破したためだ。

日本人は沈着な対処で阪神・淡路大地震を乗り越えて自ら立ち上がった。
今回の大地震の傷もいつか治癒されるものと信じる。
むしろ私たちは日本を見て、韓国社会の自画像を頭に浮かべる。
災難現場でテレビカメラが向けられれば、表情を変えて激しく泣き叫ぶことはなかったか。
天災地変のため飛行機が少し延着しただけで、一 斉に大声で文句を言うことはなかったか。
すべての責任を無条件に政府のせいにして大騒ぎしたことはなかったか。
隣国の痛みは考えず、韓国に生じる反射利益を計算したことはなかったか…。

私たちは自らに厳しく問う必要がある。
また災難と危機の際、韓国社会の節制できない思考と対応方式を見直す契機にしなければならない。
私たちは依然として日本から学ぶべきことが多く、先進国へと進む道のりも遠い。

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