みなさま。(20110323 23:20)
僕はこれまで、限定された友人に発信を行ってきましたが、これを
拡大しようと思っています。ただしあくまでも僕から顔の見える
相手に対して送る方法を貫きます。
以下、より多くの方にあてた文面です。
**********************
みなさま。
守田敏也です。
僕は地震当日の夜から、原発事故を中心に、僕なりの分析と解説を
送り続けてきました。基本的におこっている事象の基軸的なことを
おさえ、その推移を正しく分析できてきたと思っています。
とくに当初、予測した事件の深刻化、放射能汚染の広がりがどんどん
現実のものになってきていることは、大変残念なことなことですが、
基本的な推論が間違っていなかったことを実証していると思います。
もちろん、これは僕独自で行ってきたものではありません。原発に関する
専門的知識に関しては、原子力資料情報室のおりおりの発表を可能な
限りきちんと把握し、そこでの専門家の方々の指摘にあわせて、分析を
行うようにしてきました。
また科学者をはじめとした何人もの友人たちと、折に触れて専門的内容や
ものごとの発表の仕方、論じ方についてメールを交換し合い、たくさんの
情報もいただきながら推論を進めています。
友人たちの中には、新聞各社につとめている友人、出版社につとめている
友人、ジャーナリストとして活躍している友人もおり、そこからも情報を
得ています。
それらに踏まえて、ここより、このメールをお送りする対象をひろげ、
さらにたくさんの友人・知人のみなさんに情報をお届けしたいと思います。
今日、はじめて久しぶりのメールをお届けする方もいますが、ぜひ、
ご覧いただけたらと思います。(すでに行ってきた通信の継続であるため
番号がナンバーが大きいものから始まります)
まずお伝えしたいことですが、僕は基本的に今回の原発事故は、極めて
深刻であり、炉心が崩壊して、大量の放射能が漏れだすなどの危険性が
あると考えています。現在もその可能性はまったく消えていないと思っています。
にもかかわらず、政府もマスコミも、この重大な危機をきちんと伝えようとは
していません。それどこらか政府もマスコミも、自ら危機が打開されることを
祈るばかりに、その兆候ばかりを探し、そればかりを発表したり、報道する
ようになってしまっていると思えます。
とくにマスコミは、ときに政府や東電の発表の中に、危機を示唆する重大な
内容が織り込まれているにも関わらず、それを価値的に判断できず、
ただ政府の広報のような役目を果たしてしまっています。独自の価値判断
能力を喪失してしまっています。
中には意図的な情報隠しも明らかにありますが、それよりも、政府もマスコミも
自らが破局的な危機の可能性をみすえることができず、それから眼をそむけて、
明るい展望ばかりに目を向けてしまっているように思えます。
僕はむしろそのほうが危険性が増すと思っています。
繰り返しますが、危機はまだまったく去っていません。破局的な被害が出る
可能性も十分にあります。そのため、可能な方は、できるだけ遠くに避難した
方が無難です。情勢の基調はここにあります。
現在、消防士たちのみなさんなどが、決死の覚悟で行っている放水などの処置
により、少なくとも事態が破局的に進行することが食い止められ、私たちに
時間の猶予が与えられています。私たちには判断をする時間があります。
避難を準備する時間があります。避難できない場合の工夫を考える余裕も
あります。
ところが、危機が去ったと考えてしまうと、このように消防士をはじめとした
多くの方々が命を削ってつむぎだしてくれている時間というプレゼントを
無為に費やすことになってしまいます。その点で僕は現場の消防士のみなさんの
活躍を正しく活かすことをも考えて、このメールを書いています。
危機はさらに放射能汚染の拡大という形でも広がっています。さきほどつかんだ
ニュースから、実は東電が、原子炉格納容器の圧力を抜く動作を、初期の
段階でこっそりと行っていたこと、しかもそのときに高濃度の放射能が出ていた
ことが明らかになりました。
これらにより、汚染は原発をウォッチしている多くの人々の予想をも超えて
早く広がりだしています。この点から考えても、つまり最悪の事態に立ち至る
可能性を考えなくとも、放射能汚染は今後も確実に広がっていく方向にあり、
その点でも、より原発に近い方ほど、避難に踏み切った方が有利です。
またそれができない場合、したくない場合は、放射能汚染への身構えを
幾重にもしてください。特に水を確保してください。汚染濃度が高まっている
地域では、水道水が使えなくなる前に、あらゆる容器に水を蓄えると
とりあえずの時間的余裕が出来ます。
僕はこうした情報を今後もお伝えしていきたいと思っています。
しかし、大変悩ましいことは、今回の事態は、大地震・大津波・深刻な原発
災害のセットでおこっているものであり、原発が危険なので、逃げようと
呼びかけても、逃げるに逃げられない人々もいること、むしろ今なお、現場に
救助に入っていったり、物資を持って向かわれている方も多いことです。
こうした中でいかに危険情報を発信するのかは、大変、デリケートです。
そこで僕が整理したのは、僕からはあくまでも顔の見える方に情報発信を行い、
その方の判断で、情報の転送などをしてもらうという方法です。つまり不特定
多数の方に対してでなく、僕は僕の知っている方たちを想定してメールを
書いています。
そのため昨日も200名近い方が入っているMLへの投稿を呼びかえていただき
ましたが、悩んだ末に、その方の判断で、転送して欲しいとお伝えしました。
大変、光栄でありがたいことであり、お断りするのは不遜なことでもあるの
ですが、MLへの投稿も、あくまでもそのMLを主催している方の、独自の
判断として行っていただければと僕は思うのです。
この方法を貫いているのは、チェーンメールなどの形で情報が独り歩き
することをふせぐためです。また転送が容易なため、誰もが、安易な情報の
伝達元になってしまうありかた、顔がみえないだけに、容易に無責任な
言葉が書き込まれがちなネット社会の在り方に、不安を感じるからです
そのために僕はこのメールを受け取った1人1人の方が、転送を考えて
下さるのなら、今これを、転送してよいのか、自分の送り先の人の
リアリティを考えて判断して欲しいのです。もちろんそこには、僕の情報を
信頼できるかどうか、吟味していただきたいという思いもあります。
それを含めて転送していただけるのはとてもありがたいです。
またその際に、明るい内容を出して欲しいという要望もいただいています。
僕もそうしたいし、なんとか、勇気が出たり、よし頑張ろうと思える内容を出して
いきたいと思います。その点、工夫に工夫を重ねます。
しかし、僕は現状では、マスコミが、今、世の中のこの厳しい状態の中で、
読んでいてつらくなる内容、場合によっては絶望を伴う内容を伝える勇気を
全く喪失してしまっていると思うので、その点を引き受けるしかないと思って
います。
すでにネット社会などでは、原発の危険性を訴えるもの、避難を呼びかける
ものへのバッシングが強くなってきています。そうした例の一つとして、公共
広告機構が行っている仁科さん親子のCMに苦情が殺到しているそうです。
彼女たちががん検診を訴えているためだと僕には思えます。
こうした傾向は裏を返せば、多くの人々が、放射能の危険性を肌身で感じる
ようになり、不安を募らせていること、政府やマスコミの情報をとても安心して
聞けなくなっていることのあらわれだと思います。
人間は、恐怖に直面した時、それをないものとして考えてしのぐ場合が
あります。それはある意味で一つの生活の知恵であり、それで急場を
しのぐことが出来るならばけして悪い知恵ではないと思います。
しかし今、私たちが直面している危機はそれでしのげるものではありません。
事態は明らかに深刻さを増しています。すでに東京の一部で、水道水を
乳児にのませないようにという呼びかけが、厚労省から出ているほどです。
だからこそ、危機と正面から向き合う事、危機は去ったのだと思わずに
目の前にあるのだとしっかり見据えること、僕はその中でこそ、残された
安全の可能性を追求することが可能になると信じています。
その意味で、僕は人間の強さの方にかけて、このメールをつづっています。
多くの人は、パニックをおこしてはならないと言います。しかしこの大災害の
中で、この国に住まう人々が世界に示したのは、稀有のパニックへの抵抗
力です。このことを世界が絶賛しています。
だからこそ、僕は厳しい現実をお伝えしていこうと思いますし、もし賛同
いただけるなら、みなさんのお力をお借りしたいと思っています。
あなたの判断で、僕のニュースをあなたの目に見える方に転送してください。
またできるならば、僕に感想や情報をお寄せ下さい。それがとても励みに
なります。またもっとこういうトーンをとか、こういう内容をという意見もお伝え
下さい。そのすべてにお応えできるかどうか分かりませんが、可能な限り
多くの方の知恵を拝借して、よい発信を目指したいと思います。
なお、転送にあたって、僕のクレジットを明らかにしてほしいと言う
要請がありました。その場合は次のようにお書きください。
僕が僕の発信する情報への責任を明確にするためにもこれは必要だと
思っています。あなたの判断で、必要に応じてお使いください。
守田敏也(もりたとしや)1959年生まれ。京都市在住。
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、
現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に
関する研究を進めている。ナラ枯れ問題に深く関わり、京都大文字山
での害虫防除なども実施。原子力政策に関しても独自の研究と批判
活動を続けてきた。
以上です。
このことに踏まえて、情報発信を続けます。
僕はこれまで、限定された友人に発信を行ってきましたが、これを
拡大しようと思っています。ただしあくまでも僕から顔の見える
相手に対して送る方法を貫きます。
以下、より多くの方にあてた文面です。
**********************
みなさま。
守田敏也です。
僕は地震当日の夜から、原発事故を中心に、僕なりの分析と解説を
送り続けてきました。基本的におこっている事象の基軸的なことを
おさえ、その推移を正しく分析できてきたと思っています。
とくに当初、予測した事件の深刻化、放射能汚染の広がりがどんどん
現実のものになってきていることは、大変残念なことなことですが、
基本的な推論が間違っていなかったことを実証していると思います。
もちろん、これは僕独自で行ってきたものではありません。原発に関する
専門的知識に関しては、原子力資料情報室のおりおりの発表を可能な
限りきちんと把握し、そこでの専門家の方々の指摘にあわせて、分析を
行うようにしてきました。
また科学者をはじめとした何人もの友人たちと、折に触れて専門的内容や
ものごとの発表の仕方、論じ方についてメールを交換し合い、たくさんの
情報もいただきながら推論を進めています。
友人たちの中には、新聞各社につとめている友人、出版社につとめている
友人、ジャーナリストとして活躍している友人もおり、そこからも情報を
得ています。
それらに踏まえて、ここより、このメールをお送りする対象をひろげ、
さらにたくさんの友人・知人のみなさんに情報をお届けしたいと思います。
今日、はじめて久しぶりのメールをお届けする方もいますが、ぜひ、
ご覧いただけたらと思います。(すでに行ってきた通信の継続であるため
番号がナンバーが大きいものから始まります)
まずお伝えしたいことですが、僕は基本的に今回の原発事故は、極めて
深刻であり、炉心が崩壊して、大量の放射能が漏れだすなどの危険性が
あると考えています。現在もその可能性はまったく消えていないと思っています。
にもかかわらず、政府もマスコミも、この重大な危機をきちんと伝えようとは
していません。それどこらか政府もマスコミも、自ら危機が打開されることを
祈るばかりに、その兆候ばかりを探し、そればかりを発表したり、報道する
ようになってしまっていると思えます。
とくにマスコミは、ときに政府や東電の発表の中に、危機を示唆する重大な
内容が織り込まれているにも関わらず、それを価値的に判断できず、
ただ政府の広報のような役目を果たしてしまっています。独自の価値判断
能力を喪失してしまっています。
中には意図的な情報隠しも明らかにありますが、それよりも、政府もマスコミも
自らが破局的な危機の可能性をみすえることができず、それから眼をそむけて、
明るい展望ばかりに目を向けてしまっているように思えます。
僕はむしろそのほうが危険性が増すと思っています。
繰り返しますが、危機はまだまったく去っていません。破局的な被害が出る
可能性も十分にあります。そのため、可能な方は、できるだけ遠くに避難した
方が無難です。情勢の基調はここにあります。
現在、消防士たちのみなさんなどが、決死の覚悟で行っている放水などの処置
により、少なくとも事態が破局的に進行することが食い止められ、私たちに
時間の猶予が与えられています。私たちには判断をする時間があります。
避難を準備する時間があります。避難できない場合の工夫を考える余裕も
あります。
ところが、危機が去ったと考えてしまうと、このように消防士をはじめとした
多くの方々が命を削ってつむぎだしてくれている時間というプレゼントを
無為に費やすことになってしまいます。その点で僕は現場の消防士のみなさんの
活躍を正しく活かすことをも考えて、このメールを書いています。
危機はさらに放射能汚染の拡大という形でも広がっています。さきほどつかんだ
ニュースから、実は東電が、原子炉格納容器の圧力を抜く動作を、初期の
段階でこっそりと行っていたこと、しかもそのときに高濃度の放射能が出ていた
ことが明らかになりました。
これらにより、汚染は原発をウォッチしている多くの人々の予想をも超えて
早く広がりだしています。この点から考えても、つまり最悪の事態に立ち至る
可能性を考えなくとも、放射能汚染は今後も確実に広がっていく方向にあり、
その点でも、より原発に近い方ほど、避難に踏み切った方が有利です。
またそれができない場合、したくない場合は、放射能汚染への身構えを
幾重にもしてください。特に水を確保してください。汚染濃度が高まっている
地域では、水道水が使えなくなる前に、あらゆる容器に水を蓄えると
とりあえずの時間的余裕が出来ます。
僕はこうした情報を今後もお伝えしていきたいと思っています。
しかし、大変悩ましいことは、今回の事態は、大地震・大津波・深刻な原発
災害のセットでおこっているものであり、原発が危険なので、逃げようと
呼びかけても、逃げるに逃げられない人々もいること、むしろ今なお、現場に
救助に入っていったり、物資を持って向かわれている方も多いことです。
こうした中でいかに危険情報を発信するのかは、大変、デリケートです。
そこで僕が整理したのは、僕からはあくまでも顔の見える方に情報発信を行い、
その方の判断で、情報の転送などをしてもらうという方法です。つまり不特定
多数の方に対してでなく、僕は僕の知っている方たちを想定してメールを
書いています。
そのため昨日も200名近い方が入っているMLへの投稿を呼びかえていただき
ましたが、悩んだ末に、その方の判断で、転送して欲しいとお伝えしました。
大変、光栄でありがたいことであり、お断りするのは不遜なことでもあるの
ですが、MLへの投稿も、あくまでもそのMLを主催している方の、独自の
判断として行っていただければと僕は思うのです。
この方法を貫いているのは、チェーンメールなどの形で情報が独り歩き
することをふせぐためです。また転送が容易なため、誰もが、安易な情報の
伝達元になってしまうありかた、顔がみえないだけに、容易に無責任な
言葉が書き込まれがちなネット社会の在り方に、不安を感じるからです
そのために僕はこのメールを受け取った1人1人の方が、転送を考えて
下さるのなら、今これを、転送してよいのか、自分の送り先の人の
リアリティを考えて判断して欲しいのです。もちろんそこには、僕の情報を
信頼できるかどうか、吟味していただきたいという思いもあります。
それを含めて転送していただけるのはとてもありがたいです。
またその際に、明るい内容を出して欲しいという要望もいただいています。
僕もそうしたいし、なんとか、勇気が出たり、よし頑張ろうと思える内容を出して
いきたいと思います。その点、工夫に工夫を重ねます。
しかし、僕は現状では、マスコミが、今、世の中のこの厳しい状態の中で、
読んでいてつらくなる内容、場合によっては絶望を伴う内容を伝える勇気を
全く喪失してしまっていると思うので、その点を引き受けるしかないと思って
います。
すでにネット社会などでは、原発の危険性を訴えるもの、避難を呼びかける
ものへのバッシングが強くなってきています。そうした例の一つとして、公共
広告機構が行っている仁科さん親子のCMに苦情が殺到しているそうです。
彼女たちががん検診を訴えているためだと僕には思えます。
こうした傾向は裏を返せば、多くの人々が、放射能の危険性を肌身で感じる
ようになり、不安を募らせていること、政府やマスコミの情報をとても安心して
聞けなくなっていることのあらわれだと思います。
人間は、恐怖に直面した時、それをないものとして考えてしのぐ場合が
あります。それはある意味で一つの生活の知恵であり、それで急場を
しのぐことが出来るならばけして悪い知恵ではないと思います。
しかし今、私たちが直面している危機はそれでしのげるものではありません。
事態は明らかに深刻さを増しています。すでに東京の一部で、水道水を
乳児にのませないようにという呼びかけが、厚労省から出ているほどです。
だからこそ、危機と正面から向き合う事、危機は去ったのだと思わずに
目の前にあるのだとしっかり見据えること、僕はその中でこそ、残された
安全の可能性を追求することが可能になると信じています。
その意味で、僕は人間の強さの方にかけて、このメールをつづっています。
多くの人は、パニックをおこしてはならないと言います。しかしこの大災害の
中で、この国に住まう人々が世界に示したのは、稀有のパニックへの抵抗
力です。このことを世界が絶賛しています。
だからこそ、僕は厳しい現実をお伝えしていこうと思いますし、もし賛同
いただけるなら、みなさんのお力をお借りしたいと思っています。
あなたの判断で、僕のニュースをあなたの目に見える方に転送してください。
またできるならば、僕に感想や情報をお寄せ下さい。それがとても励みに
なります。またもっとこういうトーンをとか、こういう内容をという意見もお伝え
下さい。そのすべてにお応えできるかどうか分かりませんが、可能な限り
多くの方の知恵を拝借して、よい発信を目指したいと思います。
なお、転送にあたって、僕のクレジットを明らかにしてほしいと言う
要請がありました。その場合は次のようにお書きください。
僕が僕の発信する情報への責任を明確にするためにもこれは必要だと
思っています。あなたの判断で、必要に応じてお使いください。
守田敏也(もりたとしや)1959年生まれ。京都市在住。
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、
現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に
関する研究を進めている。ナラ枯れ問題に深く関わり、京都大文字山
での害虫防除なども実施。原子力政策に関しても独自の研究と批判
活動を続けてきた。
以上です。
このことに踏まえて、情報発信を続けます。