守田です。(20110320 14:47)
少し古くなってしまいましたが、3月18日20時39分に投稿された
原子力資料情報室からのメッセージ(2)を転送します。
3月19日に出された資料のアドレスも記しておきます。わかりやすいです。
3月17日に出された「放射線被ばくを考える」も貼り付けておきます。
***********************
福島原発の危機について私たちは考えます
―原子力資料情報室からのメッセージ[2]
2011年3月18日(20:39)
原子力資料情報室
1 私たちは、
3月15日に「福島第一原発及び同第二原発の今回の事故は、
原発の設計条件においては考えられていない想定外の過酷事故であり、
極めて深刻な事態が続いています」と述べました。
残念ながら、本日までこの状況は変わっていません。
2 現場の作業員の方々の努力なしには、この危険を回避することはできません。
作業員の方々は、極めて高い被曝の危険があるにもかかわらず、
破局的な事態を回避するために、日夜奮闘されています。
私たちは、最大限の感謝を表明します。
3 ところで、事故以来、
私たちには「何キロまで離れれば安全か」という問い合わせが殺到しております。
4 しかし、この質問に対して、具体的に「何キロ」と回答することは困難です。
私たちには、現状の正確な情報が乏しく、
また、今後の状況を予測することも困難なことが大きな理由です。
また、避難するかどうかは、原発からの距離や放射線レベルだけでは決められません。
家族構成、生活環境、周りの人々とのつながり、避難 先および避難手段の確保など、
条件はさまざまだからです。
5 放射能は、妊婦(胎児)・幼児・子供には影響が大きく現れます。
これらの方々は、福島原発からできるだけ遠くへ避難した方が安心です。
6 遠くへ避難できない場合には、建物の中に入り外気に触れるのを避けること、
雨には極力当たらないことが、被曝を避けるためには重要です。
7 現状では、放射能が大規模に放出されるような事態には、至っていません。
しかし、今後、そのような最悪の事態が生ずる可能性は否定できません。
その場合には、政府が設定している現在の避難範囲では、不十分なことは明らかです。
8 最悪の事態に至る可能性がある具体的な事象は、
原子炉水位のさらなる低下による核燃料の溶融(メルトダウン)、
大規模な爆発、使用済み燃料プールからの放射能大量放出などがあげられます。
9 政府および東京電力は、これらの事象につながる状況の変化について、
迅速かつ正確な情報提供をするべきです。
特に、放射線量の測定は、政府および東京電力だけではなく、
各自治体や民間でも測定されています。
政府は、これらのデータを収集して、
誰もが容易にアクセスできるような体制を速やかに構築すべきです。
************
資料:福島第一原発で何が起きているのか(2011/3/19)
http://cnic.jp/files/earthquake20110311/CNICpresentation_20110319.pdf
*************
モニタリングのデータが公表されるようになった。
一時、公開が止められていたとの報道もあった。
ただ、公開と同時に添付されている被ばくの影響に関する説明は誤解を招くものだ。
また、報道で専門家が「直ちに人体に影響を与えるものでない」と説明することに憤りを感じる。
そこで、放射線被ばくの考え方を整理してみた。
被ばく線量の推定には、
本来ならどのような放射能がどれだけ放出されたのかという基礎的なデータが必要だが、
これが公開されていない。
そこで、今の段階では、かなり粗いものであっても、各個人が自分の被ばくを推測して、
判断する目安を得ることは有益だろう。
①単純に被ばくを計算する
例えば、住んでいる地域で20マイクロシーベルト/時の線量が測定されたと仮定しよう。
この線量の状態が続くと仮定して、時間を掛けると、とりあえず被ばく線量が出てくる。
24時間では480マイクロシーベルトとなる(20×24=480)
②内部被ばくを計算しよう
人間は呼吸をしているのだから放射能を体内に取り込む。
この線量を計算することは難しいが無視することはできない。
初めに書いたようにどの放射能がどれくらい出ているか分からないからだ。
ここでは大まかに2倍とする。
そうすると、24時間で960マイクロシーベルトとなる(480×2=960)
③乳幼児や子供は放射線への感受性が高い
乳幼児や子供、成長期の若者は放射線への感受性が高いと考えられている。
ここでは2倍とする(ヨウ素131では10倍になるとの評価もある)。
乳幼児や子供は、24時間で1,920マイクロシーベルトとなる(960×2=1920)。
④被ばくの影響を考えよう
専門家がいう「直ちに人体に影響を与える量」とは
急性障害を与える量250ミリシーベルト(250,000マイクロシーベルト)のことを
意味しているようだ。
あるいは、人によっては100ミリシーベル トの被ばくのことを意味しているように思われる。
これを基準に考えることは高い被ばくを容認することになる。
微量は被ばくでも発がんのリスクを高める。
発がんのリスクは被ばくの量に応じて高くなる。
例えば、国際放射線防護委員会は1ミリシーベル トの被ばくで、
将来10,000人に1人のガン発生が考えられるとしている。
この評価には、倍くらい厳しく見るべ きとの意見もあり、その場合5,000人に1人となる。
⑤被ばくは極力避ける方が望ましい。が、少しの被ばくで大慌てする必要もない。
被ばくを低く抑えるには、
①離れる、②時間を短くする、③身に付かない(吸入しない)ようにすることが原則。
モニターの値が高い時にはできるだけ外出を控える、
外出は短くする、マスクなどで防護する、などの対策 が考えられる。
屋内は屋外に比べて、被ばくは2~3倍くらい少なくなる。
モニターの数値は首相官邸「平成23年東北地方太平洋沖地震への対応」で得ることができる。
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/jisin/20110311miyagi/index.html
少し古くなってしまいましたが、3月18日20時39分に投稿された
原子力資料情報室からのメッセージ(2)を転送します。
3月19日に出された資料のアドレスも記しておきます。わかりやすいです。
3月17日に出された「放射線被ばくを考える」も貼り付けておきます。
***********************
福島原発の危機について私たちは考えます
―原子力資料情報室からのメッセージ[2]
2011年3月18日(20:39)
原子力資料情報室
1 私たちは、
3月15日に「福島第一原発及び同第二原発の今回の事故は、
原発の設計条件においては考えられていない想定外の過酷事故であり、
極めて深刻な事態が続いています」と述べました。
残念ながら、本日までこの状況は変わっていません。
2 現場の作業員の方々の努力なしには、この危険を回避することはできません。
作業員の方々は、極めて高い被曝の危険があるにもかかわらず、
破局的な事態を回避するために、日夜奮闘されています。
私たちは、最大限の感謝を表明します。
3 ところで、事故以来、
私たちには「何キロまで離れれば安全か」という問い合わせが殺到しております。
4 しかし、この質問に対して、具体的に「何キロ」と回答することは困難です。
私たちには、現状の正確な情報が乏しく、
また、今後の状況を予測することも困難なことが大きな理由です。
また、避難するかどうかは、原発からの距離や放射線レベルだけでは決められません。
家族構成、生活環境、周りの人々とのつながり、避難 先および避難手段の確保など、
条件はさまざまだからです。
5 放射能は、妊婦(胎児)・幼児・子供には影響が大きく現れます。
これらの方々は、福島原発からできるだけ遠くへ避難した方が安心です。
6 遠くへ避難できない場合には、建物の中に入り外気に触れるのを避けること、
雨には極力当たらないことが、被曝を避けるためには重要です。
7 現状では、放射能が大規模に放出されるような事態には、至っていません。
しかし、今後、そのような最悪の事態が生ずる可能性は否定できません。
その場合には、政府が設定している現在の避難範囲では、不十分なことは明らかです。
8 最悪の事態に至る可能性がある具体的な事象は、
原子炉水位のさらなる低下による核燃料の溶融(メルトダウン)、
大規模な爆発、使用済み燃料プールからの放射能大量放出などがあげられます。
9 政府および東京電力は、これらの事象につながる状況の変化について、
迅速かつ正確な情報提供をするべきです。
特に、放射線量の測定は、政府および東京電力だけではなく、
各自治体や民間でも測定されています。
政府は、これらのデータを収集して、
誰もが容易にアクセスできるような体制を速やかに構築すべきです。
************
資料:福島第一原発で何が起きているのか(2011/3/19)
http://cnic.jp/files/earthquake20110311/CNICpresentation_20110319.pdf
*************
モニタリングのデータが公表されるようになった。
一時、公開が止められていたとの報道もあった。
ただ、公開と同時に添付されている被ばくの影響に関する説明は誤解を招くものだ。
また、報道で専門家が「直ちに人体に影響を与えるものでない」と説明することに憤りを感じる。
そこで、放射線被ばくの考え方を整理してみた。
被ばく線量の推定には、
本来ならどのような放射能がどれだけ放出されたのかという基礎的なデータが必要だが、
これが公開されていない。
そこで、今の段階では、かなり粗いものであっても、各個人が自分の被ばくを推測して、
判断する目安を得ることは有益だろう。
①単純に被ばくを計算する
例えば、住んでいる地域で20マイクロシーベルト/時の線量が測定されたと仮定しよう。
この線量の状態が続くと仮定して、時間を掛けると、とりあえず被ばく線量が出てくる。
24時間では480マイクロシーベルトとなる(20×24=480)
②内部被ばくを計算しよう
人間は呼吸をしているのだから放射能を体内に取り込む。
この線量を計算することは難しいが無視することはできない。
初めに書いたようにどの放射能がどれくらい出ているか分からないからだ。
ここでは大まかに2倍とする。
そうすると、24時間で960マイクロシーベルトとなる(480×2=960)
③乳幼児や子供は放射線への感受性が高い
乳幼児や子供、成長期の若者は放射線への感受性が高いと考えられている。
ここでは2倍とする(ヨウ素131では10倍になるとの評価もある)。
乳幼児や子供は、24時間で1,920マイクロシーベルトとなる(960×2=1920)。
④被ばくの影響を考えよう
専門家がいう「直ちに人体に影響を与える量」とは
急性障害を与える量250ミリシーベルト(250,000マイクロシーベルト)のことを
意味しているようだ。
あるいは、人によっては100ミリシーベル トの被ばくのことを意味しているように思われる。
これを基準に考えることは高い被ばくを容認することになる。
微量は被ばくでも発がんのリスクを高める。
発がんのリスクは被ばくの量に応じて高くなる。
例えば、国際放射線防護委員会は1ミリシーベル トの被ばくで、
将来10,000人に1人のガン発生が考えられるとしている。
この評価には、倍くらい厳しく見るべ きとの意見もあり、その場合5,000人に1人となる。
⑤被ばくは極力避ける方が望ましい。が、少しの被ばくで大慌てする必要もない。
被ばくを低く抑えるには、
①離れる、②時間を短くする、③身に付かない(吸入しない)ようにすることが原則。
モニターの値が高い時にはできるだけ外出を控える、
外出は短くする、マスクなどで防護する、などの対策 が考えられる。
屋内は屋外に比べて、被ばくは2~3倍くらい少なくなる。
モニターの数値は首相官邸「平成23年東北地方太平洋沖地震への対応」で得ることができる。
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/jisin/20110311miyagi/index.html