ちょっとUPが空きました。眼精疲労でね。作業が止まっておりました。で、PEN-FTのブラックをご希望です。すでにシャッターユニットはO/Hを終えて、本体に搭載してあります。各部の塗装が完成しましたので、彫刻文字の色入れや巻上げユニットの組立をして行きます。
ボチボチやらせてもらいますね。では、塗装をした巻上げレバーをユニットに組み込んで行きます。部品点数も多いですが、じつは画像の中にベアリングのインナーカラーが写っていません。レバーとベアリングとの間で一番力の掛かる部品で、ベアリング上下2列の磨耗筋が入っています。(殆どの個体で同じです)本来はカラーを作り直した方がレバーのガタが減るのですが、まぁ、許容範囲ということで再使用とします。
完成したユニットを本体に組み込んでいます。初期型の個体ですので、駒数板の取り付け方式も変更前のもの。本体の取り付けビスも4点(後に3点)です。
小物部品の組立。セルフタイマーボタンは、レンチの掛かりやすい当方のオリジナルを塗装して使います。巻き戻しレバーのノブは初期型なので丸いローレットタイプ。留めビスは本来ブラックモデルは黒ですが、フェイクを作っているわけではないのであえてメッキのままとします。
駒数窓、明り取り窓の接着。シンクロターミナルの取り付け。文字の色入れを終えてトップカバー完成。
リターンミラーは外周に腐食が広がっていますので、オーナーさんのご希望により新品と交換します。
新品に交換したリターンミラーを前板に取り付けます。
初期型としては、フレネルレンズ、プリズムの状態は非常に良いものでした。ミラーユニットを取り付けて前板関係完成。
完成している本体と前板をドッキングします。初期型のシャッターユニットは疲労をしているものが多く、調子の良いものは少ないのですが、このユニットは疲労磨耗が少なく、非常に安定しています。しかし、スローガバナーは変更前ですから、シャッターダイヤルの操作は丁寧に扱う必要があります。
ビューファインダーのレンズ構成。残念ながら、内側のコーティングにカビ痕があって清掃できません。初期型ですから、レンズの押さえ方式はリングナット式。後にスナップリング式に変更され、分解組立を容易にしています。
メカ部の組立は完成です。この個体は、使用過程で露出計不動となり、後年に基板別体タイプのユニットに換装されています。同時にハーフミラーも交換されています。しかし、オーナーさんのご希望によりハーフミラーは交換しました。
前面から。セルフタイマーレバーを取り付けて、作動のチェックとレバーの水平調整をしてあります。
日曜日は高校の鉄道模型クラブの同窓会に行って来ました。何十年ぶりでお会いする先輩たちとは、当時の先輩後輩の関係が戻って、私には心地良いものでしたね。私が一番後輩です。国鉄の運転士となった先輩の裏話で盛り上がりました。今度は運転会に出てみたいと思いますが、HOゲージの車両は処分してDD13とBタンクしか残っていないしね。現在のHO車両は工芸品で、完成車両のプライスタックは昔と桁が違いますね。ペーパーキットを作る人などいないのでしょうね。しかし、車両製作は真鍮工作を覚えた原点です。
で、中断をしていたPEN-FTブラックに戻ります。じつは、テスト中にミラーユニットが悲鳴を上げました。極初期型のミラーユニットは磨耗によって、ロック爪の掛りが不確実となって不良となるものがあります。このユニットは、PEN-FTの中では一番キーとなる部品だと思っています。カシメを多用して組まれているため、分解修理は出来ません。
しかし、良くこのからくりを考えたものだと感心します。技術者は大したものだと感心するばかりです。設計者の米谷さんにお伺いをしましたが、「FTは分解できないユニットが多いので、長く使いたい人は、交換用の部品を用意しておくこと」と言われました。現状は、新しいユニットは生産されないわけで、手持ちの部品から交換をしていますが、それが底を突いた時が、FTが現役でなくなる時だと思っています。今回は改良後のユニットを使いましたので、レリーズのリンケージも適合した部品にセットで交換しています。
と言うことで、通常の2倍の工数が掛かったPEN-FTブラックリペイントは完成とします。