分解途中のPEN-FT #2303XXですが、この方はアイピース枠をご注文いただいて、ついでにと分解していくうちに組めなくなってしまったという状況です。几帳面に分解した部品や内容を記したメモ、あらパーツリストのコピーまで着いてきましたよ。本当に真面目なお人柄ですね。この個体は昭和43年に購入されたワンオーナー機とのことです。はい、結構ですよ。素人さんは組めなくて当たり前。私たちは何百台かは組んで来ましたので組めて当たり前です。
基本的に上部を分解されたようですが、何故か巻上げもシャッターも切れませんね。どちらにしてもすべて分解ですから問題はありませんが・・しかし、電気配線、特にCdsの配線を切られると困るので、分解される方は、その点、充分にご注意を頂きたいと思いますね。
画像サイズを間違えてしまいました。で、元々、故障をしていた個体ではありませんので、特に書くことも無さそうです。流石に23万代ですが、ワンオーナーのため保管状態は良好です。あぁ、これですね。1ヵ所バラスと、あちこちに影響をしてしまって、収拾がつかなくなるというやつですね。車やバイクなどの分解も一緒ですが、初めて分解する場合は、一気に分解せず、少し分解しては元どおりに組み戻してみる。時間は掛かりますが、安全な方法です。
やはり、あちらこちらのリード線の半田付けが取れていますね。洗浄したダイカスト本体に電池室を組み込んで行きます。
半田付けをしたリード線。じつは、芯線が腐食気味が判明して、新しいリード線に付け替えました。最初から、そうしておけば良かったかも。
このシャッターは、あまり使われていませんね。テンションシャフトの先端部がきれいです。ここは無給油で回転していますので、使い込まれた個体は線状痕が入っています。それが巻上げのフィーリングにも影響を与えます。メインスプリングは変更後の条数の多いタイプです。逆に#2330XXで変更前のスプリングを使った個体を確認していますので、この頃にスプリングが変更されたと見てよろしいです。シリアル№は必ず製造順にはなっていません。
シャッターユニット完成。シャッター幕も傷無くきれいです。スローガバナーも変更後のタイプです。
前板関係。特に問題はありませんが、ユニットの作動はちょっとゴリツキ気味。個体差が大きいところ。
ご自分でモルトの交換をされたんですね。これでも良いのですが私流にやり直しをします。
性能には関係ありませんが、美意識と言いますかその・・
ハーフミラーの状態は良好とお聞きしていたのですが、だいぶ指で触られましたね。表面鏡ですから、直接触れることは禁物です。
見やすくするとね。かなり抜けてしまっていますね。とても公称9:1のめっきではないですね。30万代以降はめっきが変わりますので耐久性はあるのですが、20万代前期のミラーはちょっと厳しい状態ですね。交換させて頂きます。
この頃の個体は、画像のTTLナンバーの光路の反射ミラーが白く曇っているものが多いです。
セルフタイマーの取り付け部に入るワッシャーまで几帳面に分類して頂いています。
ワッシャーを接着してから、セルフタイマーを取り付けます。稀に、ワッシャーの紛失に気がつかずにユニットが斜めに付けられている個体を見ます。
切れたターミナルのリード線や駒数計を組んでメカの完成。
付属の40mm f1.4は、軽微なカビが発生して、シボリ羽根は油で緩慢復帰をしている状態ですので、分解清掃をしておきます。
最後にシリアル№の色入れが落ちていましたので、入れ直してこれですべて完成です。23万代としては、非常にきれいで、大切に扱われて来たことが分かる幸せな個体。めでたく復活です。1968年11月製。
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