その前に、北海道のINOBOOさんから。北海道にも鯉のぼりのシーズンに桜前線が到着したそうです。幻想的というか面白い作品ですね。二重露出のできるフジX-E1+FD500mm(反射望遠)の組合せでだそうです。構想が面白いですね。
二枚目は、いつも撮影をしている定点木ですね。北海道の雄大さが伝わってきます。この木が有っての作品ですね。
では本題。オークションで落札された個体とのことですが、角が大きく陥没していますね。出品の説明には無かったそうです。出品は骨董品屋さんのようで、「画像で判断」という手ですね。
陥没が深いのと、ルーペで観察すると、すでに中心部分の塗膜が浮いているのが分かりましたので、一度は修正を断念しましたが、オーナーさんのご希望もあって修正を試みました。残念ながら塗膜にクラックが入りました。
機械としては未分解機だと思います。では、分解をしていきます。
駒数計が作動しない、とのお訴えがありました。復帰しない場合は駒数板を作動させるギヤの潤滑不足が原因ですが、今回は違いますね。見えますかね? ピンセット先のアイドルギヤの軸が折れています。
このようになっています。このように軸が折れるケースは稀ですが、原因は、巻上げレバーユニットとダイカスト本体との取り付けが、慢性的に水平が出ない状態で、殆どの個体には地板の取付け部に高さ調整用のワッシャーが入れられていますが、水平を取り切れていない場合には、今回のように垂直に延びる軸の回転に無理が生じて、長期的に破壊に到ってしまいます。因みにこの個体には調整ワッシャーが入れられていませんでした。これは交換する以外にありません。
その他、吊環の取り付けが緩んでグラグラしていますね。この部分には、緩みを防止するため、接着剤を塗布してネジ留めをされていますが、それが不完全だったか、大きなストレスを受けたのでしょう。
洗浄をしたダイカスト本体に組立をしていきます。吊環は接着併用で取り付けいます。アイドラーギヤは良品と交換するしかありませんね。
シャッターユニットを点検していますが、ちょっと変ですよ。テンションフリーの状態で、シャッター幕の回転が異常に重いです。これでは、シャッタースピードに影響しています。
シャッターユニットは非常に良いですね。あまり使われてはいないと思います。完全に洗浄をしてあります。
前板関係を見ます。防眩塗装にカビの発生が目立ちますね。このような個体は、長期に渡って放置されていた証拠です。
ファインダー像を確認すると、スクリーンに黒く点々と汚れがあります。これは、スクリーンの裏のプリズム面の汚れ(カビ)なのです。清掃出来れば良いのですが・・
シャッター幕の作動が重い原因は、軸にありました。通常は無給油で動いている部分ですので、何が原因か? 洗浄で正常となっています。塗装部分のカビは拭いてもきれいにはなりませんので、別の方法で清掃してあります。
露出計ユニットとハーフミラーを点検します。Cdsとメーターは生きています。ハーフミラーですが、長期保管をされた個体の光学系はダメージが大きいです。殆ど素通しにめっきが飛んでしまったミラー。他のプリズムなどもコーティングは厳しい状態でした。
交換をする新品のミラーと並べてみます。純正のミラーも反射率については疑問の点があるのですが、それはまぁ良いとして。露出メーターの光学径路を清掃しておきます。
駒数計関連は組立の最後に付けるようにしています。よく、駒数板が曲がった個体に出会うことがあります。これは、作業に夢中になって、カメラを裏返しにして作業をすると、テーブルで駒数板を曲げてしまう危険性があるからです。駒数板の復帰不良の原因は、真鍮の小歯車の潤滑不良です。軸には注油は厳禁です。
で、いつもお決まりのメカ完成の画像です。
おっと忘れていました。この個体はタイマーボタンを無くして来たのでした。めっき前の真鍮素材を塗装します。
では、こんな風に作っておきました。
付属の38mmも典型的な放置レンズの状態ですね。経験的にすべてきれいに落とすことは出来ないと思います。まぁ、頑張って分解清掃をします。
予定では、今日(6日)は、栃木県のツインリンクもてぎへ撮影に出かける予定でしたが、中止しましたのでFT(B)の仕上げをすることが出来ました。長期放置機でしたので、むずかしいところもありましたが、メンテナンス後は、立派なブラックモデルとなったと思います。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/