今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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シャッター幕破壊のPEN-Fを復活させるの巻

2014年10月21日 22時22分09秒 | ブログ

すごいのが来ていますよ。PEN-F #2281XXは1965-11月製の個体分解歴はありますね。外観は悪くはありませんが、シャッター幕が破れています。開発の初期には、シャッター幕がクシャクシャに破壊する事故も有ったようですが、観察した限りでは回転中の破壊ではないと思います。面白がって鋭利なもので突いたのでしょうか? もったいないことです。

途中の画像は撮影しましたが、はしょって小枚数でいきます。オーナーさんからはPEN-FTを部品取りで、とのお申し出がありましたが、ファンの方でもご存じが無い方もいらっしゃるようですので書いておきますが、FとFTは外観にそれほど違いはありませんが、中身の機械は全くの新設計ですので互換部品は殆どないのです。当方のストックから見つけてきました。この個体よりも少し前の生産分で、チタン幕のエッチング処理の仕方が異なっています。

その他、問題ありはスプロケット軸のバネ抑えのネジが折れています。以前にも書いたことがありますが、この部分は設計変更をした部分で、M1.7のネジにこの大きな頭のスリ割りでは無理なんですね。苦肉の設計なのでしょう。工場での組立時、緩みを考慮して強力に接着剤を塗布されていますので、緩めようとすると30台に1台ぐらいの確率で折れますね。分解することを想定していないのです。

交換部品はストックしていますが、修正をして使うことにします。まず、スプロケット軸に中に埋め込まれたネジを削り出してからタップを通して修復しておきます。

 

バネ抑えの方は、センターに孔加工をしてM1.7ネジを植え込んであります。画像のように再生されています。簡単に見えますが時間の掛かる作業です。

 

洗浄した本体に、再生したスプロケット軸スプール軸を組み立てます。シャッターは低速不調(止まり)でしたのでオーバーホールと良品のシャッター幕を取付けて組み立ててあります。

 

こちら関東地方は一日中雨が降り続いていました。秋雨でしょうか? 外出していましたので作業はあまり進んでいません。プリズムには僅かに腐食がありましたが、Fとしては軽微な方です。ミラーユニットの洗浄注油をして本体にドッキングしました。巻上げのフィーリングも悪くはありませんが、最後でコクッと感じます。これは、ブレーキのOリングが膨張しているためですが、ブレーキとしては利いているので、今回はそのままとしました。アイビース枠欠けのため交換予定ですので、全反射ミラーを交換するかで悩みました。再使用は可能のレベルですが、折角ですから交換することに決めました。

欠けのあるアイビース枠を交換してメカの組立は終了です。

 

 

磨き出したカバー類を取付けてすべて完成です。通常はここまでのダメージがある個体を復活させることは費用的にも難しいところですが、オーナーさんのお考えにより復活させることができました。これからは、個体数維持のために、このような修理は避けられないものと思います。しかし、このシャッター幕すごい破れ方ですね。薄膜でもチタンは非常に強健なことが理解できます。まるで邀撃戦でP-38の攻撃を受けて被弾した隼みたいだな。アキャブ上空敵戦爆連合八十八機南下中かぁ。後はレンズがありましたね。

FT用38mmの後期のレンズですが、分解をされて程度は最悪ですね。お願いですから技量のない方は分解しないで欲しいものですね。マウントネジを緩めようとしてスリ割りを壊したのでしょうね。3本のうち2本が規格外のネジになっていて、しかも、マウントベースから飛び出したネジの頭をヤスリで削ったものだから、マウントベースも傷だらけです。なんてひどいことをするのでしょう?

で、ヘリコイドが∞まで来ない訳ですよ。最悪です・・

 

 

内部は汚れでドロドロでした。すべて洗浄をして組み立てていきます。規格外のネジは、2本とも正規のピッチ(M1.7 P0.35)ではなくて、無理やりねじ込んでありましたので、ネジ山を壊しています。ここはスペシャルネジですから、汎用ではだめなのです。正規のネジに交換しますので、タップでネジ山を修正しておきますが、今回は良くタップが出て来るなぁ・・ 

FT用の50-90mmZOOMですね。各レンズにカビが発生しています。ズームレンズは複雑さが標準レンズの比ではないので、実はあまり得意ではありません。この時代のズームレンズの写りはどの程度なのでしょうね。

カビが多く発生する部分は、やはり絞り羽根の前後ですね。1枚ずつ清掃をしていきますが、コーティングの劣化による曇り部分(外周)は清掃出来ません。

 

過去に分解清掃は受けていましたね。前玉の厚いこと。重いレンズです。

 

これですべて完成です。PEN-F本体のファインダーのピントをチェックすると、だいぶ行き過ぎていましたね。しかし、過去にピント調整をされた形跡はなし。リターンミラーを確認すると、ミラーの貼り替えを受けたものかも知れません。接着剤の層が厚くてミラーがホルダーに密着していない気がします。ミラーだけ貼り替えて、ピント調整を怠っていたものかも知れません。これで撮影していたんでしょうかね?

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


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