少し前にYASHICA Rapideをやりましたが、そのエントリーをご覧頂いたハワイ在住の日本女性の方から修理のご依頼を頂きました。へぇ、こんな希少なカメラをハワイで使っている方がいるんだぁ・・前回の個体と同様、外観は悪くはありませんね。これは、ボディーがカメラと言うよりは産業界で使われる測定器のように頑丈に出来ているからです。へこませようとしたって簡単にはへこみません。残念ながら露出計は不動で、シャッターが止まりました。
露出計を何とかしたかったのですが、完全にセレンが死んでいますね。1961年頃のカメラですから60年近く前の製品なので無理もないと思います。オーナーさんは露出計は動かなくても大丈夫とのことですから、今回はこのままとします。現在はスマホで露出計の代わりが出来ますからね。
このカメラの一番のウィークポイントがレンズの後玉です。殆どの個体で白く曇っています。幸い、この個体は清掃によって、ほぼ、問題のない程度に回復しています。
特異な形のカメラですから、シャッターまでたどり着くにはいくつもの部品を外さなくてはなりません。画像に写っていない部品も多くあります。
COPAL-SVシャッターは本格的に作りで、特に問題はありません。シャッター羽根の表面の粗面が磨滅により光っていて、これが張り付きの要因にもなっています。
シャッターユニットを搭載しますが、その前にモルトを交換します。緑色なのはシャッターの取付ボードの真鍮が腐食したもの。
新しいモルトを貼りました。
大きなファインダーを清掃しますが、光枠は清掃をすると落ちてしまいますので慎重に。。
レンズの無限位置やEV値付きの絞りダイヤルの取付位置を決めるのが少し面倒。レンズの清掃とヘリコイドグリスを交換して組みます。写っている時計は、ラピードとほぼ同時期の1960年に製造された初代セイコーマチック603で、文字盤の劣化が60年の時の長さを物語っています。それと比較すると、ヤシカ・ラピードは作りが良いせいかきれいですね。