セイコーマチック・スリムデートは最近取り上げている83系の元祖ですかね。1963年(昭和38年)の発売ですが、約3年前に発売されていたセイコーマチック603の62系よりも薄く設計された機械ですが機械の外径は大型化しています。これはカレンダーを追加したCal.840です。
この個体は過去のO/Hでネジの締め付けを親の仇のように強く締めてあって、二番受けやガンギ受けが緩まない状態でした。ネジのスリ割りは傷んでしまいますし、受けに余計な歪みも出てしまいます。緩まない程度のトルクで締め込んであれば良いのです。
秒針カナ押エバネを留めるネジも強く締められていてスリ割りが痛んでいました。
薄く設計するために香箱も薄いですね。洗浄・注油をしてセットします。
62系のマジックレバー式ではなく、ここのスペースに自動巻輪列が入ります。
左の歯車が反転車。二枚の歯車が内蔵されていて、ローラーロックされることにより一方向に回転が整流される方式。
非防水モデルとしては製造時期を考慮するときれいな文字盤です。補修部品として出た文字盤と交換されているのかも知れません。
私はドーム風防を着けた非防水の頃のモデルが好きなのですが、この頃はステンレス側より圧倒的に金ケース側の個体が多いです。しかし、使用によるメッキの摩耗により、地金が露出して良いコンディションの個体は非常に少ないのです。メッキは厚めのASGPですが、それでも角の部分は摩耗していますので樹脂で保護してあります。ドーム風防はトキライトではなく汎用品を使用しました。
非防水ではありますが、このモデルは裏蓋側にはパッキンが入っています。防水ケースになる直前の頃ですね。
回転錘を取付けて組立完了。62系のマジックレバー式も素晴らしい技術ですが、やはり歯車式の方がゴロゴロ感が無く高級な感じですね。
じつは、ケースの状態が良い同モデルをもう一つ(右)所有しています。このモデルは人気があるようで、セイコーマチックの中では程度の良い個体は高めの相場となるようです。
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