昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[舟のない港](八十)

2016-07-19 09:14:30 | 小説
麗子は、偶然にガソリンスタンドで働く男を見かけた。 知人を訪ねる途中のことで、渋滞を避けようと幹線道路から外れたときだった。 車線変更に手間取り、予定していたよりも一本先を右折した。 初めて通る通りで、二車線になっていた。 すぐに左折するからと左車線に入ったとき、思いもかけず、体を引きずりながらだるそうな表情を見せている男が目に入った。 「まさか」と思いはしたが、一瞬のことであり-後続の車が麗 . . . 本文を読む

間違えて…

2016-07-17 21:08:26 | 美術展・博物館
名古屋市博物館へ、昨日(土)に行ってきました。 間違えちゃいました。 てっきり、7/16(土)からの展示だと思い込み、午前中に愛車ローンレンジャー号の12ヶ月点検を済ませて、勇躍名古屋市立博物館にGO,GO,GO! . . . 本文を読む

[舟のない港] (七十七)

2016-07-15 09:17:52 | 小説
 生け垣に囲まれた店の入り口に通じる小径は砂利道だった。 アスファルトに慣れきった男にとって、歩きにくくはあるがノスタルジーを感じさせるものだった。 よろよろと歩く男に対して、麗子が笑みを浮かべながら「覚えてらっしゃらないのね」と拗ねた表情を見せた。 . . . 本文を読む

[舟のない港] (七十三)空瓶

2016-07-11 09:16:40 | 小説
ミドリには、そんな男の気持ちが痛いほどに伝わった。 「これでいいのよ」と何度繰り返したことか。 男を責める気にはなれなかった。 かつての、愛されたいという気持ちは消えていた。 支えてあげなければ、という思いだけがミドリを頑張らせていた。 母の元に帰ろうかと思わないでもなかった。 夜遅く、疲れた体を引きずって帰るアパートで、ウィスキーの空瓶が散乱している部屋を見ると、情けなくなることもあった。 . . . 本文を読む

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