24日(日).昨日の日経夕刊に音楽評論家・船山隆氏のインタビュー記事が載りました.昨年の生誕150年に今年の没後100年と,今や世界の音楽界は”マーラー・ブーム”が続いています.なぜ今,マーラーの音楽が現代人の心を打つのか,その理由を語っています
「作曲家の実像が見えてくるのは大抵,生誕100年あたりで,マーラーも生誕100年の1960年ごろに「マーラー・ルネサンス」と呼ばれる再評価運動が起こった.それまでは戦前,西欧ではナチス・ドイツの成立でユダヤ人音楽家が追放され,ユダヤ人であるマーラーの音楽も演奏できなくなっていた.1960年ごろ,レナード・バーンスタインがニューヨーク・フィルと組んでマーラーの交響曲を全曲演奏,レコード録音した.これがマーラー・ブームに火を点け,それ以来,今に続いている」
私もLP時代にバーンスタイン=ニューヨーク・フィルの演奏をよく聴きました.当時マーラーといえばバーンスタインか,マーラー直弟子のワルターかでした.ただ,どちらかといえばバーンスタインの方がダイナミックで鮮烈な演奏でした
「マーラーは常に生と死の不安に取り付かれていたが,それが現代人のある種の不安に共通する.交響曲第2番”復活”は,生と死を主題にした作品だ.第1楽章の葬礼から始まり,第5楽章では全世界の死滅が示され,すさまじい地獄絵が展開される.しかし,最後に生命が復活する.~・~・~だから上を向いて歩こう,希望をもって生きよう.同じ東北出身の音楽学者として,被災地にエールを送りたい」
一方,7月17日付の日経「読書」欄のコラム「あとがきのあと」に載った音楽評論家・前島良雄氏の著書「マーラー」に関する本人のコメントを見ると,彼もマーラーとの出会いは中学3年のときにラジオで聴いた”復活”だったそうです.その時「暗い悲劇的な音楽だと思っていたのに,一気に光が見えた
」ということです.それ以来「病と死の影におびえ,暗い情念に満ちた音楽を残した作曲家
」というマーラーに対するイメージを払拭すべく,一つ一つの通説を見直し,本人の残した手紙や膨大な資料を付き合わせて虚像を剥ぎ取っていったとのことです.そして,「マーラーの音楽は,滅び去ったものは,よみがえらなければならない」と力強く歌い上げる”復活”の歌詞のように生命に満ちている
と主張しています.
マーラーの音楽に対する捉え方を比較すると,船山氏の方がこれまで言われてきたオーソドックスな捉え方で,前島氏の方が新しい捉え方と言えるでしょう.いずれにしても,”復活”の中の希望に焦点を当てていることに違いはありません
今聴いているのはハーパー(ソプラノ),ベーカー(メゾ・ソプラノ),オットー・クレンペラー指揮バイエルン放送管弦楽団による1965年のライブレコーディングCD(1998年・デジタル・リマスター版)です.マーラーというと,ついクレンペラーを聴いてしまいます
クレンペラー最高


「作曲家の実像が見えてくるのは大抵,生誕100年あたりで,マーラーも生誕100年の1960年ごろに「マーラー・ルネサンス」と呼ばれる再評価運動が起こった.それまでは戦前,西欧ではナチス・ドイツの成立でユダヤ人音楽家が追放され,ユダヤ人であるマーラーの音楽も演奏できなくなっていた.1960年ごろ,レナード・バーンスタインがニューヨーク・フィルと組んでマーラーの交響曲を全曲演奏,レコード録音した.これがマーラー・ブームに火を点け,それ以来,今に続いている」
私もLP時代にバーンスタイン=ニューヨーク・フィルの演奏をよく聴きました.当時マーラーといえばバーンスタインか,マーラー直弟子のワルターかでした.ただ,どちらかといえばバーンスタインの方がダイナミックで鮮烈な演奏でした

「マーラーは常に生と死の不安に取り付かれていたが,それが現代人のある種の不安に共通する.交響曲第2番”復活”は,生と死を主題にした作品だ.第1楽章の葬礼から始まり,第5楽章では全世界の死滅が示され,すさまじい地獄絵が展開される.しかし,最後に生命が復活する.~・~・~だから上を向いて歩こう,希望をもって生きよう.同じ東北出身の音楽学者として,被災地にエールを送りたい」
一方,7月17日付の日経「読書」欄のコラム「あとがきのあと」に載った音楽評論家・前島良雄氏の著書「マーラー」に関する本人のコメントを見ると,彼もマーラーとの出会いは中学3年のときにラジオで聴いた”復活”だったそうです.その時「暗い悲劇的な音楽だと思っていたのに,一気に光が見えた



マーラーの音楽に対する捉え方を比較すると,船山氏の方がこれまで言われてきたオーソドックスな捉え方で,前島氏の方が新しい捉え方と言えるでしょう.いずれにしても,”復活”の中の希望に焦点を当てていることに違いはありません

今聴いているのはハーパー(ソプラノ),ベーカー(メゾ・ソプラノ),オットー・クレンペラー指揮バイエルン放送管弦楽団による1965年のライブレコーディングCD(1998年・デジタル・リマスター版)です.マーラーというと,ついクレンペラーを聴いてしまいます


