人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

深町秋生著「アウトクラッシュ~組織犯罪対策課・八神瑛子Ⅱ」を読む

2012年09月10日 06時58分18秒 | 日記

10日(月).昨日の朝日朝刊の死亡欄を見てびっくりしました.「小〇勝〇さん(朝日新聞社元監査役).7日,多臓器不全で死去,79歳」とあったからです.

もう25年以上も前になりますが,私は元の職場S協会の広告担当というところで働いていました 当時朝日新聞社の広告局次長だった小〇さんはS協会広告委員会の下部機構「広告開発部会」の部会長を務めておられました.S協会の『新聞経営』という雑誌に小〇さんに論考を書いてほしいので,本人に頼んでほしいと編集部から頼まれ,築地の本社に彼を訪ねました

小〇さんはチェーン・メガネの向こうから困惑した表情で「ぼく,本当に忙しいんだよ.代わりに君が書いてくれないかな.原稿料は君がもれえばいいじゃない」と言います.彼が本当に忙しいのは分かっていましたが,そうもいかないので何とか拝み倒しました その時,小〇さんが「ところで君は最近どんなCD買った?」と訊きます.実は彼は大のクラシック・ファンで仕事でお会いした時でもクラシック談義に花が咲いてしまうのです この時もラローチャの弾くグラナドスの「ゴイェスカス」のCDを誉めておられ,最近のクラシック音楽事情について1時間近く話し込んだのを覚えています 朝日をお暇したとき「クラシックの話をしている暇があったら,頼まれた原稿書けるのになあ・・・・」と思ったものです.人間,楽しいことは時間を忘れて何時間でも続けられるようです

どんなきっかけかは忘れましたが,私のスピーカーを小〇さんにお譲りする話がまとまりました.当時私は3組のスピーカーとアンプを持っており置き場所に困っていて,一方の小〇さんも音の良いスピーカーが欲しいと思っていた頃だったのです 私が秋葉原の電気街で買ってしばらく愛聴していたタンノイのⅢLZ(スリー・エル・ゼット)という名器を,ラックスマンのトランジスタ・プリメイン・アンプとともに宅配便で鎌倉のご自宅にお送りしました

すると,実際に音を聴かれた小〇さんが非常に喜ばれて「いやー,タンノイは実にいい音がするよ お礼をしたいが,欲しいCDがあったら遠慮なく言ってくれ」とおっしゃるのです.私は「結構です」とお断りしたのですが,「そんなこと言わないでくれ,私の気が済まないから」とおっしゃいます.「それじゃあ,少し考えさせてください」とお答えし,後日4~5枚ほど選んでメモをお渡ししました.下のCDはその一部です.上=アリシア・デ・ラローチャのピアノによるグラナドス「ゴイェスカス」,下=カラヤン指揮ウィーン・フィル盤R.シュトラウス「ばらの騎士」.

 

          

          

 

それから20年以上経った5~6年程前,私はS協会の経営担当というところで働いていました.新聞社の内部統制に関する研究会を立ち上げることになり,各社から研究員を派遣してもらうことになりました研究員リストを見ると朝日新聞社からの研究員として小〇という名前があります.下の名前も”勝”で始まります.ひょっとしてこれは・・・・と思って,研究会の顔合わせの懇親会のときに本人に訊いたところ,やっぱり小〇勝〇さんのご子息であることが判りました 私は,親子2代にわたり仕事をご一緒させていただくことになったわけです

小〇さんとは毎年,年賀状のやり取りを続けてきました.お互いにまだ若いときは「近いうちにゆっくりとクラシック談義をしたいね」という内容でしたが,ここ数年は「昨年はコンサートに何回行きましたか?私は思うように身体がいうことをきかないので,残念ながら外出できません」と書かれていて,今年のお正月はとうとう便りが届きませんでした お酒を酌み交わしながらクラシック談義に花を咲かせたかったのに,「近いうち」が「二度と戻らない日」になってしまいました.79歳はまだまだこれからという歳なのに本当に残念です

ラローチャの弾く「ゴイェースカス」を聴きながらご冥福をお祈りいたします.

 

  閑話休題  

 

深町秋生著「アウトクラッシュ~組織犯罪対策課 八神瑛子 Ⅱ」(幻冬舎文庫)を読み終わりましたこの本は当ビル7階のMさんから借りた本です.「本は自分で買って読むもの」というのが私の信条ですが,時に「すっごく面白いから読んでみて」と言われて手渡される場合もあり,気の弱い私は断ることが出来ず,借りることになります

警視庁上野署の八神瑛子は,容姿端麗にもかかわらず,暴力も厭わず,暴力団と癒着することも厭わない無謀な捜査で犯人を検挙してきました そんな彼女に中米の麻薬組織を裏切って狙われる男を護ってくれ,という依頼がきます.男を追うのは非情で残虐な手口で世界中のVIPや警官を殺してきたプロの暗殺者でした 八神瑛子はそんな危険極まりない男に戦いを挑みます

この小説は,八神瑛子という警官が余りにも強くかっこ良い反面,男どもが頼りなくみっともなく描かれています 暴力団の内部に潜り込んで内部情報を掴んで捜査に生かし,その見返りに警察情報を漏えいして彼らの力になるという,無法者女性警官の話です 実際にはこれに近い警官もいるのでしょうが,ちょっとやりすぎのような気がします

この本をMさんに返すとき,「どう,面白かったでしょう?」と訊かれるに違いありません.さて,どのように答えたらいいのでしょうか

 

          

コメント
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