8日(土).昨日,東銀座の東劇でMETライブビューイング,ビゼー「カルメン」を観ました これはMETライブ2009-2010シーズンのアンコール上映です
キャストは,カルメンにエリーナ・ガランチャ,ドン・ホセにロベルト・アラーニャ,ミカエラにバルバラ・フリットリ,エスカミーリョにテディ―・タフ・ローズほか.演奏はヤニック・ネゼ=セガン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団,演出はリッチャード・エア,振付はクリストファー・ウィールドンです
セガンのタクトが振り下ろされ勇ましい「前奏曲」が演奏されます いつ聴いてもわくわくします まず,アラーニャが登場し,後からガランチャの登場となりますが,この二人の存在感にはもの凄いものがあります ガランチャは今まで何度か観たカルメンの中で最もカルメンらしいカルメンです とにかく激しく,自分の生き方を変えようとしない強い女を演じ,歌います 一方のアラーニャは,現代風ともいえるドン・ホセを演じますが,こちらも負けずの体当たり演技です
フリットリは,これまでの弱弱しいイメージのミカエラのイメージを払しょくし,意志の強い女を演じましたそして,驚くべきはエスカミーリョ役のテディ―・タフ・ローズです.彼は体調不良のため急きょ降板になったクヴィエチェンの代役を務めたのですが,幕間のインタビューでルネ・フレミングから「いつ,代役を伝えられたの?」と訊かれ,「本番の3時間前の午前10時です.家でくつろいでいると電話がかかってきて,エスカミーリョを歌ってくれと言われました」と答えていました.フレミングが「私と同じね.私の場合はデビューの時だったけど,同じ10時に言われて,公演が夜だったからよかったけど,あなたの場合は3時間後だったから大変だったわね」と言うと,「この公演は何度か観ているし,いつでも歌えるように準備していたから大丈夫ですよ」と答えていました.名前の通りタフな人です
幕間に男女のペアによるバレエが踊られるのですが,これも素晴らしく,その幕の内容を予感させるようなものでした
これまで観てきたどのカルメンとも違うカルメンでした.「どこが違うのか?」とじっくりと考えてみたのですが,多分,ガランチャとアラーニャの歌と演技に焦点を当てて,ほかに目をそらさせない演出だったからではないか,と思いました とにかく,この二人の存在感は抜きん出ていました.ガランチャとアラーニャは現代最高のカルメン,ドン・ホセと言ってもいいかもしれません 上映時間は休憩2回と歌手へのインタビューを含めて3時間24分です.MET「カルメン」のアンコール上映はもう1回,9月26日(水)午前10時半から上映されます