人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

超面白い!~N響の鶴我裕子著「バイオリニストは目が赤い」を読む

2012年09月19日 06時59分11秒 | 日記

19日(水)。昨夕,X部長から「30分ね.タイムキーパーにT君を連れて行くから」と言われ,S元監査役,T君と4人で地下のRで飲みました と,ところが30分が”30分間”ではなく6時”30分”になり,さらに「もう1軒!」となってIビル地下のヴェトナム料理店YBに移り,また飲みました いつものパターンです.T君がヴェトナム焼酎「ネプモイ」のボトルの裏を見て「これ,40度もありますよ」と驚いています.驚くには当たりません.平熱よりもちょっと高いだけです.赤ん坊など風邪をひけばすぐに40度の熱を出します.えっ,そういう問題じゃない?ゴメンナサイ,度が過ぎました

YBを後に,3人は再び当ビルに戻り地下のOに行きましたが,私は,先日,元の職場OBのM氏と飲んだFSビル地下のZWに行きました.その時に撮ったお店のアルバイトT.Mさんの写真を本人に渡すためです お店の青年に「Tさん,いらっしゃいますか?」と訊くと,不審そうな顔をするので「この間撮った写真を渡したいんですが」と言うと「あー,ブログの・・・」と言って,呼びに行きました.笑顔が素敵な本人に渡せたので,お店では飲まず(ごめんなさい),まっすぐ家に帰りました

それにしても昨夜は久しぶりに大雨が降りましたね しかも凄いカミナリでした.ピカッと光ったかと思ったら直後にゴロゴロ・ドカーンともの凄い音がしました.近くに雷が落ちたのではないか,と思ったほどです.おかげで熟睡できませんでした.せめて,これをキッカケに涼しくなってくれれば良いのですが

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊に「疑似体験、よりリアルに~立命館大、”音”加える」という記事が載りました

記事によると、立命館大学の田村教授らは、現実の風景と仮想の画像を重ね合わせる「複合現実感」(MR)技術を開発したとのこと プラネタリウムのようなドーム型の部屋に、指向性の高い音を全方位に出せる特殊なスピーカーを設置して、画像を鑑賞しながら音が聴けるとのこと。例えば、オーケストラの指揮者の位置を再現できるということです 

指揮者の位置でオーケストラの音を聴く体験ができるのは素晴らしいと思いますが、どうせなら、本物のオーケストラを前に指揮台に立ってみたいですね 欲を言えば曲は何でもいいから指揮をしてみたいですね でも、フルトヴェングラーならぬ”振ると面食らう”と言われそうです

 

  も一度,閑話休題  

 

鶴我裕子著「ヴァイオリニストは目が赤い」(新潮文庫)を読み終わりました 鶴我裕子(つるがひろこ)さんは福岡県生まれ,東京芸大卒,1975年にNHK交響楽団に入団し,第1ヴァイオリン奏者を32年間務め,現在は嘱託楽員として活躍しています

この本は,もともとNHKの「N響アワー」にゲスト出演した時に,司会の檀ふみさんから勧められて「音楽現代」に連載したエッセイを中心にまとめ,2005年に「バイオリニストは肩が凝る」というタイトルで出版されたものです 学生時代の思い出,マエストロたちの素顔,理想の指揮者像などを面白おかしく書いています

「私の音楽終業時代」の「歌を忘れたカナリアになった理由(わけ)」を読むと,あまりの可笑しさに噴き出してしまいます

音大で教職課程を取ろうとする場合,声楽の授業と試験を受けなければならない 友人にピアノ伴奏を頼んである曲を歌った.試験当日,すぐ前の順番の人がモーツアルトの「踊れ,喜べ,幸いなる魂よ」をすごく上手に歌ったので覗いてみると,邦楽の家元の娘で,華々しく伴奏を弾いているのは,あのコバケン(小林研一郎)だった 「邦楽の人にこんなにうまく歌われちゃあ,おしめえだ」などと軽口をたたいているうちに自分の順番になった.試験官は錚々たる先生方で,あがりにあがりまくってしまい,哀れな歌声を披露してしまった 外に出ると,目の前でさっきの二人が二つ折りになっていた.なんと,笑っているのだ コバケンは,苦しい息の下から「おツル,おツル・・・・」というのがやっとで,涙ポロポロ.さては私の歌を聴いたね.まあ二人してよく笑うこと.泣いているのかと思うほどだった.あれ以来,私は歌を忘れたカナリアになった

そして,さらに続けます.

しかし,不思議だ.私は小学生のころ,放送局の児童合唱団でソロを歌ったりしていたのだ.姉だって,とてもよい声をしていて,声楽家だ.どうしてこうなってしまったんだろう.私のDNAを返して

指揮者については言いたいことが多々あるようです

「本来,指揮者はプレイヤーのカタキだ.人につらいことを全部押し付けておいて,手柄は横取りする,嫌われて当然の存在なのだ

「(オーケストラは)指揮者一人で総ギャラの何分の一から数倍をかっさらうという”ぬすっとに追い銭”システムなので,たまらない

そして,いい指揮者とは,

1.名実ともに,自分の上をいっていること.

2.人格が備わっていること.

3.今も,すごく勉強していること.

以上が最低条件.さらに,

4.自分(私)の好きな音楽づくりをすること.

5.容姿・動作が美しいこと.

6.ユーモアがあること.

もっと言うなら,

7.練習がうまく,すぐ終わること.

8.無意味に難しい曲を,やらないこと.

最後に,

9.聴衆に人気があること.”人気”と,我々にとって向上できる指揮者ということは,必ずしも一致しない.ただ,彼が登場しただけで客席が沸けば,やる気が出る.

では,1から9までを満たす指揮者は誰かというと,サヴァリッシュ,スベトラーノフ,ブーレーズを挙げています.私もスベトラーノフ大好きです

平凡な指揮者と良い指揮者の違いを次のように語ります

平凡な指揮者は,初めの練習でまず全曲を通すが,これは奏者を疲れさせるだけ まだ整備の出来ていない飛行機を「とにかく目的地まで飛ばしてみよう」というのと同じだ.名指揮者は,決してこれをしない ゲネプロ(会場練習)も,やみくもに通したりせず,ポイントだけを押さえ,少しの不安を残して解散するものだ.このスパイスのおかげで,みんな本番で油断をしないし,棒に集中する 結果は,自分一人では決して行けなかったような高みまで登ることになる

このほか,N響はどのように新人を採用しているのか,好きな指揮者,作曲家,演奏家など盛りだくさんの内容になっていますが,どれもがユーモアに溢れ,鶴我さんの人柄がしのばれる素晴らしいエッセイになっています.最近読んだクラシック関係の本の中でダントツに面白かった本です

 

          

 

  さらに,閑話休題  

 

今日はマーラー「交響曲第7番」が初演された日です.1908年9月19日のことでした.マーラー自身がチェコ・フィルハーモニーを振ってプラハで初演しました リハーサルに付き合った若き日のオットー・クレンペラーの回想録によると,リハーサルは何と24回にわたったといいます 一番説得力のある演奏は,そのクレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニアオーケストラによる悠然とした演奏です

 

          

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする