人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ユンディ・リの代演,上原彩子の”チャイコン”を聴く~東京フィル「響きの森クラシック・シリーズ」

2012年09月23日 07時41分04秒 | 日記

23日(日)。昨日の日経朝刊に,「バイオリンの名器”ガルネリ”堀米さんに無償返還へ 独税関」という記事が載りました 記事によると,

「ドイツのフランクフルト国際空港で税関当局に差し押さえられていた,ベルギーのバイオリニスト,堀米ゆず子さん(54)のヴァイオリンの名器”ガルネリ”が,無償で返還されることが分かった 税関当局から20日,堀米さん本人に連絡が入ったという・・・・堀米さんは”多くの人の協力もあって,無事に戻ってくる.大変うれしい”と話している

安心しました 私は10月3日に虎の門のJTアートホールで開かれる「堀米ゆず子 モーツアルト核心の室内楽」の公演を聴きに行くので,もし,”ガルネリ”が戻らなかったらどうするんだろうと,他人事ながら心配していたのです それにしても,楽器を運ぶだけなのに,時価1億円のヴァイオリンの19%に当たる1900万円が輸入税として徴収されるなんて前代未聞の話です 朝日の方を見ると,彼女は「状況が悪化するばかりだったので,今はホッとしたというより信じられない気持ち」と感想を述べたとのこと.心中お察しいたします

 

  閑話休題  

 

昨日午後、文京シビックホールで東京フィルの「響きの森クラシック・シリーズ」公演を聴きました プログラムは①チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」(ピアノ=上原彩子)、②ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」の2曲、指揮は小林研一郎です

ピアノのソリスト,中国のユンディ・リが日本政府による沖縄県尖閣列島国有化問題のあおりを受けて来日中止になり,チケット代の一部が払い戻しされることになりました 公演直前は混雑が予想されるので,午前中に神保町に買い物に行ったついでに手続きを済ませました シビックホールの入り口左側に専用デスクが出ていました.チケットを渡すと”返金済”と印刷された代わりのチケットに指定席番号を手書きで書いたものを渡されました セット券S席の額面は8,000円ですが,半分の4,000円が戻ってきました.原因が原因だけに素直に喜ぶことが出来ませんが,戻された分はこれから購入するチケット代に当てたいと思います

 

           

 

入り口で渡されたプログラムに「出演者変更のお知らせ」のスリップが挟まれていて,ユンディ・リのメッセージが載っていました

「このたびは,突然日本を訪れることができなくなり,大変申し訳ありません.私自身,残念でなりません・・・・・・・・このようなときに,日中関係の悪化から,今回の来日を中止せざるを得なかったことは,言葉には表せない無念の思いと,日本のお客様に申し訳なく思う気持ちで一杯です・・・・・・必ずや近い将来,日本の皆さまの前で演奏会をできますよう,祈っております.お会いできるのを楽しみにしております. 2012.9.19. ユンディ・リ」

リさんの誠意が伝わってきます.是非,来日してコンサートを開いてほしいと思います 出来ればショパンのピアノ協奏曲を弾いてもらえると喜ぶ人が多いと思います

ロビーに入るとクロークに「返金コーナー」が設けられていて,長蛇の列が出来ていました.午前中に済ませておいて正解でした

 

          

          

 

会場は文字通り満席です.コンサートマスターは三浦章宏さん.オケのメンバーを見渡すと,あまり見かけない顔ぶれが多いように思います 東京フィルは10年以上前に新星日響を吸収合併したことに伴い楽団員が200人位いるので,出番の入れ替わりが激しいのかも知れません 第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラの近くにマイクが各1本,弦楽器と管楽器の間に背丈の高いマイクが1本立てられています 多分,NHK・FMかどこかの番組で放送するのでしょう

小林研一郎とともに上原彩子が濃いピンクのドレスで登場します 小林はいつものように,折れた部分を黒いテープで巻いた指揮棒で指揮台の登ります.チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」が小林のタクトのもと,冒頭のホルンに導かれた序奏で始まり,上原の力強いピアノが入ってきます.最初から集中力に満ちた演奏を展開します

第2楽章に入って,フルートがやや不安定になったもののすぐに立ち直り,ピアノの美しいメロディーが続きます 小林は間を置かずすぐに第3楽章に入ります.再び上原の力強いピアノが続き,フィナーレは最速スピードで駆け抜けます

会場一杯の拍手とブラボー,ブラヴァが上原,小林,オケの面々を称えます.上原は何度も舞台の呼び戻されていました

15分の休憩時間にも「払い戻し」の列が続いていました

休憩後,小林のタクトでベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」が始まります.第1楽章から指揮者・小林の”うなり声”が聴こえます.相当力が入っている様子です 第2楽章はアダージョ楽章ですが,”英雄”で一番素晴らしいと思うのはこのアダージョ楽章です.東フィル渾身の演奏でした 第3楽章に入る前に,チューニングが入りました.第3楽章のスケルツォはベートーヴェンの”生きる強い意志”あるいは”推進力”を感じます 第4楽章のアレグロ・モルトに入り,フィナーレを迎えるところで,小林は身体を左に傾けて,右手でタクトを振りながら,左手を客席の方に向け中空を指でさします オケに対して,”ベートーヴェンの魂の音楽を客席に届けよ”とメッセージを訴えているかのようです

最後の一音が鳴り終わると圧倒的な拍手とブラボーが会場を満たしました 小林は,弦楽器の首席と握手,管楽器の方まで行って握手,パートごとに立たせて拍手を求めます そして,一人の女性ヴァイオリン奏者を立たせて拍手を求めます.会場の拍手を制して,「この方,金崎さんは36年間東京フィルでヴァイオリンを弾いてこられ,定年で今日の演奏会をもって最後となります」と紹介,会場からは暖かい拍手が寄せられます そして,また,拍手を制して「きょうはご理解いただきありがとうございました(出演者が変更になったことに対してだと思われる).ここでアンコールといきたいところですが,今日はこのままアンコールなしで終わった方がいいと思います(会場・笑)アンコールは次に皆さまにお会いする時までとっておきたいと思います」と挨拶しました.アンコールしないんなら,わざわざ挨拶しなくてもいいのに・・・・と思うのですが,ひとこと言わなければ気が済まないのが”炎のコバケン”なのです

本当のところ,ユンディ・リの演奏を聴きたかったのですが,上原彩子の熱演があったので,今回のコンサートは”これで良し”とすることにしたいと思います

 

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