14日(金)。昨夕、先日「カメラは沢山持っているから、今度持ってきてあげるよ」と約束して風を切って帰っていった元の職場OBのM氏が会社を訪ねてきました 約束通りS元監査役と私に,それぞれニコンの一眼レフをプレゼントしてくれました.私のはP90という機種です.まだ3回しか使用していないという新品同様です
お礼に,ということで当ビル地下の焼鳥Oで飲みました
生ビールで乾杯した後は,X部長の新潟銘酒「きりんざん」がキープしてあるので,安心して飲みました
次いでS元監査役の希望で飯野ビル地下のベトナム料理YBに移って飲みました ここではわが娘がアオザイを着てアルバイトとして働いていますが,4組の客を相手に一人でサービスをこなしていました.立ちっぱなしで大変な仕事ですが,せっかく縁があって得た仕事なので頑張ってほしいと思います
ここにもX部長がキープしているベトナム焼酎ネップモイがあるので遠慮なく飲みました.食後に南店長にお願いして娘を含めた4人で記念写真を撮りました
この時点でS元監査役はギブアップして退却しましたが,まだまだ飲み足りないM氏に誘われて,地下鉄の入口近くのFSビル地下の居酒屋Z・Wに入りました.ここではT.Mさんという女性が案内してくれましたが,なかなか感じの良い人でした 同行のM氏に至っては帰りがけに自慢のニコンで彼女を撮影していました
M氏からこの日撮影した写真のメモリーをもらったのでここにアップしようと思いましたが,残念ながらメモリーからブログに取り込む方法が分かりません.だれかおせーて
それにつけても,この3日間は飲み会,コンサート,飲み会と3連チャンだったので非常に疲れました 幸か不幸か,金曜日なのに今夕は何の予定も入っていません
というわけで,今日はまっすぐお家に帰ることにします
閑話休題
”チケットぴあ”に置いてある「ぴあクラシック」秋・第24号(無料)が,生誕80年・没後30年のグレン・グールドとベートーヴェン(のCD)を特集しています この特集で一番面白いのは,今は亡き大指揮者・朝比奈隆氏が1970年に書いた「ライナー・ノーツ」です
要約すると,
朝比奈氏は1958年11月19日,ローマのサンタ・チェチーリア・オーケストラの定期演奏会で,グレン・グールドとベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第2番」を演奏した 前日のリハーサルに独奏者のグールドが姿を現さない.連絡を取ると「身体の具合が悪いので今日は出られない」とのこと
翌日のリハーサルには「昨日は一日中ほとんど食事も採れなかったし,夜も眠れなかった.寒くて仕方ないから,オーバーを着て弾くことをお許しもらいたい.ゴムの湯たんぽを2つも持ってきたがまだ寒い
」などとつぶやくような小声である.・・・・(リハーサルに入って)正しく八分音符のあと,スタインウェイが軽やかに鳴り,次のトゥッティまで12音節の短いソロ楽句が,桶を伝う水のようにさらりと流れた
それはまことに息を飲むような瞬間であった・・・その夜の演奏会の聴衆も,翌朝の各新聞の批評も,感嘆と,賞賛を隠そうとはしなかった・・・・」
これを読んで,朝比奈大先生がグレン・グールドとベートーヴェンを演奏したという事実にまず驚きました それと同時に思ったのは,グールドはどんなテンポで演奏したのか,ということです
朝比奈氏は「私は意識して少し早目のテンポをとって呈示部のアレグロを進めた」と書いているのですが,グールドの取ったテンポについては直接的な表現をしていません
グールドなので,よっぽど速いか,あきれるほど遅いか,のどちらかでしょうが,たぶん,前者だったのでしょう
極端に遅い演奏の代表例は1962年4月6日にカーネギー・ホールで演奏されたブラームスの「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」でしょう ピアノはもちろんグレン・グールド,レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニーによる演奏です
この演奏の模様はCDに集録されていますが,演奏を前に聴衆に向けて語ったバーンスタインの前口上ともども有名です
「心配しないで下さい.グールド氏はちゃんと来てますから(聴衆・笑).これから皆さんがお聴きになるのは,言ってみればかなり正統的とは言い難いブラームスのニ短調協奏曲です それは私がこれまでに聴いたことのあるどの演奏とも全く違うもので,テンポは明らかに遅いし,ブラームスが指示した強弱から外れている部分も多々あります
こんな演奏は想像したことはありませんでした.実は私はグールド氏の構想に完全に賛成というわけではありません・・・・・・協奏曲にあっては誰がボスなのか?(笑)独奏者なのか,それとも指揮者なのか?・・・・・・グールド氏とブラームスのコンチェルトをやってきた今週は,まさに冒険だったと私は断言できます(笑).そのような冒険精神にのっとって,これから演奏したいと思います(大きな拍手)」
実際にそのCDを聴いてみると,確かにバーンスタインの言っているとおり,曲の冒頭のオーケストラの序奏部分は”今にも止まりそうな演奏”が展開されています しかし,一旦グールドのピアノが入ってくると,その”遅さ”を感じなくなります
これは不思議です.最後まで聴いてみると,全体的にテンポは遅めですが,まったく違和感がありません.フィナーレなどは聴衆が興奮して曲が終わらないうちに拍手
を始めています.私も”これこそが,ブラームスではないか
”と思いました.
こうしてみると,この演奏でどちらに軍配が上がったのかと問われれば,グールドだったのではないか,と思うのです.”演奏の善し悪しは,テンポが速いとか遅いとかの問題ではない.聴く側が納得できるかどうかだ”ということを強く感じます ちなみにこのCDの演奏時間は53分10秒ですが、ツィマーマンとバーンスタインのCDは54分かかっています(最速はベルマンとラインスドルフの44分)。とにかく,一度ご自分の耳で確かめることをお薦めします