人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

期待以上!~アロンドラ・デ・ラ・パ―ラ指揮東京フィルでブラームスの第1番を聴く

2012年09月13日 06時58分37秒 | 日記

13日(木)。昨日、午後1時から10階のホールで民主党代表選挙候補者討論会がありました。正午頃から1階正面玄関では私服警官10数名が警戒に当たっていました 今回の選挙には野田佳彦首相、赤松広隆元農相、原口一博元総務相、鹿野道彦前農相の4人が立候補しましたが、討論会開始30分くらい前からVIPを載せた車と警護車両が次々と到着するので、防災センター隊員とともに警戒に当たりました

事件・事故もなく候補者4人が10階に上がったので、私もホールの中に入って最初の20分程度、話を聴きました ホール内も10人位の私服警官が目を光らせおり、候補者が発言するたびに会場のあちこちで報道カメラのフラッシュがたかれていました この模様はNHKが生中継しており、民放はテレ朝が代表取材、ほかにも多数のカメラマン、新聞記者が出席していました。野田総理はさすがに疲れているような表情でしたが、もともとああいう顔なのかも知れません

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京フィルの第822回定期演奏会を聴きました プログラムは①モンカ―ヨ「ウアパンゴ」、②ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」(ギター:村治奏一)、③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」の3曲、指揮はニューヨーク生まれのメキシコの女性指揮者アロンドラ・デ・ラ・パ―ラです 私は東京フィル・サントリーシリーズの会員ではありませんが、今話題のアロンドラ・デ・ラ・パ―ラを一目見て、聴きたいと思ってチケットを買った次第です、はい

 

          

 

自席は1階16列3番,左サイドの通路側です.聴衆の入りは東響の定期より若干少なめでしょうか・・・・.コンマスは三浦章宏です

1曲目の「ウアパンゴ」はメキシコの作曲家・指揮者・ピアニスト,モンカーヨが,同国の有名な作曲家チャベスの委嘱により作曲した作品で,言葉の意味はメキシコ湾沿いの一帯に古くから伝わる民衆的な舞曲の一形態だそうです

オケのチューニングが済んで,いよいよ指揮者の登場です.アロンドラが長い髪を後ろで結わえて,上下黒のセンス抜群のパンツ・スーツで颯爽と登場します まるでファッション・モデルが指揮台に立っているようです 彼女のタクトにより南米特有の明るく陽気な音楽が展開します.まずは小手調べといったところでしょう

2曲目のロドリーゴの「アランフェス協奏曲」のために,オケが大幅に縮小されます.なぜならギター協奏曲ですから,大編成のオケではギターの音が消えてしまうからです もちろん,現代ではギターの前にマイクロフォンが据えつけられ,それがアンプ付スピーカーに直結していて音を拡大する仕組みになっています

作曲者のロドリーゴは3歳の時に悪性ジフテリアにかかって失明してしまったのですね でも両親は偉かったです.彼の才能を見出して音楽院に通わせたのですから パリのエコール・ノルマルでポール・デュカスに作曲法を師事しました.ところで,アランフェスというのはスペインのほぼ中央の高原地帯にある観光地の名前です

ギタリストの村治奏一がアロンドラとともに登場します.お姉さんの村治佳織にそっくりです アロンドラの合図で第1楽章が始まります.どうも迫力がないのですよね.ギター協奏曲の宿命でしょうか オーケストラをバックにギターを弾くのは無理があるのではないかな,と思ってしまいます.誰が演奏しようが同じだと思います アロンドラは第2楽章に入るに当たり十分な”間”をとって集中力を高めます.そして第2楽章「アダージョ」に入った途端,この曲に対する印象がガラッと変わります こんなに美しい音楽があるんだろうか,と思うほど心に沁みるメロディーが奏でられるのです やっぱり,アランフェスは第2楽章だよな,と思います 第3楽章は軽快な音楽になるのですが,どうしてもアダージョが頭に残っていて”軽く”感じてしまいます.この曲の宿命でしょうか

それにしても,村地の演奏はアダージョのカデンツァを含めて素晴らしかったです アンコールにトレモロ奏法で有名なタレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」を弾いてくれましたが,これにもすっかり魅了されました

 

          

 

さて,この日の最大の目的は最後のブラームス「交響曲第1番ハ短調」を聴くことです.アロンドラのタクトが振り下ろされティンパ二の連打により序奏が続きます あまりの遅いテンポにびっくりしました.極端な言い方をすれば”今にも止まりそうな”遅さです よくこのテンポで持ち堪えられるな,と感心するほどです それでも徐々にテンポを上げて,歌わせるところは歌わせ,締めるべきところは締めてオケをコントロールします

指揮振りを見ていて,誰かに似ていると思ったら,トスカニーニコンクール準優勝の三ツ橋敬子でした.彼女も髪の毛を後ろで束ねて,上下黒のパンツ・スーツで指揮をします.大きな違いは,三ツ橋が小柄なのに対してアロンドラは背が高くスラッとしているところです

第2楽章はオーボエがよく歌っていました.また,三浦コンマスによるソロが美しく響きました 第3楽章は牧歌的ないい感じのメロディーが続きます.時々横顔が見えるアロンドラは幸せそうな顔をして指揮をしています

そして,最終楽章に突入します.序奏部分は第1楽章と同じようにゆったりしたペースで展開しますが,段々ペースを上げ,ホルンによる雄大なテーマに移ります.この時だけ,アロンドラはタクトを譜面台に置いて,両手で華麗に指揮をします

圧倒的なフィナーレが終わると会場のあちこちからブラボー・ブラーバと拍手の嵐が押し寄せます.

全体を通して感じるのは,いい意味で意外だった,ということです.とくにブラームスの冒頭部分の悠然としたテンポ設定にはました. 

 

          

 

休憩時間にCD「アロンドラ・デビュー~華麗なるメキシコ・オーケストラ作品集」をしっかり買っておいたので,終演後,彼女にサインをもらいました 並び順は2番目です.なぜ私が通路側の席にこだわるのか,その理由の一つがお分かりになりましたね サイン後に「サンキュー」と言うと,日本語で「アリガトウ」と返してくれました.キュートでチャーミングな女性でした

 

          

          

 

          

                     

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