14日(月)。昨日、東京文化会館でコンサートを聴くため上野に向かいました。開演時間まで余裕があったので上野の山を散策しました 桜の花はほとんど散ってしまっているにも関わらず、日曜日にほかに行くところがない多くのグループが桜の下で花見に興じていました
花も咲いていないのにわざわざ集まってくるなんて、みんな「都会の孤独」でしょうか
閑話休題
午後3時から東京文化会館大ホールで「東京・春・音楽祭ガラ・コンサート」を聴きました 会場に着くと何やら張り紙があります。「出演者変更のお知らせ」とあり、当初予定していたウルフ・シルマーが体調不良のため来日できなくなり、代わりにルーマニア生まれのクリスティアン・マンデアルが指揮を執る」とあります。ウルフだけに次は狼少年にならなければよいのですが・・・・何である、マンデアル
このコンサートの謳い文句は「壮大なる調べ、祝祭感あふれる合唱名曲選」です プログラムは①ヘンデル:オラトリオ「メサイア」より「ハレルヤ」、②J.S.バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」、③ハイドン:オラトリオ「天地創造」より「おおいなる偉業は成りたり」、④ベートーベン:交響曲第9番二短調「唱付き」より第4楽章、⑤ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガ―」より「目覚めよ、朝は近づいた」、⑥リヒャルト・シュトラウス「祝典行進曲」、⑦マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」より第5楽章です
出演はソプラノ=澤畑恵美、メゾ・ソプラノ=竹本節子、テノール=福井敬、バリトン=甲斐栄次郎、オケは東京都交響楽団、合唱=東京オペラシンガーズです
自席は2階R3列16番、右サイド通路側で、2階席の右側からステージを見下ろす位置です 会場はほぼ8~9割埋まっている感じです。これが3~4割程度の入りだったら、「ガラ・コンサート」ではなく「ガラガラ・コンサート」になっていたところです
主催者になり代わって御礼申し上げます
オケがスタンバイします。コンマスは山本友重。第2ヴァイオリン首席の席にはエンカナ(遠藤香奈子)さんが控えています 合唱の東京オペラシンガーズのメンバー約100人がステージ後方にスタンバイします
2階席から見ると、東京文化会館のステージは奥が深いことが分かります
東京でオペラをやる場合、初台の新国立劇場、NHKホールとともに、ステージの奥行きが十分にある東京文化会館になるというのも頷けます
指揮者マンデアルが登場します。一見するとフランスの名指揮者ジョルジュ・プレートルによく似ています 彼のタクトで1曲目のヘンデルのオラトリオ「メサイア」から「ハレルヤ」が演奏されます。あまりにも有名なこの曲は、実はドイツ語ではなく英語で書かれています
ヘンデルはドイツからイギリスに渡ってからも名曲を作っています
ここで、管楽器群がオーボエとトランペットを一人ずつ残して退席します。2曲目はバッハのコラール「主よ、人の望みの喜びを」です。この曲も有名ですが、教会カンタータ「心と口と行いを命もて」の中のコラール(コーラス)です
再び管楽器陣が登場し、3曲目のハイドンのオラトリオ「天地創造」から「大いなる偉業は成りたり」が演奏されます 演奏後、弦楽器が全員舞台袖に引き上げ、ステージ上のチェンバロが片付けられ、椅子が再セッティングされて次の「第9」に備えます
ソプラノの澤畑恵美が渋いピンク系のドレス、メゾ・ソプラノの竹本節子がグリーン系のドレスで、テノールの福井敬、バリトンの甲斐栄次郎とともに登場、指揮者の左右の椅子に控えます
マンデアルの指揮でベートーヴェンの交響曲第9番”合唱付き”の第4楽章が始まります。マンデアルは時に指揮台の上で飛び上がって指揮をします。こういう人だとは思いませんでした 私の2つ前の席の高齢男性が身体を右に45度傾けて寝ています
あと1度傾いたら通路に倒れ込むところです
45度の焼酎でも飲んできたのでしょうか?コーラス陣の迫力に圧倒されて目が覚めたのか、30度まで戻しました
アブナイおじさんです。それにつけてもビールと「第9」はやっぱりナマに限りますね
休憩後の1曲目はワーグナーの歌劇「タンホイザー」から「歌の殿堂をたたえよう」(祝典行進曲)です。歌合戦が催される大広間に登場人物たちが次々と入場してくる時に流れる音楽ですが、素晴らしいですね ワーグナーは大仰であまり好きではないのですが、この曲はいいですね
次はリヒャルト・シュトラウスの記念すべき作品1番の「祝典行進曲」です。12歳の時の作品ですが、天才と思わざるを得ませんね この曲のみオーケストラだけで演奏されました
そして、最後はオケのメンバーが追加され、マーラーの「交響曲第2番”復活”」の第5楽章です。女性歌手二人が再登場、コーラスの最前列中央にスタンバイします 時間の関係で第5楽章の途中から演奏が開始されます。この曲はいつ聴いても感動的です
かなり前のことですが、六本木にCDショップWAVEがあった頃、お店の天井から流れてきたオットー・クレンペラーの指揮するこの第5楽章を聴いて鳥肌が立ち、その場でCDを買い求めたことを懐かしく思い出します
「マーラーは宇宙だ
」と思ったのはその時が初めてでした
カラヤンとチェリビダッケに師事したというマンデアルはシルマーの代演を立派に務めました 都響がマンデアルの期待に応え、ソリストたちと東京オペラシンガーズが熱唱を繰り広げました
「東京・春・音楽祭」の掉尾を飾る素晴らしいコンサートでした
これで今年の「東京・春・音楽祭」も終わりです 3月14日の「10周年記念公演 春が来た!」から、「会田莉凡ヴァイオリン・リサイタル」、「東京春祭チェンバー・オーケストラ~トップ奏者たちが贈る”モーツアルト”」「リヒャルト・シュトラウスの生涯ー第1部・第3部・第4部」、「ピアノ歴史探訪~小倉喜久子」、「シューベルトの夕べ」、「E.W.コルンゴルト~二つの世界の狭間で」、「フィレンツェの思い出~若き名手たちの室内楽の極(きわみ)」、「ブラームスの室内楽」、「ウィーン室内合奏団~オール・ベートーヴェン・プログラム」、そして昨日の「10周年記念ガラ・コンサート」の13公演を聴いてきました。この間ちょうど1カ月でしたが、終わってみればあっと言う間でした
ここ数年は、年の前半についてはコンサート・スケジュールが定着してきました 1月から3月にかけては池袋の東京芸術劇場を中心に開かれる「都民芸術フェスティバル」、3月から4月にかけては上野の「東京・春・音楽祭」、5月の3連休は東京国際フォーラムを中心に開かれる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」、6月中旬の「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」です
今年はこの4つの『音楽祭』だけで49公演聴くことになります