20日(日)。昨日、すみだトリフォニーホールで、新日本フィルのトりフォニーシリーズ第524回定期演奏会を聴きました プログラムは①シベリウス「交響曲第4番」、②ベートーヴェン「交響曲第6番”田園”」で、指揮は上岡敏之です
上岡敏之は現在、ザールランド州立歌劇場音楽監督、ヴッパータール響首席指揮者を務めており、時々日本に帰ってきて新日本フィルや読響やN響などに客演しています
コンマスのチェ・ムンスの指示でチューニングが始まります そして指揮者・上岡敏之を迎えますが、彼は思ったより小柄です。第2ヴァイオリン席では佐々木絵理子さんの隣に篠原英和さんがどっしりと構えています
ステージ後方の2階のパイプオルガンの左サイド下には鐘が設置されています。NHKのど自慢の”キンコンカン”のあれです
1曲目のシベリウス「交響曲第4番イ短調」は普段聴く機会がないので、ジョン・バルビローリ+ハレ管弦楽団のCDで予習しておきました 予習での印象は”暗い曲”です
上岡の指揮で第1楽章が低弦の陰鬱な響きで始まります。この楽章では客演チェロ奏者の海野幹雄氏のソロが美しく響きました 第3楽章までは沈んだ曲想が続きます。プログラムの曲目解説によると、シベリウスは交響曲第3番を作曲後の1908年、癌の疑いをもつ咽喉の腫瘍が見つかり2度手術をしたとのことです
その時の不安な精神状態が第4番の交響曲に反映しているのかもしれません
第4楽章に至って、例の”キンコンカン”が打ち鳴らされたりして、やっと明るい兆しが見えてきたように思うものの、どうも暗い過去を引きずっているような曲想で、手放しで喜んでいるようには思えません 解説には「情緒的には陰鬱な内向の後に陽転した開放感が響くことになる」と書かれていますが、とてもそうは思えません
上岡敏之の指揮は、肩の力が抜けた柔軟性のあるエレガントな指揮ぶりで、演奏者が演奏しやすいように振っているように思われました 一つの大きな特徴は、楽章間の”間”を十分空けて、次の楽章に移ることです。それにしても、シベリウスと言えば第2番を筆頭に交響曲ではもっと”演奏のし甲斐がある”曲がほかにあるだろうに、なぜ上岡敏之は一番理解が困難な第4番を選んだのか・・・・不思議に思います
休憩時間に2階のホワイエに行ってみると、すっかり模様替えされており、「北斎カフェ」という名称でリニューアル・オープンしていました すごく混んでいたので、メニューだけ確かめると、コーヒーは400円で据え置きでした
いよいよもって東京文化会館ホール内の上野〇〇軒の消費税率アップに伴う便乗値上げによる450円が際立ってきました
いいんだもんね、1階ロビーの自動販売機で190円のインスタントコーヒー買って持ち込むんだから
休憩後は、ベートーヴェンの交響曲第6番”田園”です。この曲は名曲中の名曲なので、あえて予習はしませんでした 上岡の指揮はシベリウスの時と同じで、柔軟性のあるエレガントな指揮振りです。曲の流れを重視し自然な音楽作りをしています
この曲は言うまでもなく管楽器が大活躍します。オーボエの古部賢一、フルートの白尾彰、クラリネットの重松希巳江、ファゴットの坪井隆明、ホルンの吉永雅人といった首席奏者たちの演奏は安定感があり、心が弾みます
上岡の指揮棒がゆっくりと下ろされると、会場一杯の拍手 とブラボーがステージに押し寄せました。「ン?」と思ったのは、私の後方席から「ボー!」という掛け声がかかったのです
独特のあの低い声、「ブラボー」でななく「ボー」としか聴こえない掛け声は、東京交響楽団サントリー定期演奏会の自席の後方で「ボー!」を連発している「ノー・ブラの某さん」ではありませんか
よほど後ろを振り返って顔を確認しようと思ったのですが、「オヌシも来ておったか!」とこちらも見られるので止めておきました
それにしても、あなた、ストーカーやってるわけじゃないでしょうね
今日はサントリーホールで開かれる東京交響楽団の定期演奏会。新音楽監督ジョナサン・ノットの指揮によるマーラーの「交響曲第9番」を聴きます。今日も「ボー!」を聴くことになるのでしょうか