26日(土)。昨日午後、丸の内消防署関係の2つの団体の総会と合同懇親会が竹橋のホテルで開かれ、出席しました 夕方、上野の東京文化会館小ホールでコンサートがあるので、懇親会ではアルコールは一切飲まず精力的に食べてから現地に向かいました
東京文化会館の入口に着いてビックリ 何と小ホール入口から文化会館の入口まで九十九折の長蛇の列が出来ていました。こんな長い列を見るのはビートルズの来日公演以来です(見たことないけど)。これを見て入場料金500円の安さの力は強いと思いました。小ホールの定員は650人弱ですが、ほぼ満席の状態でした。何とかR27番という後方ながらセンターブロックの左通路側席を押さえました
この日の公演は「春の夜のコンサート」。これは東京文化会館が主催している「モーニングコンサート」の番外編です プログラムは①エルガー「愛の挨拶」、②クライスラー「愛の喜び」、③同「愛の悲しみ」、④メンデルスゾーン「春の歌」、⑤ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番”春”」より第1楽章、⑥ポッパー「ハンガリー狂詩曲」、⑦ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」より第1楽章、⑧ピアソラ「オブリビオン」、⑨同「リベルタンゴ」です
出演は、ヴァイオリン=第3回東京音楽コンクール弦楽部門第3位・石亀協子、チェロ=元大阪交響楽団首席・鈴木鈴太郎、ピアノ=東京藝大卒・須藤千晴という面々です
石亀協子が濃い藤色の、須藤千晴が水色のドレスで、金子鈴太郎とともに登場します 最初にエルガーの「愛の挨拶」を心を込めて演奏、次いでクライスラーの「愛の喜び」と「愛の悲しみ」を表情豊かに演奏します
次にメンデルスゾーンの「無言歌」から「春の歌」を須藤千晴がピアノ独奏で演奏しました。今の季節に相応しい弾むような曲想です 続いてベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番”春”」から第1楽章がヴァイオリンとピアノにより演奏されました。この曲も春らしく穏やかで良い曲です
モーツアルトの初期の頃のヴァイオリン・ソナタはヴァイオリン伴奏付のピアノ・ソナタといった感じですが、ベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」はヴァイオリンとピアノが対等に演奏されます。まるでヴァイオリンとピアノの対話を聴いているようです
次のポッパー「ハンガリー狂詩曲」を演奏するに当たって、金子鈴太郎がレクチャーします
「私はハンガリーに留学していた(国立リスト音楽院)のですが、レストランで食事をしていると、ヴァイオリン、コントラバス、チェンバロンのジプシー3人組が目の前にやってきて、悲しい曲をいかにも悲しそうに演奏するのです 実際にはそんなに悲しい出来事があった訳ではないのです。ただ聴いていると、いつまで経っても演奏が終わらないのです
(日本円で)200円位のチップをあげると次のテーブルに移って行くのです。学生でお金がない時だったので困りました
これから演奏する曲は、楽しい曲想のところはいかにも楽しそうに、悲しい曲想のところはすごく悲しそうに演奏しますので、そのつもりでお聴きください
」
そしてピアノの伴奏で「ハンガリー狂詩曲」を身振りを大きく演奏しました。小さな曲が大きく聴こえました
さて、いよいよ”本日のメーンイベント”ブラームスの「ピアノ三重奏曲第1番ロ長調」から第1楽章です。これも鈴木鈴太郎が解説します
「この曲には主人公がいます。曲の冒頭にピアノで演奏されるテーマが主人公です ピアノでお願いします」
ピアノが冒頭のやさしいメロディを奏でます いつ聴いても良いですね。私はブラームスの室内楽が大好きですが、一番好きなのがこのピアノ三重奏曲第1番です
「この主人公が旅をします。時には悲しい出来事に出合います」
三人で悲しげなメロディ(冒頭のメロディの変奏)を演奏します
「最後には家に帰ってきてくつろぎます」
三人で第1楽章終盤のメロディ(同じく変奏)を演奏します 解説が終わったところで第1楽章を通して演奏します。これって古典四重奏団がやっている「レクチャ―コンサート」ですね
白熱の演奏の後、ピアソラの「オブリビオン」と「リベルタンゴ」を続けて演奏しました。チェロのヨ―ヨ―マがこの曲を弾いたCDがあります リズム、メロディ、ハーモニーのバランスが素晴らしいタンゴの名曲です
3人はクラシックを忘れてノリノリでタンゴの演奏を楽しんでいます
会場を埋め尽くした聴衆の拍手に気を良くした3人は、アンコールに応えます。鈴木が「それではアンコールにモンティのチャルダーシュを演奏します」とアナウンス() 早速演奏に入ります
うん、いい曲だ・・・・・・ン?なんか変だ。どこかで聴いたようなメロディ・・・・・会場のあちこちから笑い声が・・・・・・こらこら、そこの三人、これ「津軽海峡冬景色」じゃないのよ 鈴木君ならまだ分かるけど、真面目そうに見える須藤さんや石亀さんまで「津軽海峡」弾いちゃってどうすんのよ
と思っていたら、やっとチャルダ―シュのメロディが流れてきました。なんだ、やれば出来るじゃないの
それにしても速いパッセージで聴かせる楽しい曲ですね
500円ワンコインで約1時間のコンサートでしたが、内容の充実した公演でした 入場料が安ければ会場を埋め尽くすことが出来ることを証明したコンサートだったとも言えるでしょう
なお、東京文化会館は大ホール・小ホールとも今年6月から11月まで施設・設備の改修工事のため休館となるそうです。よい子は会場を間違えて来ないようにしようね