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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

テオ・アンゲロプロス「旅芸人の記録」を観る~3時間50分休憩なしの記録

2014年04月22日 07時00分35秒 | 日記

22日(火)。昨日の朝日夕刊・文化欄に、今年の夏「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」でヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」の指揮を執るファビオ・ルイジのインタビューが載っていました このインタビューを担当しているのは文化部記者(?)K氏ですが、次のように書いています

「ルイジが首席指揮者を務めるニューヨークのメトロポリタン歌劇場は、オペラ作品を映画館で上映する取り組みで、クラシックのすそ野を広げている

ピーター・ゲルブ総裁によるメトロポリタン歌劇場のこの試みは『METライブビューイング』と呼ばれ、日本でも今年ヴェルディ「ファルスタッフ」を皮切りにドヴォルザーク「ルサルカ」、マスネ「ウェルテル」などのオペラが、新宿ピカデリー、東銀座「東劇」などで上映されています

新聞記事は、限られたスペースの中で必要最小限の要素を紹介しなければならないということは、よく理解できます しかし、ここまで書いて、なぜはっきりと「METライブビューイング」と書かなかったのか、物足りなさを感じます 「新聞記事で特定の企業・組織のPRにつながるようなことは書かない」という鉄則でもあるのでしょうか?もっと心を広く持って「よりクラシックのすそ野を広げよう」という意識があればきっと書いていたはず、と思うのは私だけでしょうか

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋に行ったついでに新文芸坐でギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督映画「旅芸人の記録」を観ました 公開は1975年9月ですが、日本での公開は1979年8月でした。全編ギリシャ語で上映時間3時間50分という超長編大作です その長さから、これまで敬遠してきたと言えるかも知れません。物語は

「1952年11月、旅芸人一座がエギオンに到着する。一座は発足当時と大分変っている。彼らは1939年秋への回想に入っていく・・・・ギリシャ南部の小さな町に旅芸人の一座がやってくる。一座の出し物は牧歌劇「羊飼いの少女ゴルフォ」。座長はアガメムノンとその妻クリュタイムネストラ、長女エレクトラ、次女クリュソテミス、ほかに数名の劇団員と子供たちから構成されている 団員の一人アイギストスは、クリュタイムネストラと不倫関係にあり、彼は反左翼思想のため、左翼のシンパだった団員の看板スター、ピュラデスを警察に密告し逮捕させる 第2次世界大戦が始まると、ギリシャに侵攻してきたドイツ軍の兵士に、座長の息子オレステスが対独ゲリラに参加していると密告する。座長のアガメムノンはオレステスの身代わりになって銃殺され、アイギストスが座長になる 1945年、劇団に戻ってきたオレステスは、父親の復讐を果たすため劇中、アイギストスと母親を射殺する。芝居でなく本当の射殺だということを知らない観客は拍手喝さいをおくる。彼はその後、再度ゲリラになって山にこもるが、1949年に逮捕され処刑される。1952年秋、次女クリュソテミスの息子がオレステスが演じるはずだったタソス役でデビューしようとしていた

3時間50分ぶっ通しで1939年から1952年までのギリシャの近代政治史を観ることになりますが、相当つらいものがあります 飛び込みで映画館に入って、いきなり観たものだから、ストーリーが良く理解できません それに、1939年から1952年に飛んだと思ったら1940年に戻り、再び1952年に飛び、最後は振り出しに戻って1939年秋のシーンで終わるのです。ついていけません また、人名の呼び方が難しくよく覚えられません

それでも、印象に残るシーンがいくつかあります。真っ白な雪の中に一羽のニワトリが鳴いています それを見つけた一座が「コーコッコ・・・・」と鳴きまねをしながら近づいていき、捕まえるシーン これは貴重な食料になるのですね。もう一つは、海辺でクリュソテミスと米兵の結婚披露宴が開かれている時、青年になった息子がテーブルクロスを引きはがして砂浜を引きずって行くシーン。彼はアメリカ人と結婚する母親が許せないのですね 

それにしても映画のタイトルが「旅芸人の記録」であることから、全編を通して歩くシーンが多い映画です。トランクを下げ黙々と歩きます。彼らは過去を引きずりながら現在を生きるギリシャそのものを表しているように見えます

個人的には、もう一度観ないと理解できないと思いました。もしこの映画をご覧になる時は、事前にストーリーを理解したうえでご覧いただくようお薦めします

 

          

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